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宮崎 カッポ茶

 宮崎県の五ヶ瀬町周辺に伝わるカッポ茶は、淹れ方、味ともに野趣に溢れています。
 山を焼いても自然に山茶が生えてくると例えられたほどお茶の生育に適した宮崎の山地、五ヶ瀬町周辺。この地域のお茶の始まりに関する民間の伝承には、弘法大師による説をはじめ、諸説あります。釜炒り茶の産地として知られ、現在でも旧暦三月二十一日には茶堂(大師堂)でお茶の接待をする習慣が残ります。
 この地域には、山仕事での食事や一休みの時に楽しまれるお茶に、カッポ茶と呼ばれる焼き茶の風習があります。山中で茶葉も道具も持ち合わせない時、あたりに生えている竹と茶の枝を取ってきて、焚火にさせた竹筒でお湯を沸かし、その中に火であぶった茶の枝を突っ込んでお茶を沸かしました。竹筒の節の狭い出口から、お茶が茶碗に注がれる時の、カッポカッポと立てる音が名前の由来です。山の香りの中で素朴な味を楽しめます。

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