バルカン半島を点々、郷土菓子を尋ねて<コソボ>
<コソボ>聖堂に魂を捧げた人々の傑作デチャニ主聖堂
コソボ中西部のデチャニ村にあるヴィソキ・デチャニ修道院は、1327年にセルビア王ステファン・ウロシュ3世によって建設が始まり、1335年の聖堂完成後、さらに15年の歳月が内装に費やされました。なかでも、聖堂内のフレスコ画がとくに有名で、約1,000点の肖像画などが残っています。
修道院は、セルビア正教会総主教座が置かれているペヤの街の郊外、アルバニアとの国境近く、コソボ内の少数派セルビア人の居住地に建つ、世界遺産「コソボの中世建造物群」のひとつです。
中世以来、セルビア人にとっての重要な巡礼聖地であり、コソボで最初の世界遺産になったにもかかわらず、襲撃のターゲットになっているためコソボ治安維持部隊(KFOR)による検問所が建てられクロアチア兵が警備にあたっています。
門前ゲートでは、パスポート提示で身元チェックをするだけでなく、見学中はリュックやカバンを手榴弾防止の観点から預けなければならないだけでなく、最も貴重品であるパスポートさえ検問所に留め置かれてしまいます。
しかし、ラッキーなことに、撮影は外観さえも禁止になっていたはずなのですが、案内していただいたモンテネグロ出身の修道士様によって、普段開かれない扉が開かれ、思う存分撮影できることになりました。スマホとカメラ、紙幣だけもって入場します。
建築に携わった当時のコトルの町の職人たちは、ロマネスク、ゴシック、ビザンチン様式を取り入れ、四半世紀かけて独自の作品を生み出しました。壁面に所狭しと描かれたキリスト、生神女(聖母マリア)、十二使徒、聖人、新約聖書のエピソード、アダムとイプ、バベルの塔、ノアの方舟、セルビア王家ネマニッチ朝の系図等など、フレスコ画の数、規模は類を見ません。
修道院のショップでは、現在共同生活を送っている30名ほど修道僧たちが作るジュース、蜂蜜、チーズ、ビール、ワインなどが購入できます。
14世紀以来のセルビア正教の文化と伝統、そして信仰のためにここで修道する修道士たちは、外出する際には警備が必要なほど危険にさらされています。
破壊されてしまう可能性が高い危機遺産を見ることができた機会に感謝の一日でした。
上の記事はバルカン半島の郷土菓子を尋ねる旅の途中の記事です。
他地域の物語も読んでいただけたら、幸いです🍀
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