【右脳めし】85歳のおばあちゃんから届いたメッセージ|もしも人生をやりなおせるなら(詩)
「もしも人生をやりなおせるなら」は、ナディーン・ステアさんの詩です。
原題は「if I Had My Life to Live Over」。
この詩を、かみひこうきさんが訳し、こがらしパレードさんの絵を載せたものが、絵本としてディスカバー・トゥエンティワンより出版されています。
作者のナディーン・ステアさんがどのような人物なのか、よくわかっていません。
わかっているのは、彼女がアメリカ合衆国のケンタッキー州に暮らしていたことと、この詩を書いたのが85歳の時だったということだけです。
【引用:もしも人生をやりなおせるなら】
もしも人生をやりなおせるなら、
こんどはもっとたくさん失敗したい。
よけいなチカラをぬいて、
いつもリラックスして暮らす。
そして、
おかしなことを
たくさんする。
この後、85歳のおばあちゃんのやりたいことが、いくつも挙げられていきます。
その内容は、誰でも実現できるほどささやかで、でも夢があって、人生の楽しさを表現するものばかりです。
かといって、彼女は自分の人生を悲観しているわけではありません。
自分は、ごく普通の人として、コツコツまじめに生きてきたと言います。
ああ、そんな
わたしの人生にも、
生きるよろこびを感じた瞬間は
いくどかありました。
もしも人生を
やりなおせるなら、
あんな
ひとときが
たくさん
ほしい。
85歳のおばあちゃんが想い描く「あんなひととき」とは、どういうものなのか。
こうした読み手の空想を支えてくれるのが、こがらしパレードさんが描く、優しいタッチの水彩画です。
こがらしパレードさんの絵は、アメリカの片田舎の女性が描く夢として、詩の世界観を壊さないよう、とても丁寧に描写されています。
とくに、詩の中で表現されていない言葉のビジュアル化が見事でした。
例えば、好きなことをやった後始末として、おばあちゃんは次のことを案じます。
きっと
いまよりも
問題は増えるかも
しれない
この「問題」をどうビジュアル化するのか。
描き手の解釈によって、様々な絵が出来上がるでしょう。
こがらしパレードさんの回答は見事でした。
どのように表現したのか、ぜひ本書で確かめてみて下さい。
イラストレーターを目指している方には、こうした学びも得られる一冊です。
この記事が参加している募集
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 気に入っていただけたら「スキ」やSNSでのシェアをお願いします。