思い出への執着
もう好きなのか好きじゃないのかもわからない、でもなんとなく別れられない
そうやって、なんとなくズルズル付き合っていた人がいました。
思い返せば、楽しかった思い出も沢山ある。
一緒にいた時間が長いほど、関係を終わりにしたらその時間の全てを失うような気がして。
思い出に執着して、抜け出せなくて、今の関係を曖昧なままにしてしまう…
そういう人って案外いるんだろうなと思います。
今月で、昔の彼と別れてから一年になります。3年ほど付き合っていました。
2年が過ぎた頃あたりから、好きなのか分からなくなっていました。
彼の些細な言動が気になるし、嫌だなと思うことが目立って見えるようになりました。
だんだんと彼と私の間に距離ができてきて、わたしからの連絡もあまりしなくなりました。そうすると、なぜか一層彼は連絡を欲しがり、反応を欲しがり、私を欲しがりました。
重たいな、と思うようになりました。
でも、当時の私には、別れ話をする勇気がなかったんです。
いざ別れようと思うと、昔の楽しかった思い出や、一緒に過ごした時間、行った場所、写真、アルバム…全部が濃い思い出になっていて、私を離してくれませんでした。
今は倦怠期なのかもしれない。
一回好きになったんだから、また好きになれるだろう。
今は我慢しよう。
そうやって1年くらい過ごしてしまいました。
でもそれは、相手にとっても失礼な行為だったなと、今となっては思います。
私を大事に思ってくれているのに、私は同じくらい彼を大事に思えていなかった。
それがわかっているのに関係性を切ろうとはせずに、一方的に愛されるだけの図を作ってしまったんです。
浮気してくれれば、とか、なにかきっかけがあれば…とも考えていました。
とにかく私は、もう別れたいと心のどこかで思っているのに、行動に移すための一歩を踏み出せなかったんです。
たくさん彼を傷つけたと思います。
結局、3年目の春に別れることになりました。
別れて感じたのは、そういう中途半端な気持ちや申し訳なさからの解放でした。
別れた1番の理由は、そんな中途半端な気持ちを持ち続けながらフワフワしていた私に向かって友達が言った一言でした。
「人の気持ちが絡んでいる時に、自分よがりだったり、中途半端な行動をしたらいけないよ。」
今でもよく覚えているし、その通りだなあって。
相手のためにも、そして、自分のためにも、別れて正解だったと思っています。
しっかり、別れたいと言う。
寂しさや思い出、自分が1人になってしまう苦しさを怖がって、中途半端な行動をしないこと。
それが、彼に冷めてしまったわたしのちゃんとした責任の取り方だと思ったからです。
春、沢山の出会いの裏で、沢山の別れがある季節。
この季節になると、卒業式のあの頃や、懐かしい青春の記憶に混じりながら、そんな恋心を持っていたあの時を思い出します。
お互い、違う誰かと幸せになれたら良いね。
3年間ありがとう。