「よい子」から抜け出す勇気 ~親と子の心のつながり~
不登校の相談を受ける中で、ふと思うことがあります。それは、子どもだけでなく、親御さん自身も「よい子」として育ってきたのかもということです。
「よい子」のルールが生む心の壁
小さな頃から、親や周囲の期待に応え、「ダメな自分を見せてはいけない」「弱さを見せたら迷惑をかけてしまう」と感じて育つと、大人になってもその考えが根深く残ることがあります。そして、その感覚は知らず知らずのうちに子どもにも伝わっていくのです。
たとえば、不登校になったお子さんが「自分が親をがっかりさせている」と感じ、さらに心を閉ざしてしまうケースがあります。あるいは、親御さん自身が「こんな私じゃ子どもの助けになれない」と思い詰めてしまうこともあります。
良い人であろうとする弊害
あるご家庭では、お母さんが「子どもが学校に行けないのは、私がちゃんとできていないせいだ」と自分を責め続けていました。一方で、そのお子さんも「お母さんをこれ以上心配させたくない」と思い、何も話せなくなっていました。
こうした状況では、親も子もお互いに「良い人」であろうとして、本当の気持ちを隠してしまうのです。その結果、お互いが苦しくなり、問題の根本を話し合えないまま、心の距離が広がってしまいます。
「ダメな面」を見せることが大切な理由
親として完璧であろうとする必要はありません。むしろ、親御さんが失敗をしたり、間違ったりした時に、「ごめんなさい」と素直に言えることが、お子さんにとっても安心感につながります。
子どもは親の背中を見て育ちます。もし親が「失敗や弱さを見せるのは恥ずかしいことではない」と示せれば、子どもも自分の感情を素直に表現できるようになると思うのです。
親としてできる具体的な一歩
自分を責めないこと
親御さんが自分を責めてしまうと、その感情がお子さんにも伝わります。「私は十分に頑張っている」と自分を認めることが、まず大切です。本音を話せる場を作る
親御さんが安心して本音を話せる場を見つけましょう。たとえば、友人や支援者、専門家との対話を通じて、自分の気持ちを整理することができます。お子さんに安心感を与える言葉をかける
「どんな君でも大丈夫だよ」「一緒に考えていこう」といった言葉を、お子さんに伝えましょう。親がそう言ってくれるだけで、子どもは大きな安心感を得られます。小さな成功を積み重ねる
「完璧」を目指すのではなく、小さな一歩を大切にしましょう。たとえば、親御さん自身が「今日は自分の好きなことをしてリフレッシュできた」と思える時間を持つことも、その一歩です。
親も子どもも「そのままの自分」で大丈夫
「よい子」であることを手放すのは、簡単なことではありません。でも、「弱さを見せること」は、決して悪いことではなく、「本当の自分」を取り戻すための大切な一歩です。
親御さんが少しずつ心を軽くし、「そのままの自分でいいんだ」と思えたとき、お子さんも「そのままの自分」を受け入れることができるようになります。
もし今、不安や悩みを抱えているなら、まずは一緒に話してみませんか?どんな悩みでも、一緒に向き合うことで解決の糸口が見つかるはずです。