「多様な学びの場」「必要な支援」とは?
近年、「多様な学びの場が大事」とよく言われるようになりました。
しかし、不登校の子どもたちにとっての「学びの場」とは、一体どういうものでしょうか?
「学校に行かない=家に閉じこもっている」と思われがちですが、実際はそうではありません。多くの子どもたちは、ある程度の期間を過ごした後、少しずつ 「何かしたい」「学びたい」 という気持ちを取り戻していきます。
その時に、真っ先に思い浮かぶのが 「フリースクール」 と言う人も多いのではないでしょうか。
フリースクールが「学びの場」として認められるまで
2017年に施行された 「教育機会確保法」 は、不登校の子どもたちのために 「多様な学びの場」 を提供することを目指して作られた法律です。
この法律により、フリースクールなどの民間の学びの場も 「学習活動」 として正式に認められるようになりました。
しかし、法律ができたからといって、すぐにすべての人の意識が変わるわけではありません。
今でも 「学校に行くのが当たり前」 という考え方が根強く残っており、不登校への理解が十分に進んでいないのが現実です。
特に、親御さん自身が 「フリースクールに通わせてもいいのか?」 と悩んでいるケースも多く、また学校の先生や地域社会の中にも 「フリースクールは学校じゃない」 という誤解や偏見を持つ人がいます。
そのため、不登校の子どもが安心して学べる場を増やすには、フリースクールの存在を正しく理解してもらうことが大切 だと感じています。
フリースクールの現状と課題—「お金の問題」が大きな壁に
昨年11月、県内のフリースクールやオルタナティブスクールが一堂に集まる意見交換会に参加しました。
今では、各地にフリースクールが増え、またいろいろな特色があるフリースクールが増え、子どもの特性や性格にあったところを選びやすくなってきています。
そして、そこで改めて感じたのは、「こんなにも子どもたちのために活動している団体があるんだ!」 という喜びと、同時に 「こんなにもフリースクールを利用している家庭が多いんだ」 という現実でした。
つまり、それだけ 「学校以外の学びの場」 を求めている子どもたちが多いということです。
しかし、フリースクールに通うためには 費用の問題 がついて回ります。
現在、フリースクールの利用料は、月額 平均3万3千円 と言われています。
義務教育の年齢でありながら、学校以外の学びの場を選ぶと、家庭の負担が大きくなるのが現状です。
特に経済的に厳しい家庭では、「フリースクールに通わせたくても通わせられない」という状況が生まれています。
公的支援はあるの?—「就学支援制度」の現状
残念ながら、現在 国の就学支援制度では、フリースクールの費用は補助対象になっていません。
しかし、一部の自治体では 独自の支援制度 を設けているところが徐々にですが増えてきています。
例えば、フリースクールの費用を一部助成する制度を設けたり、通学費を補助したりする自治体もあります。
私自身、この2年間 「フリースクール等の利用に対する家計支援制度を考える調査研究部会」 のメンバーとして活動し、子どもたちが 「家庭の経済状況に関係なく、自由に学びの場を選べる仕組み」 を作るための提案を続けています。
こうした 「草の根運動」 は、地道ではありますが、確実に社会を変える力になると信じています。
「多様な学びの場」を本当に実現するために
フリースクールの問題だけではなく、不登校の子どもたちを取り巻く課題はまだまだたくさんあります。
制服問題(制服がないと行事に参加できない)
給食問題(給食を食べられないと出席が難しい)
身体測定・健康診断(不登校の子が受けられないことがある)
こうした課題に向き合うためには、学校や自治体だけでなく、社会全体で不登校への理解を深めることが必要 です。
「学校に行かない=悪いこと」ではありません。
子どもたちは、それぞれのペースで、自分に合った学びの場を見つけていくものです。
その選択肢を 経済的な事情や偏見によって狭めてしまうことがあってはならない と思います。
私自身、できることは限られているかもしれません。
でも、これからも 「誰もが安心して学べる社会」 を目指して、少しずつでも発信を続けていきたいと思います。