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子どもが心の限界を訴えたとき

親ができること

これまで関わってきた親御さんたちの中には、子どもが「死にたい」と言葉で訴えたり、遺書のようなメモを書いているのを見つけた方もいらっしゃいます。そんな場面に直面したとき、親として心配でたまらないのは当然のことです。
でも、その瞬間こそ、まずは深呼吸をして、子どものつらい気持ちを否定せず、ただ受け止めてあげることが大切です。


心の叫びを受け止める大切さ


まず知ってほしいのは、「死にたい」という言葉を伝えてきてくれたというのは、「助けてほしい」という心の叫びであるということです。そして、その言葉を親に向けて言えるということは、子どもがあなたを信頼している証拠です。

親御さんとしては、「そんなこと言わないで」と否定したくなる気持ちがあるかもしれません。でも、まずは深呼吸をして、こう伝えてみてください。
「話してくれてありがとう。つらい気持ちだったね」と

それから、子どもの目を見て、しっかりと伝えましょう。
「お母さん(お父さん)は、どんなときでもあなたの味方だよ。」

子どもが抱えるつらさを否定せず、「辛い気持ちに気づけなかったこと、ごめんね」と謝ることも大切です。これだけでも、子どもは「自分を理解しようとしてくれる人がいる」と感じられるように思います。


励ますつもりが傷つける言葉になることも


親としては子どもを元気づけたい気持ちから、「お母さんも昔は辛かったけど、こうやって乗り越えたよ」や、「頑張れ!」と励ましの言葉をかけたくなることがあるでしょう。しかし、それが子どもにとってはプレッシャーになる場合もあります。

たとえば、子どもは「自分にはそんなふうに乗り越えられない」「お母さんと私は違う」と孤独感を感じてしまうかもしれません。

大切なのは、子どもの「辛さ」や「苦しみ」をそのまま受け止めることです。
「それは本当に辛かったね」「苦しかったんだね」と共感の言葉をかけ、親としての「生きてほしい」という思いをしっかり伝えてあげてください。


苦しみに気づいたときの対応

言葉では表現できないつらさを紙に書いたり、自分を傷つける行動(リストカット)に出たりする子どももいます。これらの行動は珍しいことではなく、多くの親御さんが相談に来られました。

特に思春期は、心も体も不安定になりやすい時期です。

もし子どものリストカットに気付いたら、まずは叱らないでください。代わりに、こんな行動を試してみてください

傷を目にしたら、そっと絆創膏を置いて「痛かったね」と書いたメッセージを添えたり、チョコレートや子どもが好きなお菓子を一緒に置き、「ちゃんとあなたを見てるよ」と伝えましょう。

これは、「あなたの存在を大切に思っているよ」というメッセージをさりげなく伝える方法です。また、傷のケアをしたい場合も、子どもにこう尋ねてみてください。
「どうしてほしい?」

親の心配を押し付けるのではなく、子ども自身の意思を尊重することが大切です。


SOSを外に向ける勇気を


親として、子どものつらさを受け止めるのはとても勇気がいることです。でも、それを自分だけで抱え込む必要はありません。信頼できる専門家や支援者に相談するのは、子どもの命を守る大切な一歩です。

「親として責められるのでは」と感じたり、「恥ずかしい」と思う必要はありません。あなたの行動が、子どもを救うだけでなく、親自身の心の負担を軽くすることにもつながります。

もし、どこに相談すればよいかわからない場合、私のところでも構いません。特効薬のような解決策を持っているわけではありませんが、一緒に考え、行動することはできます。一人で抱え込まず、まずは声を上げてください。


「聴く力」がもたらす安心感

子どもが発する「助けて」のサインを受け止めるのは、親にとっても大きな挑戦です。しかし、そのサインに寄り添い、受け止めることで、子どもにとって安心できる居場所をつくることができます。

忙しい日々の中で、子どもの心の声を聴く時間を少しだけ意識してみてください。その「聴く」という行動が、子どもの命を守り、未来を明るく照らす大きな力になります。

その行動が、私たち親自身の心を軽くするきっかけにもなるのです。
あなたとお子さんが、心から笑える日が訪れることを願っています。

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