
受験のためだけに制服を買う?— 不登校と制服問題について考える
高校受験のこの時期になると、制服について改めて考えることが増えます。
期待と不安と・・
特に、小学校から不登校が続いているお子さんを持つ親御さんにとって、中学校の入学準備は大きな悩みのひとつです。
「学校には行ってほしい。でも、今の状態を考えると、無理かもしれない…」
そんな不安を抱えながらも、多くの親御さんが、すべての制服や学用品をそろえ、4月の入学式を心待ちにしていました。けれど、結果として中学校には通えず、1年生のときに購入した制服が3年生になる頃にはすっかりサイズアウトしてしまう——こうした話をこれまで何度も耳にしてきました。
「受験は制服着用」— でも、もう着られない…
Omimiかふぇに参加されているある親御さんのお話です。
その方のお子さんは不登校で、中学校にはほとんど通っていませんでした。しかし、高校進学を目指すことになり、いざ受験を控えたとき、中学校の担任から「受験時は制服着用」と言われました。「その指示に従えない場合は受験できません。」と。
ところが、その子は3年間の間に大きく成長し、制服がもう入らなくなっていました。それでも「制服着用が必須」と言われ、受験のためだけに新しく制服を購入するかどうか、親御さんは頭を抱えていました。
しかし、よく調べてみると、高校受験時の服装は 「中学校の制服着用が望ましい」 とはされているものの、「必ず着用しなければならない」というわけではないことがわかりました。
ただ、この情報を中学校側が知らなかったり、しっかり伝えられていなかったりすると、親御さんは「受験のためなら仕方ない…」と無理をしてでも新しい制服を購入してしまうことになります。
実際、この親御さんもとても悩んでいましたが、私はその中学校を卒業した知り合いに声をかけ、なんとか制服を譲ってもらうことができました。そのおかげで、その子は無事に受験を迎えることができました。
「制服がないから、参加を諦める」
このような「制服問題」は、受験に限った話ではありません。
たとえば、卒業式や修学旅行、部活動の大会など、さまざまな学校行事で 「制服着用が原則」 というルールが存在しています。
しかし、不登校の子どもたちの中には、制服を持っていない、またはサイズアウトしてしまっている子も多く、「制服がないから参加できない」と諦めざるを得ないケースも少なくありません。
学校側が「制服着用」を求めるのであれば、それに対応する仕組みも必要なのではないでしょうか。
例えば、「制服は無料配布にする」「制服バンクを設けて、必要な子が借りられる仕組みを作る」 などの対応が考えられます。
「制服バンク」はもっと広まるべき
不登校の子どもに限らず、制服を新調することが難しい家庭もあります。SNSで「制服を譲ってほしい」と呼びかけたこともありますが、なかなか集まらないのが現状です。
一部の中学校では、文化祭などで 「制服バザー」 を開催しているところもあります。しかし、その場合、情報が不登校の家庭にはなかなか届かず、必要としている人が利用できていないことも多いのです。
もし、地域全体で 「制服バンク」 のような仕組みがあれば、不登校の子どもたちや家庭にとって、大きな助けになると思います。
「制服問題」は選択の自由だけではない
最近では、スカートかズボンかを選べる制服 が増え、ジェンダーの多様性に配慮した取り組みが進んでいます。
しかし、制服に関する問題はそれだけではありません。
「制服があることで、学校に行きにくくなる子もいる」
「制服を持っていないから、学校行事に参加できない子がいる」
こうした視点も持ち、より多くの子どもたちが 「学校に関わりやすい仕組み」 を考えていくことが大切なのではないでしょうか。
親として、地域の大人として、できることを模索しながら、これからも発信していきたいと思います。