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情報が届かない現実と私たちにできること

「未然防止」から「支援」へ――親たちの声が生んだ変化

福岡県ではここ数年、「不登校未然防止」という言葉を掲げた取り組みが行われてきました。具体的には、保護者向けの「保護者のアクション3」と、学校向けの「福岡アクション3」というリーフレットが作成され、不登校の予防を目指した内容が掲載されていました。

しかし、この「未然防止」という言葉に違和感を覚えた親たちがいました。「不登校は防ぐべきもの」という表現は、子どもたちが感じている苦しさや親の葛藤を十分に理解していないのではないか? そんな思いから、3年前に「不登校を考える親の会ネットワークふくおか」という団体が設立されました。そして、県との面談を通じ、不登校の親の気持ちや子どもの声を3回にわたって伝え続けました。

その結果、今年からは「未然防止」という言葉が使われなくなり、「一人ひとりの社会的自立に向けた支援のための家庭の取組」や「新たな不登校を生まない学校づくり」という表現に変更されました。この変化は、親たちの地道な活動の成果であり、諦めずに声を上げ続けることの大切さを示しています。


リーフレットの課題――必要な情報が届かない現実

とはいえ、どれほど良いリーフレットが作成されても、不登校の児童生徒数は増え続けています。このリーフレットの内容は素晴らしいものですが、それを手にすることができるのは学校に行けている子どもの親がほとんどです。そのため、どこか他人事のように捉えられ、本当に深刻な問題として受け止められていないのではないかと感じます。

「不登校はどの子どもにも起こる可能性があります」と書かれている通り、いざ自分の子どもが不登校になったときに初めて、その困難さや必要な支援に気づくことが多いのです。

私の元に来られる方々の中にも、「突然、中学生や高校生になってから不登校になりました」とお話しされる方が少なくありません。
「このリーフレットを見たことはありますか?」と尋ねると、多くの方が「見たことがない」と答えられます。情報が届いていない現実に、残念な気持ちを抱くことがあります。


情報の溢れる時代に、自分事として受け取るために

今の時代は、ネットやSNSで膨大な情報が飛び交っています。しかし、その中から本当に必要な情報を手に入れるのは容易ではありません。自分にとって必要だと気づいた瞬間にようやく情報が目に入ってくることもありますが、それまでは目の前にあっても見えていないのです。

だからこそ、情報を発信することはとても重要だと感じています。ネットやSNSを通じて、必要な人に情報を届けるための努力が欠かせません。

私が「note」を書く理由も、ただ一つです。私の体験や想いが、どこかで誰かの役に立つかもしれないと願っているからです。

最後に

「未然防止」という言葉が見直され、支援へと視点が変わったことは、大きな前進だと思います。しかし、これをどう伝え、必要な人に届けていくかがこれからの課題です。

もしこの記事を読んで、何か気づきや共感を持っていただけたら、ぜひ身近な方とシェアしていただけると嬉しいです。情報を必要とする人に、少しでも多くの希望が届きますように。


 一人ひとりの社会的自立に向けた支援のための家庭の取組 

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/717539_62042459_misc.pdf


新たな不登校を生まない学校つくり

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/717534_62042385_misc.pdf


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