アンコンシャス・バイアス
あなたは子どもの声(話)を聴けていますか?
活動や講演でよくお話しするテーマの一つに「アンコンシャス・バイアス」があります。耳にすることが増えた言葉かもしれませんが、まだその意味や日常生活にどう関係するのかを深く知っている人はまだまだ少ないように思うので、こちらに投稿することにしました。
アンコンシャス・バイアスとは、無意識のうちに持ってしまう偏見や、ものごとの捉え方にクセがついていることを指します。偏見というと少し強い言葉に聞こえますが、私たちは皆、ある種の「思い込み」を抱えているのです。
私が持っていたアンコンシャス・バイアス
私自身、昔はとても強いアンコンシャス・バイアスを持っていました。友人からは「あなたには『しのぶ憲法』があるね」と言われ、いつも何かに怒っているように見えたそうです。当時は「しのぶ憲法なんてあって当然、自分にはしっかりした信念があるんだ」と思い、自分を変える必要があるとは思っていませんでした。むしろ、直す必要なんて全くないとさえ感じていたのです。
しかし、この「しのぶ憲法」は、家でも外でもコミュニケーションの障害となり、思わぬトラブルを引き起こしました。
そして、トラブルになった相手に対して、「あの人が悪いから、こんなことになった」と他責志向になってしまい、自分の言動を振り返ることなどはありませんでした。
さらに、子どもの話を聴こうとする時には「自分の捉え方のクセ」が特に影響して、子どもが本当に伝えたかったことを勝手に解釈してしまうことが多かったのです。私たちは「子どものため」と思いながらも、実際には自分自身の視点でしか見えていなかったのかもしれません。
この「捉え方のクセ」は、私たちがこれまで生きてきた中で無意識に学んできたものです。親や学校、周りの大人たちから受け継いできたものや、経験や体験が積み重なり、癖として根づいてしまっています。それに気づくのは簡単ではありませんし、自分にとって居心地が良いものであればなおさら修正するのは難しいと感じます。
しかし、この「捉え方のクセ」に気づき、少しずつ変えていくことができれば、きっと自分や家族にとっても心が軽くなり、悩みも減るのではないでしょうか。
気づくと自分だけでなく周りも変わり始める
私が運営しているOmimiかふぇでも、保護者の皆さんにこのことをお話しする機会がよくあります。アンコンシャス・バイアスを意識することで、子どもとの接し方や受け止め方が少しずつ変わり、より良いコミュニケーションが築けるようになっていったというお声もいただいています。
バイアスに気づくことで起こる変化
・人との関係が穏やかになる
バイアスに気づくことで「自分の思い込みで相手を判断していた」と気づく場面が増えます。このことにより、以前は相手に対して抱いていたイライラや怒りの感情が減り、コミュニケーションがスムーズで穏やかになります。自分の思い込みが原因であったと理解すると、誤解が減っていきます。
・柔軟な視点で向き合えるようになる
子どもに対しても「こうあるべき」「こうするのが普通」という固定観念を押し付けることが少なくなります。たとえば、学校に行くのが「当然」ではなく、子ども自身が何を感じ、どう過ごしたいのかに焦点をあてて対話ができるようになります。これにより、子どもが安心して自分の考えや気持ちを伝えやすくなっていきます。
・新しい成長のきっかけになる
バイアスに気づくことは、自分の価値観や信念を見直すチャンスでもあります。「自分が正しい」と信じていたことが崩れることもありますが、それは成長の大きな一歩。固定観念から解放されると、新しい価値観や考え方を受け入れる心の余裕が生まれ、自分自身がさらに成長するきっかけにもなります。
・自己理解が深まり、心が穏やかになる
バイアスに気づくと「なぜ自分がそう感じるのか」や「どうしてこう判断してしまうのか」を内省するようになります。自分の内面を見つめることで、「この考え方は親からの影響だったかもしれない」「過去の経験が影響しているのかも」と、自分の思考の癖を理解する手がかりを得ることができます。その理解が進むと、自分を客観視できるようになり、ストレスや不安も和らぎます。
保護者の方々は、自分自身を責めてしまい、心の余裕がなくなってしまいがちですが、少し視点を変えてみると、子どもたちの本当の声が聴こえてきたという親御さんもいらっしゃいます。そしてご自身の心配事も少しずつ減っていき、心の余裕も出てくるように思います。そんな気づきを、一緒に考えてみませんか?