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食べる力と生きる力。育むためにできること

「食育」という言葉を耳にする機会が増えました。食育とは?と調べると、「食」に関する知識や習慣を身につけ、健康な体と心を育てることと、書いてありました。

私のもとにいらっしゃる親御さんの中には、お子さんの食欲について悩みを抱えている親御さんも多くいます。
お話を伺うと「食べること」に関する問題が、心の問題と結びついているケースが少なくありません。

不登校と食欲の問題 ~よくあるお悩み~

たとえば、不登校になったお子さんの食欲が急激になくなり、食べる意欲すら失ってしまったというお話を伺うことがあります。
「何か食べたいものがある?」と尋ねても「何もいらない」と返され、親御さんが心を込めて好きなものを作っても、ほんの少し食べただけで「お腹いっぱい」と言うことが続くそうです。

無理に食べさせることもできず、日々やせ細っていくお子さんを見て、「どうしたらいいのかわからない」と涙ながらに相談される方もいらっしゃいました。お菓子やジュースなら食べてくれるかと試しても、それすら拒まれてしまうこともあるのです。

食べることと心のつながり

こうした問題の背景には、単なる食欲不振だけではなく、心の問題が関係していることが多いと言われていて、「食べる力」を失う理由には、以下のような可能性があると言われています。
・ 精神的なストレスや不安が原因で、食べること自体が負担に感じられる
・ 自分の気持ちをうまく表現できず、食欲減退という形で表れている
・ 身体の不調やエネルギー不足が、さらに食欲低下を引き起こしている
こうした状況において、親御さんだけで解決しようとするのは非常に難しい問題です。

まずは適切な支援を受けることから

お子さんが食べることを拒む状態が続く場合、早めに医療機関や専門のカウンセラーに相談することをおすすめします。適切な診断やサポートを受けることで、心と体のバランスを整える第一歩を踏み出すことができます。

・小児科や心療内科への相談:専門医が身体的・精神的な状態を確認し、必要な治療やアドバイスを提供してくれます。
・カウンセリングの活用:お子さんが安心して気持ちを話せる場を提供することで、心の負担を軽減することができます。
・栄養士のアドバイス:無理なく食べられる食事やスムージーなどの工夫を提案してもらうことも役立ちます。

親としてできること

親御さんが不安を感じるのは当然のことです。ですが、その不安をお子さんに伝えてしまうと、さらにプレッシャーを与えてしまうこともあります。
私が親御さんにお伝えしているのは、「一人で抱え込まないこと」です。たとえば、次のような工夫を試してみてください。

  1. 落ち着いて気持ちを整える
    お子さんの食欲がない姿を見ると心配になりますが、親が穏やかでいることがお子さんにも安心感を与えます。無理に「食べさせなきゃ」と焦らず、小さな一歩を大切にしましょう。

  2. 専門家の力を借りる
    医療機関やカウンセラーに頼ることで、親御さん自身も「これで大丈夫」と感じられるようになります。お子さんの心身を支えるためにも、プロの力を借りることは必要な選択です。

  3. 「食べられるもの」からスタート
    無理に食べさせるのではなく、お子さんが「少しなら食べてもいい」と思えるものから始めてみましょう。たとえば、果物やスープなど、食べやすいものを用意するのも一つの方法です。

  4. 話を聞いてもらえる場を探す
    親御さんが不安な気持ちを抱え込まないよう、相談できる場所や仲間を見つけることも大切です。たとえば、私が運営している「Omimiかふぇ」では、親御さんの気持ちをじっくりとお伺いし、一緒に解決の糸口を探しています。お住まいの地域などで、検索してみると良いと思います。


一緒に「食べる力」を取り戻すために

「食べる力」は、「生きる力」と深く結びついています。そして、その力を支えるのは、親御さんの愛情と安心感です。一人で抱え込まず、周りの力を借りながら、焦らず一歩ずつ進んでいきましょう。

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