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「安否確認」はだれのため?

最近は聞かなくなりましたが、omimiかふぇに参加された親御さんから、かつてこんな話を聞いたことがあります。
学校側が「安否確認」として、不登校の子どもに直接会わなければならないとし、親子を追い詰めるケースがあったというのです。

子どもたちは、何らかの苦痛を経験し、家で休息を取る必要があって登校を控えています。そのような子どもに、学校の先生が直接会うことを強要するのは、さらなる精神的負担を与えかねません。
ですが学校からは、直接会えない場合は、市への報告を行わなくてはならなくなり、それでも確認ができないと、児童相談所や警察への通告になると説明されたようです。

安否確認が親子を追い込む現場

ある親御さんがこんな体験を話してくださいました。
学校から市へと「安否確認」の役割が移行した後のことです。子どもの様子を何とか見せようと提案を重ねましたが、次々に却下されてしまったそうです。

  • 寝ているところを見てもらう提案 → 却下(動いていないとダメ)

  • 座っている姿を後ろから見てもらう提案 → 却下(顔が確認できないから)

  • 友人に確認してもらう提案 → 却下(未成年は承認者になれない)

結局、心療内科への通院時に、駐車場で車の中から子どもを確認してもらうという形で安否確認を行うことになり、3か月に1度、それを続けるしかなかったそうです。

このような状況は、親御さんと子どもの心の負担を増やすばかりです。本来、安否確認は子どもの安全を守るために行われるべきですが、その方法が子どもや家族を追い詰める結果になってしまうのは本末転倒です。

なぜこんな対応が行われたのか?

こうした安否確認の背景には、不登校に対する学校側の理解不足や、過去の事件を受けて制定された文科省の通知があります。
『連続して欠席し連絡が取れない児童生徒や、学校外の集団との関わりの中で被害に遭うおそれがある児童生徒の安全確保に向けた取り組みについて(通知)』
この通知自体は、子どもたちを事件や被害から守るために必要なものでした。しかし、現場での対応が画一的で融通が利かず、かえって子どもや親を苦しめてしまうことが少なくありません。

教育機会確保法とその現状

2017年に施行された教育機会確保法や2019年の文科省通知では、不登校の子どもが学校を休む必要性が認められ、学校復帰を目標とする方針は廃止されています。
子どもが心身を休ませ、安心できる環境を整えることこそが、まず大切だとされているのです。

しかし、この法律や通知の内容を十分に理解している教師や教育関係者がどれほどいるのでしょうか?一部では未だに、強引な安否確認が行われ、子どもや親が追い詰められるケースが存在します。

親としてできること

私たち親ができることは、まず子どもの心に寄り添い、安心して休める環境を整えることです。そして、必要に応じて学校や教育委員会に「教育機会確保法」についての理解を求めることも大切です。

また、学校や関係機関の方々にも、「安否確認」の意義とその影響について知っていただきたいと願っています。
強引な対応ではなく、子どもと親が安心して過ごせる方法を一緒に考えることができれば、不登校の問題はもっと違った形で解決に向かうのではないでしょうか。

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