親の会が果たす役割と私の思い
私が活動を始めたころは、「親の会」という言葉を聞く機会も少なく、またその必要性を感じている方もまだ限られていました。しかし、今では私の元に「親の会を作りたい」という相談が増え、とても喜ばしいことだと感じています。それは、不登校や子育ての悩みに寄り添う場が求められている証です。
ただ、本心を言えば、親の会が少なくて済む社会が理想的です。それでも、不登校の児童生徒が増え続け、その傍にいる親御さんの数も増えている今、そうした方たちの居場所が必要なのは間違いありません。居場所があるだけで、「ひとりじゃない」と感じることができるのです。
学校や行政にできること、そして私たちの役割
時々、「学校の中に親の会があれば良いのでは?」と考えることもありますが、それは意外とハードルが高いのかもしれません。学校や行政はどうしても子ども本人の問題に目が向きがちで、保護者への支援にまで手が回らないことが多いです。ですが、子どもを支える家庭の安定こそが何より大切だと私はいつも思っています。
不登校になる前から、社会の中で「当たり前」と思われていることを見直し、変えていく必要があると考えています。そのためには、学校や家庭だけでなく、地域や社会全体が柔軟に変化していく必要があります。
もちろん、社会を変えることは簡単ではありません。でも、少しずつでも、自分の身近なところから変えていきたいと思っています。それが、私たち一人ひとりにできる最初の一歩だと信じています。
初心に帰る――最初の一歩を思い出して
私が活動を始めたきっかけは、地元の小学校のコミュニティルームからでした。そこでは、不登校の親御さんだけでなく、子育てに悩む保護者の方々と一緒に話す場を作っていました。その中で、「どうすれば子どもとのコミュニケーションが取れるのか」を一緒に考える時間を持つことができました。
不登校になってから悩むのではなく、その前に子どもの心に寄り添う方法を家庭の中で模索することも大切だと思います。最近、私はその初心を思い出し、「あのころの活動もまた見直すべきなのではないか」と考えることが増えています。
NPO法人にしない理由と「えがおの会」のこれから
これまでに「なぜえがおの会をNPO法人にしないのですか?」と聞かれることが何度もありました。また、「すでに法人化していると思っていました」と言われたこともあります。
確かに、NPO法人にすることで信頼を得やすくなる面もあります。活動を始めた頃は、考えたこともありますが、活動の中で、法人化が必要だと感じるほどの事は発生しませんでした。それよりも、信頼関係を築くために必要なのは「法人格」ではなく、継続的な活動と寄り添う心だと考えていたため、説明会に1度参加しただけで、具体的な手続きなどについて調べたり行動したりする時間を持とうとしませんでした。
活動をしていく中で、道は色々と現れると思います。私の場合は、教育委員会や学校運営協議会の委員として活動する中で、地域の方々や行政と信頼関係を築くことができました。それが今、講演や研修の機会をいただけることにも繋がっています。
私が活動を続けている理由、それはただ一つ。子どもたちの幸せのためです。そして、その想いは親御さんを支える活動にも繋がっています。
「続けること」の大切さ
もちろん、NPO法人化にはメリットがあります。たとえば、信頼を得やすくなることや、活動資金の調達がしやすくなる点です。
ですがその前に、私が伝えたいことは、コツコツと活動を続けていれば、必ず芽が出て花が咲くということです。その道は時に険しく、自腹を切ることも少なくありません(笑)。でも、それでも続けていれば、必要な人に想いが届く日が必ず来ます。
親の会を立ち上げたいと考えている皆さん、どうかその想いを大切にしてください。そして、一歩を踏み出してみてください。あなたの活動が、悩んでいる誰かの支えになる日がきっと来ます。
これからも私自身、初心を忘れずに活動を続けていきたいと思っています。そして、親の会を作ろうとされている皆さんのその想いが、必要な人にしっかり届きますように。私も全力で応援しています!