
「話すことで心が軽くなる――感情を押し込めずに向き合う大切さ」
私たちの心は、安定していないとイライラしたり、不安になったりします。でも、自分の脳や心の状態を 「本当に理解できているか?」 と聞かれると、意外とわからないことが多いものです。 「なぜこんなにイライラするのかわからない」「理由もなく不安になる」 そんな経験はありませんか?
誰かに話すことの大切さ
ある方の話を紹介します。その方は、 「動悸がする」「喉のつまりを感じる」 という症状がありました。不安になり病院で検査を受けたものの、特に異常はなく 「様子を見ましょう」 と言われただけでした。でも、症状が続くと「何か見落とされているのでは?」とますます不安が募りますよね。
そんなとき、その方が私とつながり、対面でお話をする機会がありました。 1時間ほどお話を聴いただけ だったのですが、その後すぐにメールが届きました。
「杉浦さんに話を聴いていただいたら、不思議なことに喉のつまり感がなくなり、動悸も治まっていました。」
何年も悩んでいた症状が、病院ではなく 「話すこと」 で解消されたのです。この方の不調の原因は 「自分の中にある不安や悩みを言葉にできず、押し込めてしまっていたこと」 でした。
不安をためこむと、心も体も悲鳴をあげる
実は、この方の悩みの根本には 「子どもの不登校」 という問題がありました。お子さんの不登校をきっかけに、 不安・悲しみ・怒り といった感情が入り混じり、でも 「子どもを責めてはいけない」 と本などで学び、自分の感情を押し込めるようになってしまったのです。
本来なら、誰かに話して発散できるはずの感情が、心の奥にずっと閉じ込められてしまった結果、体に 「動悸」や「喉のつまり」 という形で表れたのでしょう。でも、安心できる場所で、涙を流しながら素直に感情を話せたことで、 心と体のバランスが取り戻せた のではないかと思います。
この経験から、私は改めて 「話すことの大切さ」 を実感しました。
「話すことで心が軽くなる」――親も安心できる場が必要
最近、不安障害やパニック障害を抱える人が増えていると言われます。その背景には、 「自分の感情を素直に出せる場がない」 ということも関係しているのではないでしょうか。
子どもの不登校に直面したとき、親は 「どうしたらいいの?」 という不安と同時に、 「自分のせいではないか?」 という罪悪感を抱えがちです。でも、その気持ちを一人で抱え込んでしまうと、心だけでなく体まで悲鳴をあげてしまうことがあります。
大切なのは、 「安心して話せる場を持つこと」 です。
それは、カウンセリングのような専門的な場でなくても構いません。信頼できる友人、家族、同じ経験を持つ人たちとつながることができれば、心の負担は大きく違ってきます。
この方のお子さんは、今では成人し、元気に働いているそうです。親御さんも、今では 「あのときは大変だったけど、今は笑って話せます」 と、穏やかな表情で報告してくださいました。その笑顔を見るたびに、 「話すこと」「共有すること」がどれほど大切か を改めて感じます。
もし、あなたが今 「誰にも話せない」 という悩みを抱えていたら、どうか安心できる場所を探してみてください。話すことで、心が少しでも軽くなるかもしれません。