腸と心の深い関係〜子どもの「行きたくない」にどう向き合うべきか?〜
子どもに「学校に行きたくない」と言われたら
子どもから「学校に行きたくない」と言われたとき、多くの親御さんはどう対応すればよいのかわからず、不安や戸惑いを感じるものです。特に、「勉強が遅れてしまうのではないか」という心配が最初に頭をよぎるのではないでしょうか?
私自身も同じ経験をした一人です。そして、最初の対応がその後の子どもの状況に大きく影響することを身をもって学びました。ここでは、親がやってしまいがちな間違った対応と、より良い対応の考え方をご紹介します。
親がやってしまいがちな対応
行かないことを頭ごなしに責める
「みんなはちゃんと行っているのに、ずる休みだよ!」
「熱もないのに休むなんてダメ!」
→ 子どもを責めることで、さらに不安やプレッシャーを強めてしまいます。
「どうして行かないの?」と詰問する
「何があったの?」
「理由を教えて!」
→ 理由を無理に聞き出そうとすることで、子どもが追い詰められたり黙り込んでしまうことがあります。
無理やり学校に連れて行く
嫌がる子どもを車に乗せて学校に連れて行く。
→ 体の不調や心の負担を無視する形になり、子どもがさらに心を閉ざしてしまう可能性があります。
私自身の経験
私の娘が中学生の頃、朝起きて「頭が痛い」「お腹が痛い」と訴えることがありました。そのときの私は体温計を渡して熱を測らせ、熱がなければ頭痛薬を飲ませて、「これで学校に行きなさい」と言っていました。また、トイレにこもって出てこないときは、学校に電話をして「病院に連れていきます」と伝え、受診後に異常がなければ学校へ送る、という対応をしていました。
今振り返ると、当時の私は子どもの心の中を全く理解しておらず、表面的な症状だけで判断していたのだと反省しています。
腸と脳の関係から考える子どもの体調不良
ヒプノセラピストの勉強をした際、「腸は第二の脳」と呼ばれる理由を知りました。
例えば、親御さんからよく聞く話の一つに、
「お腹が痛いと言うので学校を休むと連絡した途端、何事もなかったかのように元気になる」というものがあります。
これは嘘ではなく、学校に行かねばならないというストレスが解消された結果、腸の不調が治まったのです。しかし、親が「嘘をついた」と決めつけてしまうと、子どもはますます親との距離を感じるようになってしまいます。
腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、自律的に動く機能を持っていますが、同時に脳との密接な関係も持っています。腸と脳は「腸脳相関」という仕組みでつながっており、たとえば強いストレスが腸に影響を及ぼす一方、腸内環境が脳に影響を与えることもあります。
この仕組みを理解すると、子どもが「お腹が痛い」と言う背景に、ストレスが関与している可能性があることがわかります。学校へのストレスが軽減された途端にお腹の痛みが治るのは、腸と脳が密接に関係している証拠なのです。
親の心配が子どもを追い詰めることも
子どもの不登校が始まると、親は「勉強が遅れる」「成績が下がる」「将来が不安」といった心配を抱きます。しかし、その心配が子どもへの圧力や追い詰める要因になることに気づく必要があります。
子どもが感じる不安や悩みに寄り添い、安心できる環境を作ることで、子どもが自ら前に進む力を取り戻すことができるのです。
良い対応のためのポイント
子どもの気持ちに寄り添う
「今はつらいね。無理に学校に行かなくてもいいよ」と声をかけるだけで、子どもは安心感を得られます。子どもの話をノートに書き出す
子どもの話を否定せず、そのまま書き留めることで、子ども自身が気持ちを整理する手助けになります。自分の不安を子どもに投影しない
子どもの将来を思うあまり、親の不安が強くなりすぎてしまうと、それが子どもに伝わってしまいます。まずは親自身が冷静になることが大切です。
不登校の原因は一人ひとり異なりますが、共通して言えるのは、「子どもが安心できる居場所を作ること」が第一歩です。最初の対応で、子どもが「ここにいてもいいんだ」と思える環境を整えることで、不安が解消され、少しずつ動き出す力を育むことができます。
あなたのお子さんも、きっと自分のペースで前に進むことができるはずです。親子でゆっくり歩んでいきましょう。