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「会話」と「対話」の違いが子どもとの関係を変える鍵
親御さんとの会話の中で、あえて「お子さんと対話ができていますか?」とお尋ねすることがあります。すると、多くの親御さんが「はい、話せています」とお答えになります。しかし、そこでさらに「それは会話ではなく、対話ですか?」と問うと、多くの方が考え込む様子を見せます。
会話と対話の違いについて、一緒に考えてみましょう。
対話: お互いの気持ちや考えを深く共有しながら話すこと。相手の気持ちや考えを理解し、関係性を築くためのコミュニケーション。
会話: 日常的な話を進めること。とりとめのないやり取りや情報の交換、雑談などの日常のコミュニケーション。
親御さんの多くは日常会話をしているものの、実際には子どもの気持ちを共有する「対話」には至っていないことが多いと気づきます。私自身もそうでした。子どもの話に耳を傾けつつも、その奥にある気持ちや考えを深く知ろうとせず、ただ表面的な会話に終始していたことを反省しています。
対話の基本は「受け止める」と「問いかける」
「対話」の基本は、まず子どもの話を否定せずに受け止めること、そしてその話に対して問いかけをすることです。この方法を、私は「Omimiかふぇ」で親御さんに意識しておいて欲しいとお願いしています。
たとえば、子どもが何か考えを話してきたときに、頭ごなしに「それは違う」と否定してしまうと、子どもは考えること自体が嫌になり、自分の気持ちを伝えるのが怖くなってしまいます。
「どうしてそう思ったの?」「それをしてみて、どう感じた?」といった問いかけをすることで、子どもは自分の内面を整理しやすくなります。そして親も、子どもの本当の気持ちを知ることができます。
私たち親は、子どもは何も話してくれないと嘆きますが、そうではなく、私たちが対話をしようとしていなかったのではないかと思います。
「やばい」の一言に隠された気持ち
最近の若者言葉には、たとえば「やばい」のように多義的な意味を持つものが多くあります。この言葉は良い意味にも悪い意味にも使われるため、親としては子どもの真意をくみ取るのが難しいことがあります。
これは、子どもの頃から大人が対話をせず、気持ちを言葉にする手助けをしてこなかった結果ではないかと考えることがあります。
たとえば、子どもが「~ちゃんってすごいんだよ」と言ったとき、何気なく「へえ、そうなんだ」と返事をしてしまうことがありませんか?また、「~ちゃんはずるい」と言ったとき、「そんなこと言わないの」と言って話を終わらせてしまうことも多いでしょう。このようなとき、子どもが本当は何を感じているのか、その背景を考えることが大切だと思います。
「すごい」と感じたのはなぜなのか。「ずるい」と思ったのはどのような状況なのか。こうした部分に目を向けることが、対話の第一歩です。
氷山モデルで考える子どもの気持ち
対話を考えるときによく使われるのが「氷山モデル」です。海面に浮かぶ氷山は、水面上に出ている部分はほんの一部で、大部分は水面下に隠れています。子どもの見える部分だけで判断するのではなく、その下に隠れている内面を知る努力をする必要があります。
たとえば、不登校の子どもが「学校に行きたくない」と言ったとします。その表面的な理由だけで「怠けている」と決めつけるのではなく、 「学校で何かあったのかな?」「どんなことが一番嫌だったの?」と、隠れた感情や理由に目を向けることが大切です。
子どもの見える部分だけで判断することなく、隠れている内面を知る手段が対話なのかもしれません。日々忙しくしている中で見落としてしまった部分を知ることからはじめましょう。
親の変化が子どもを変える
もちろん、親が急に「さあ、対話しよう」としても、子どもはすぐには受け入れてくれないかもしれません。しかし、親が少しでも変わろうと努力をすれば、子どももその変化に気付き、やがて心を開いてくれるでしょう。
子どもが語る「氷山の下の部分」を知ることは、子どもにとっても私たち親にとっても重要です。その部分を共有できたとき、親子の関係は大きく変わる可能性があります。
まずは日常の会話を「対話」に変えることから始めてみてはいかがでしょうか。お子さんの本当の気持ちに寄り添う姿勢が、何よりも大切です。