自分で「決める」こと、できてますか?
自分で決める」という難しさ
「自分で決める」と聞くと簡単そうに思えますが、実際にはとても難しいことです。特に親として、子どもの人生にどのように関わるべきか悩む場面では、この難しさが浮き彫りになります。これまで多くの親御さんとお話ししてきて感じるのは、多くの方が 「自己決定ができない」 ということです。
親自身が自己決定できていないのに、子どもに「自分で決めなさい」と言うと、子どもはどう感じるでしょうか?
子どもに「自分で決めなさい」と言う前に
例えば、子どもが「やってみたい」と思ったものを選び、その結果が思わしくないときに、「子どもがそう言うものですから…」と、子どもの意思に責任を押し付けるような言葉を口にする親御さんのお話を聞くことがよくあります。
親自身が「どちらに進むべきか」を選べず、決めきれないために、最終的な選択を子どもに委ねてしまう状況があることがあります。そして、親自身が「子どもの意思を尊重した」と納得したい気持ちがあるようなケースもありました。
子どもの選択を信頼すること
私はお子さんとの関係を直接見ることはできませんが、親御さんの話を聞いていると、不思議と同じような曖昧さを感じます。
「子どもがそう決めたことなので・・」「そう言うから・・」
親が無意識に他人の目を気にして、子どもの選択に影響を与えてしまうことがあります。学校の先生、ママ友、親戚といった周囲の人の意見や評価を気にして、選択肢を狭めていることが子育てだけではなく、日常的にもよくあるのです。
「子どもの人生だから任せてみる」という勇気
「子どもの人生だから、子どもが生きたいように任せる」――この言葉には、一見親としての覚悟が込められているように思えますが、実はここに「決定から逃げる」心理が隠れている場合もあります。
「頭ではわかっているんですけど…」と多くの親御さんが言います。このフレーズについて、教育文化研究所の長阿彌 幹生さんが講演で語った言葉が印象的でした。
この言葉にハッとした親御さんは多いのではないでしょうか。
自分自身と向き合う大切さ
子どもの意思を尊重するのは大切ですが、まずは親自身が 「自分がどうしたいのか」 を考え、自己決定する力を取り戻すことが必要です。それができて初めて、子どもにも「自分で決めること」の大切さを伝えられるのではないでしょうか。
しかし、自分自身と向き合う作業は一人では難しいものです。だからこそ、親に寄り添いながらサポートしてくれる場が重要だと思います。
「初めの一歩」を踏み出してみる
「自分自身と向き合う」というのは、漠然としていて不安を感じることもあります。それでも、まずは信頼できる場所に足を運ぶという 「初めの一歩」 を選んでほしいと思います。そこから始まる新しい関係性や経験が、あなた自身の視野を広げ、違う選択肢を見つける力を育ててくれるはずです。
子どもとの関係をより良いものにするために、まずは自分自身を見つめ直す。そのプロセスは決して簡単ではありませんが、必ず子どもとの関係をより深める道につながっていくと信じています。