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学校での「困り感」を知る大切さ

子どもたちの声から学ぶこと

この15年の間に、親御さんだけでなく、お子さんが一緒に参加されることもありました。今回は、子どもたちの声をご紹介します。その中には、学校生活で悩みや困難を抱えていた子どもたちの、心に響く言葉がありました。


勉強が得意なのに感じる「無駄」

ある中学生の女の子は、非常に記憶力が優れていて、一度覚えたことは忘れないという特性を持っていました。そんな彼女が話してくれたのは次のようなことです。

「なぜ先生は、漢字を何度も書かせるの?私は一度書けば覚えられるのに、宿題で漢字を100回書かされる。本当に無駄な時間だと思う。」

また、数学でも同じことが繰り返されます。一度問題を解けば理解できるのに、授業では何度も何度も同じ内容を繰り返すため、退屈で仕方がない。つい他のことをしてしまい、それで叱られることも増え、彼女は次第に「学校は叱られるために行く場所」と感じるようになり、不登校になりました。

お母さんは「周りと同じようにしてほしい」と願っていましたが、中学生にもなると親の言うことを聞かなくなることもあります。しかし、自分なりの考えを持ち、自分の軸で動けるというのは、非常に大切な力です。そのため、彼女の声に耳を傾け、その特性を活かす方法を親子で一緒に考えていくことを提案しました。


書くことに苦しんだ男の子

別の男の子は、板書が苦手で、ノートに書き写すのが遅く、周りについていけないことに悩んでいました。

「みんながどうしてそんなに早く書けるのか、不思議だった。」

書くことに時間がかかるため、先生に叱られることが増え、周りからもからかわれるようになりました。板書することに集中すると、先生の話には全くついていけず、その結果、授業に集中できず、ぼーっとしたり、自分勝手な行動をとるようになり、先生から「授業の邪魔をするやる気のない子」と誤解されてしまいました。

後になってわかったのは、彼が「ディスレクシア(読字障害)」だったということです。


ディスレクシアとは

ディスレクシア(読字障害)は、知的能力に問題はないものの、文字の読み書きに困難を感じる学習障害の一種です。個々の特性により、板書が苦手だったり、文字を読むのに時間がかかったりします。そのため、従来の授業形式では不利になりがちですが、近年ではタブレットの活用などで、支援が進んでいる学校も増えています。


親ができるサポートとは

こうした子どもたちにとって、何より大切なのは「困っていることを理解してもらうこと」です。

「普通、できて当たり前」と決めつけたり、「性格の問題」と片付けたりせず、まずはお子さんが抱えている「困り感」に耳を傾けてください。大事なのは、親が困るのではなく、子ども自身が困っている状況を一緒に解決しようとする姿勢です。

最近では、一人一台のタブレット導入が進み、板書の負担を軽減したり、音声で授業内容を補うなど、困り感を持つ子どもたちの支援に役立てられています。


子どもの未来を切り開くために

学校でのルールや集団生活の中で、すべての子どもに同じことを求めるのは難しい時代になってきました。一人ひとりの特性に合わせた支援が必要です。親としては、子どもの声をしっかり受け止め、どのようにその特性を活かしていけるかを共に考えることが、子どもの未来を切り開く大きな一歩になります。

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