小村雪岱展 @三井記念美術館
2月某日。東京日本橋の三井記念美術館で行われた特別展小村雪岱スタイル-江戸の粋から東京モダンへ-に行ってきました。緊急事態宣言中というものもあり日時指定の事前予約をして、できるだけ感染リスクが低い状態で展示会に行くことができました。開催して下さったことに感謝ですね。
偶然見ていた美術館の紹介系テレビ番組の中で少しだけ取り上げられたことをきっかけに小村雪岱という人物を知ったわけですが、シンプルな構図に美しい線画を見て、これは!!と一目ぼれ的に作品が好きになって、今回特別展が東京に来るということで、年末ぐらいから待ちかねてました。(笑)
ここには展示会を見たときに思ったこと、感じたことを少し書き留めておきたいと思います。
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日本画家、版画家、挿絵画家、装幀家などなど、様々な作品を残している小村雪岱。一言で商業美術家ともいえるかもしれないが、舞台装置原画などの作品もあり、見れば見るほどこの人は「〇〇家」という形で表せない人だなと感じました。
あふれ出る「小村スタイル」
展示会を通して感じたのは、展示会のタイトルにもあるように「小村スタイル」という、なんとなく小村雪岱っぽさがあるということ。構成なのか一本一本の線なのか、何がその「スタイル」を浮かび上がらせているのか気になるところです。
個人的に「スタイル」かなと思って好きなところが、<青柳><落葉><雪の朝>などでみることができるのですが、紙の大きなや素材は違えど、規定されたその範囲の中に、小さなストーリー、世界みたいなものが垣間見えるところです。そして、そのストーリーを作るために描かれている要素が非常に少ない。情報の解像度のバランスが調整されていて、必要なものだけを描くことで余白があり、いろいろと創造が膨らみます。
キャンバスのスケールと解像度
もう一つ、展示会場全体を通して見て思ったのが、作品のサイズが小さいものから大きいものまでさまざまであったということ。小さいものははがきサイズぐらいで、大きいものは掛け軸のようなものまである。
大きいキャンバスだからこそ細かいディテールまで仕上げている作品とあれば、あえて大きな余白がある作品もあって、逆にはがきサイズでも小鳥の細かい部分まで表現されている作品もあり、キャンバスの大きさとそこでの解像度には何か関係性がありそうだなと思いました。
これに関しては、ネットで小村雪岱の作品を調べていてもわからなかったことで、現物も見てハッとしました。インターネット上で見ていると、ピクセル数で何となく大きさを想像はできることもありますが、著作権の問題で荒くなっていたり、HPの都合だったりということあるとので、一概にはわからない。現物と対峙することで初めて、画がスケールを持って現れてくるというような感覚を覚えました。
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ここ最近は、デジタル上でのコミュニケーションや作業がほとんどになってきていて、スケール感を忘れてはいけないと思っていても、中々スケール感を伴った体験をできずにいたので、美術展ではあったが、久しぶりにスケールって大事だなと思い出すことができた気がしてます。