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【詩】八月の光る魚

(はじめに)

 応えなければいけない。私は依頼されて詩
を書くことはあるのだが、詩を書いてもらっ
たことは皆無に等しい。なので、作品を目に
したとき嬉しかった。同時に、まず人として
その作品に対して返さなければならないと思
った。急遽書かせてもらいました。と言うわ
りには、いただいてから数日が経つ。遅筆だ。
私なりに応えるかたちで描いてみたが、届け
ば良いな。


 八月の光る魚

これは循環なのだろうか
詩が詩を紡ぎ出す
言葉がこころを繋いでゆく海に素足を浸し
たわむれる貴女がいる

八月、パラソルの下
きっと眩しい思い出になるのだろう
漠然と考えている傍らで
浜風はもう秋の気配を宿している

何を、提供できただろう
貴女にとりましてほんとうに
意味を成す言葉を残せたろうか
(過信してはいけないよ)
耳の奥から聞こえてきたのは
かつての師
私に言葉の深海を 教えてくれたひとの
まぼろしが浮かんで消えたとたん
これは循環なのだろうか

太陽の下 歌をうたった
貴女がほとばしる水のごとく
あふれる思いのまま銀色に光る魚になった
一瞬を焼きつけた

「あたしのうろこは涙でできているの」
「それを武器にすればいいよ」

陽が翳った
あの雲は雨を連れてくるだろうか
わかんないよ


……・……・……・……・……・……・……

(ちょっとだけ解説)

 私情が入りすぎているかもしれない。私情
はなるべく抑えたほうが良い。と考えている
詩人はいらっしゃる。私も作品を書くうえで、
客観的に見られなくなる理由から、自分を極
力出さないよう心がけている。独りよがりに
陥ってしまう危険もはらんでいるからだ。
 詩を語るほど、実績のある人間でないこと
は自覚しているが、この作品に関しては、詩
として成立しているのだろうか。読んでくだ
さいました方に判断を委ねます。

     (ありがとうございました)


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