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私の本棚 #5 個人力 やりたいことにわがままになるニューノーマルの働き方

「これからの時代を生きる」ための参考書です。

個人力  やりたいことにわがままになるニューノーマルの働き方
(プレジデント社 澤円 著)

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この記事は
Part1 本書の構成と特徴
Part2 本書の中で印象的だった内容
Part3 本書を読んでの私の意見

といった構成になっています。

Part1 構成と特徴

「私の本棚」でガッツリしたビジネス書を紹介するのは初めてですね。
表紙にある「究極の自己中戦略」がとても印象的なこの本。何が書いてあるかを一言で表すと「自分らしく働く」ことについてです。

著者の澤円さんは講演家や大学教授を初めてとした複数の仕事を掛け持ちされる、いわゆる「スラッシュキャリア」の持ち主。
これからの人生を充実させるためには「個人力」が重要と掲げ、本書の中ではその力を使った人生の送り方がまとめられています。

本作では「ありたい自分(作中での呼称はBeing)」を確立させることが大切とされており、紹介されているメソッドにおいても「ありたい自分」がある前提で話が進むことが多いです。
もちろん「どうありたいか」を探す方法についても多少は述べられているので、準備なしに読み始めるのもいいですが
自分なりのBeingを想像してからの方がスムーズに読み進められそうな印象でした。

ところで、ビジネス書って1ページ目を通すのも大変なくらい難解なものがあったりしますが、この本はそのような印象がありませんでした。
全体を通して専門用語や馴染みの薄い横文字が少なく(あっても注釈が入るので安心)、わかりやすい表現が使われているのがよかったです。
1年前まで「さすてなぶる」と聞いて頭の中が「?」で埋まった私にとってはありがたかったですね。

また、導入で本書がどう展開されるかが丁寧に書かれていたり、
通常の文章と箇条書きが適切に使い分けられていたりと
読者想いに感じられる構成になっているように感じられました。

Part2 ありたい自分を実現するために何をするか

本書は、序章で「Being」の必要性について述べられた後、
第1章 Think あたりまえを疑う
第2章 Transform 常にアップデートする
第3章 Collaborate 「個」として協働する
と、3つの章にわかれて個人力を伸ばすメソッドが書かれています。
それぞれで印象に残った部分を抜粋していきましょう。

第1章より

自分の本質というものは、なにかの本に載っていたり誰かに教えてもらったりするのではありません。
そもそも、客観的事実としてどこかにあるものでもない。
そうではなく、あくまで自分で定義し、自分で言語化するものです。

この先進むべき道を考えるときに、客観的なデータを参考にすることがあります。例えば、適正診断とか。
今まで知らなかった自分が見えたりするから有力といえば有力なんですが、結局それって、汎用的な客観に過ぎないんです。
「あなたにはこれがマッチしますよ」と当て嵌められることに抵抗があるか、ないか。もしあるのであれば、それは大事にしたい「個」があるということだから、もっと主観を大切にして良い、ということになりますね。

第2章より

ぜひ「不完全なまま行動する勇気」を持ってください。
とにかく、「完全な状態でなければならない」という呪縛から離れて欲しい。〜中略〜
スキルや能力が全て揃ってから、大義名分が立ってから、という呪縛を自分にかけると、大きく損をすると僕は声を大にして伝えたい。もう、そんな変化のスピードがのんびりした時代は終わりました。

私の周りには、ネットでの活動がきっかけで有名になったアーティストやクリエイターが何人もいます。
彼らに共通するのは
「最初は無名だったこと」
「情報発信を絶えずし続けたこと」

この二つでした。

今やSNSなどのサービスは、自分を世にアプローチする絶好のツールであることが世の共通認識になっているでしょう。しかしそれも簡単に上手くいくわけではなく、その名を広めるためにはけっこうな試行錯誤をする羽目になったりします。
中でも必要な要素としてスキルがあります。画力やトーク力、演奏技術などがこれに当たるわけですが、
このスキルを十分に揃えてから発信しようとしても、それはもう手遅れなんですね。

昨今の時代の流れは、我々が捉えているよりも遥かに速いスピードで変わり続けています。やろうと思って膨らませていたアイデアを、他の誰かに先取りされる…なんて可能性も十二分に考えられる。
そこを踏まえると、あれこれ思案するくらいなら動いてしまえ!というのも納得ですよね。
能力の向上は活動を展開しながらでも十分できます。今は少々粗くとも自分なら必ずこのクオリティを上げられる、と信じて発信をし続ける心のタフネスが必要な時代なのかもしれません。

第3章より

よく起業を志す人や、就活中の学生たちのなかに、「好きな仕事で社会に貢献しなければならない」と、力む人が多いのですが、
そんな「ねばならない」思考におちいる必要はまったくありません。
そうではなく、「自分はこういうふうになりたい」という思いが少しでもあるなら、心に正直に行動するだけでいい。それを続けることで、自ずと「個」としての社会貢献につながっていくし、少しずついまを生きている感覚を味わえるのだと思います。
場合によっては、それらの活動が大きなビジネスに化ける場合もあります。あるいは、ビジネスにする人たちを直接サポートできる機会が訪れるかもしれません。でも、それはあくまで二次的な話。それを目的にする必要はまったくありません。

例え好きなことを仕事にしている人でも、「社会のためでなければならない」という客観思考を持っていると思います。もちろんこの考えは正しいし、むしろあって然るべき認識でしょう。
しかしこれも度が過ぎるとベクトルがずれ、他者貢献を重んじるあまりに「ありたい自分」を見失ってしまうことがあります。
「自分と他者をどちらも尊重する」なんて、書くには易くとも実現するのはとても難しい。それでも、自らをないがしろにするのはやっぱり違うと思うので、「こういうふうになりたい」というプラスな主観は常に忘れずにいたいですね。

Part3 これからの仕事を問う

「副業元年」「人生100年時代」と、ライフワークに関する記述が多く目に留まるようになりました。
定年まで会社で働いて、退職後は年金で暮らすという、今まで当たり前だった人生像は既に過去のもの。
新型コロナも相まって私たちの人生設計はその不確実性を増し、
自ら判断して自ら行動を起こす、主体的な経済活動を強く求められているような気がします。

Part2でも述べたとおり、今は情報発信や個人ビジネスの門戸が広く、誰でも知名度を上げたり実績を残すことが可能になりました。特に創作系においては作品に値段をつけて販売できるサービスが非常に充実しており、「芸術家は食いぶちが少ない」なんていう既成概念も徐々に払拭されつつあるのかもしれません。

そしてこれは、以前よりも「ありたい自分」として生きていける環境が整っていることを意味します。
すぐにそれを実現することは難しくとも、地道な積み重ねを行っていくことで可能にできることが、様々な功績で明らかになりました。
しかもその肩書を一つに絞る必要もありません。本書の著者のように、幾つもの仕事を掛け持つ「スラッシュキャリア(パラレルキャリアとも)」というワークスタイルも徐々に浸透しているようで、
ここ数年で「働く」ことに対する考え方は、間違いなく変わっているのが伺えます。

いずれは企業勤めすら淘汰され、国民総セルフエンプロイド(個人事業)になるのでは?なんて話も聞くくらいなので、
もし、仮に、そんな時世になった時に備えて「個人力」を鍛えておくのは悪くない話かもしれません。

先行きの不透明さはまだまだ拭えませんが…
来るべき時が来た時のため、砥げる爪は砥いでおきましょうか…

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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