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尾道旅行記 ②
広島県を訪れる機会に恵まれたので、森見登美彦氏の「夜行」を読んで心惹かれた街・尾道へ。
少し街を散策して食べたかったお菓子を買い、ホテルにチェックインして2時間ほど休憩。
テレビを見ながら尾道について調べていると、千光寺以外にも尾道を見渡せる展望台があるらしいので、日が暮れる前に行ってみることにした。
浄土寺
目的の浄土寺不動岩展望台は尾道の東部にあり、流石に歩いて行くのは大変なのでバスに乗ることにした。
因島に向かうバスがちょうど良い時間にあったので乗ることにしたが、高速バスのような立派な車だったので乗って良いものが困惑した。
乗車すると、調べた通りのバス停に停まって行くので一瞬ホッとしたが、よく案内を見るとバス停に停まる時に[下車出来ません]と流れている。
もしかしてこれは、尾道の街中は乗車専用で、その後因島まで直行するバスなのではないだろうか、と不安になった。
信号で止まった時に運転手に聞いてみると、呆れたような顔をしたのでより一層不安になった。
が、私のスマホに表示されている浄土寺までの経路を一瞥し「浄土寺下バス停なら降りられますよ」と教えてくれた。
何とか因島まで連れて行かれることなく尾道の街で下車出来たことにホッとしつつ、階段を登って浄土寺へ。
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特に下調べもせず場当たり的に来た浄土寺だったが、案内板を見るとなんと「国宝」と書かれている。
浄土寺は最近「逃げ上手の若君」でお馴染み、足利尊氏にもゆかりのある寺である。
尊氏は後醍醐天皇と対立することになるが大阪北部で大敗し、再挙する為に一度兵庫から海路で九州へ立ち退いた。
その時に尾道に立ち寄り、ここ浄土寺で戦勝祈願をしたそうだ。
「逃げ上手の若君」の序盤からは少し未来の話で、何だかネタバレを喰らったような気になる。
ちなみに浄土寺は一度炎上してしまったが、まさに足利尊氏らが活躍していた鎌倉時代に再建されたものが今の本堂らしい。
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こちらの多宝塔も国宝。
勿論国宝だから人が集まると言うわけでは無いけれど、街中心部の観光客の賑わいからするとかなり寂しく感じる。
浄土寺の奥の出口から展望台まで登る道があるそうなので、行ってみる。
展望台
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お墓の横を通り過ぎると、何やら上に登って行く道があるのでここのようだ・・・
薄暗くて進むのを躊躇ってしまう。
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もう完全にただの山道である。
まだ日没までは時間があるので真っ暗になって遭難する可能性は低いが、一人で薄暗い山の中を歩くと得も言われぬ不安感が押し寄せる。
最近雨が降ったことで滑りやすいことに加え、山登りに適しているとはとても言い難い革靴を履いていることもあって非常に心細かった。
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20分弱上り続けると段々と明かりが射すようになってきて、鳥居と共に尾道の街並みが眼下に望める場所へ出られた。
勿論絶景ポイントではあるのだが、ネットで見た写真ではもう少し開けた場所だったはず・・・
少しの間ぼーっとしていたが、目的地はもう少し先にあることに気づく。
薄暗い山は想像以上に精神的に堪えるものだったので、この先に見える暗闇にまた突入することは非常に気が重いことだったが、意を決して先へ進む。
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少し進むと不動明王が掘られた巨岩が。
巨岩の脇を通り抜けてラストスパートを駆け抜けると・・・
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これが見たくて尾道に来た。
岩の上にフェンスを整備しただけの場所なので、その見晴らしは他のどんな展望台よりも優っていると感じた。圧巻の光景。
見晴らしが良すぎて、尾道のどこにいても自分の姿が見えてしまうのでは無いかと心配になる。
左に見えているのは向島だが、まるで巨大な河川が街を流れているように見える。
ここからの夜景はさぞや素晴らしいものだろうと思ったが、流石に真っ暗な山道を降りて行くのは自殺行為に等しい。
さらにこの上の浄土寺奥之院近くまでは車で行けるようなので、次回来訪時の楽しみにしておく。
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汗だくの放心状態で景色を眺めていると、結構な回数電車が行き交っていることに気づく。
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東に見えるのは新尾道大橋(高速道路)と尾道大橋(一般道路)。
結構交通量は多い。
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下には先程登り始めた浄土寺が見えている。
こういう山登り系の展望台は「またあそこまで降りなきゃいけないのか」という憂鬱な気持ちが発生しがち。
20分ぼーっとしていたが、ふと帰りについて考えていないことに気づきバスを調べると、次のバスは約40分後。
やってしまったと思ったが、休まずに一気に登って20分かかっているので、ゆっくり降りれば丁度良いだろうと思い下山を開始した。
街中へ
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登山口(?)の麓にある海龍寺付近で猫を発見。
尾道は猫が多いらしいが、この猫は飼い猫だろう。
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先程まで街を眺めていた展望台のある浄土寺山。
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バス停に戻る途中の階段でも猫に遭遇。
あまり人慣れしていないのか、遭遇した瞬間から警戒モードで、少し階段を降ると颯爽と逃げてしまった。
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尾道の中心街は国道2号が貫いている。
国道2号は全線走破したことがあるが、その時は北部を通る尾道バイパスを利用したのでここは通っていない。
汗を乾かしながら尾道駅行きのバスを待った。
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駅までは向かわず、途中で降りて尾道ラーメンの有名店へ。
すぐ近くのもう一つの有名店は行列が出来ていたが、こちらはすぐに入れそうだった。
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外まで行列がないとはいえ、店内は満席で待ちも数人。
だが回転は速く、あまり待つことなく食事にありつくことができた。
シンプルな醤油ラーメンだが、背脂が多く浮いているのが一番の特徴らしい。
観光地のラーメンにしてはお手頃な部類で、スープも美味しくずっと掬って口に運んでいた。
ご当地ラーメンは正直独自性が見られない場合が多い気がする(個人的に)が、尾道は中国地方でも有数の知名度を誇るだけあって印象に残るラーメンだった。
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再びアーケード街に出ると、何やら祭りのような雰囲気で、屋台もたくさん出ていた。
調べてみると、丁度私が尾道を訪れた休日に、御袖天満宮という神社の夏祭りが行われていたらしい。
神輿が石段を上り下りする光景が見ものらしいが、それは翌日の夕方に行われるようなので見届けることは出来ない。
良い感じに暗くなってきたので、満を持して千光寺まで登る。
③へ続く・・・