大好きな絵本紹介【第一弾】
「読書の秋」という季節はとっくに通り過ぎて、冬も寒さが深まってきました。
ちょうど秋頃に何か本を紹介したいなぁと思っていました。ですが、私は「小説」というのはどこか身構えてしまうところがあります。好きなのですが、少し読むのに覚悟がいるのです。
感受性が強すぎるのか、入り込みすぎてしまうため、感情が大きく揺さぶられるのです。でも、逆に入り込めないとその先を読むのがとても苦痛になってしまう。両極端で、本を買うのには、「最後まで読めないかも知れない」というリスクが常につきまといます。
ですが、絵本や漫画はわりとすぐ読み終えることができるので、簡単に手に取って読むことができます。
今回はその大好きな絵本のひとつを紹介したいと思います。
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今回紹介したい絵本は
「ころべばいいのに」著:ヨシタケシンスケ
です。
私は絵本作家のヨシタケシンスケさんがとても好きです。
言わずと知れた人気絵本作家でして、Eテレの「にほんごであそぼ」の「あいだのじいさん」コーナーも担当されています。
ヨシタケシンスケさんの絵本で、最初に読んだのがこの「ころべばいいのに」です。
小学校の高学年向けくらいの、ちょっぴり大人向けな内容の絵本です。
昔、蔦屋書店で立ち読みをしたのがきっかけでした。
主人公のおんなのこが、とてつもない想像力で「きらいなひと」や「いやな気持ち」と真剣に向き合う内容なのですが、
その真剣さがとってもユーモアに溢れていて、初めに読んだ時は肩を震わせながら笑ってしまいました。
そして出てくる登場人物達の表情がたまらなくイイのです。
顔芸とも言える、こにくたらしい「あほヅラ」に思わずクスッと笑ってしまう。
そして、その面白さ・楽しさの中に哲学的な、嫌いなことへの向き合い方のヒントが隠されているのです。
そっと、さりげなく「きらいな人・もの」があるのは、あなただけではないよ、と教えてくれる。大人達もそれとうまく付き合いながら、生きている。
子供のころって逃げ道が全然無いように感じます。嫌なことをしてくる人達とも一緒に生活していかなければならない。
そういった時に、その時その時をどう「やり過ごす」かの方法を上手に示してくれています。
「嫌いな人・もの」があるのは悪ではない、そんなのみんなが感じているのが当たり前のように描かれているのが、とても素晴らしく感じました。
かつて子供だった大人達にも響く、そんな内容になっています。
興味の湧いた方は是非手に取って読んでみて下さい。