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緊急帝王切開で娘を産んだ話【ボディイメージの変化】

2021年を振り返って、何か書きたかったのですがあっという間に年が明けてしまいました。

去年を振り返って、1番印象的だったことは娘を出産したことです。
産後テンションがジェットコースターのように上下していて、軽く鬱のようになっていました。よく言う産後うつですね。

いまでは俯瞰して考えられるようになりましたが、その当時は辛かったです。
具体的に何が辛かったか、そしてその時に周囲のみんながかけてくれた言葉でとても嬉しかったことなどを振り返りたいなぁと思いまして、書き起こしてみました。

簡単な経過

予定日超過9日

本陣痛が来ず…誘発分娩となり、点滴で陣痛を起こすこととなる

点滴で促進剤を2日投与、数分おきの苦しい陣痛は来るが子宮口が半分も開かず。明日までに産まれなければ、帝王切開となる、との宣告。

陣痛も落ち着いてしまい、お昼過ぎの帝王切開となる。

3日も陣痛室で頑張ったのに、経膣分娩で産むことが出来ない悲しさでずっと涙が止まらず、手術室の中で歩きながら号泣

無事、帝王切開で出産

なぜ、悲しくて泣いていたのか?

私の理想のバースプランは「自然なお産」でした。経膣分娩で産むことが本来のあるべき出産の形であると思っていたし、それをしたいと強く思っていた。
しかし、予定日超過している時点で既に「理想のお産」と「現実のお産」に乖離が生じてしまっていました。

・陣痛が起こらないのは、私の身体に問題があるからかもしれない。
・点滴など、本当はしたくない。子宮口が開かないのも、私の身体のせいかもしれない。
・帝王切開で産むということは、昔であれば産んであげることができなかった命なのかもしれない。
・自分には母親としての機能がちゃんと備わっていないから、自力で産めなかったのかもしれない。

コロナ禍で面会や付き添いは全面禁止であり、時々様子を見にくる助産師さんも忙しそうで、基本的に入院中はひとりぼっちでした。辛いし、寂しくて心細くてネガティブなことばかり考えてしまっていた。

今となっては、娘が元気にすくすく育ってくれているから、帝王切開で産まれていようが、そんなことは大した問題ではないように感じています。
むしろ、現代の医学に感謝しています。掬い上げてくれた命だと。

しかし、私自身のボディイメージが覆される出来事だったことは間違いありません。

そもそも「ボディイメージ」とは何か?

自分の身体的自己に関する心像で自己概念の重要な要素。手術による身体の変化などによってボディイメージの混乱が生じる。
出典:アルメディア
ボディイメージとは、人間が身体について持つイメージのことである。
または身体に対してその人が持つ意識的または無意識的な認識のことでもある。
出典:ナース専科

ボディイメージ、これが覆されると自分自身の根幹が揺るがされるようなダメージをうけることがあるそうです。

私は言わば、自分自身の身体が持つ力を信じていたが、裏切られた、そのショックに打ちひしがれていたのです。
自分は母親失格だ…とまで内心思ってしまっていました。正直、傷跡が残ることはそこまで気にしていなくて、自然なお産が出来なかったことに対して、自分の女性として、母親としての自信が失われてしまっていました。

もちろん、帝王切開で生まれてくる子はたくさんいるし、出産というのは母親1人でするものではなくて、母親と子供が一緒にするもの。子供の準備が整ってなかった可能性もあります。
とっても小さなリスクも取りこぼさずに、出来るだけ安全に出産するために、帝王切開という選択をとる医師も居るでしょう。
結局子宮口が開かなかった原因は分かりませんでしたが。

世の中には医療的な侵襲度の高い無痛分娩を選択する母親も居ますし、お産の形や在り方は人それぞれ。何をそこまでこだわるのか?と言われてしまうかもしれません。
しかし、私が望んでいたイメージはあくまで「自然なお産」であり、その考え方が悪いとも思いません。

経膣分娩で出産する、と自分では意気込んでいたのに、いきなり緊急で帝王切開になったことにも気持ちがついていかなかったようにも思います。
事実、緊急帝王切開となった産婦の精神的なフォローは重要である、との研究論文がありました。

陣痛室での家族との会話

促進剤の点滴を2日終えた日の夜、陣痛室で許可をもらって母や姉とTV電話をしていました。
絶え間ない陣痛に耐え続けてボロボロな中、おそらく帝王切開になりそうだと言う話を告げ、母は多くは語らずに静かに泣いて、姉は「陣痛のつらさも経験して、さらに帝王切開のつらさまで味わうなんて…shinoが可哀想で…」と姉も涙を流していました。

私の身体の事を労って、姉がそう言ってくれたのが、今でも心に残っています。
姉も2児の母であり、出産を経験しているから妊娠中から色んなアドバイスをくれて、サポートしてくれました。
母も姉も帝王切開は経験していないことだったから、未知の領域だったのかもしれません。

嬉しかった言葉

出産後、報告をした際に、言われて嬉しかった言葉があります。

予定日超過したことに対して、
「ママのお腹の中の居心地が良かったんだね」と言ってくれた人が居ました。

出産を経験したママ達の間ではよく言う言葉なのかもしれませんが、私はこの言葉が1番言われて嬉しかったです。
私も娘も否定せず、優しさに溢れた言葉だと感じました。

どこか、予定日超過してしまっていたのは自分のせいかもしれない…と感じていました。
・体重コントロールが悪かった?
・もっと散歩とか運動して体力をつけた方が良かった?
もっと出来たことがあったかもしれない….と考えると自責的な思いしか湧き上がって来なかったのです。

ですが、この言葉を聞いて、「お腹にいた娘がその気にならなかった」それは多分事実でもあるから、そう思えばいいのか、と気が楽になったのです。

帝王切開で出産したことも、そこに通ずるものがありました。
無事に産まれてきたんだから、いいじゃない。自然にそう思えるようになったのでよかったです。

もしこれから2人目を出産する、となった場合も帝王切開になるそうです。
予定日超過した際は、今か今かと焦れるような思いで、ずっとピリピリしてたので、産まれる期日が決まっているのはとても気が楽そうで、いいですね。こんな事まで考えられるようになったのが不思議なくらいです。


長々と書き連ねてしまいましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
これから、娘のことでもたくさん悩むことがあるかもしれません。そういった場合にも、noteなどに綴って、気持ちの整理をしたり、振り返りができたらいいな、と思います。

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