下肢に溜まった浮腫を姿勢で改善する。
デスクワークなどで一日中座っていた結果、足がパンパンに張って浮腫んでしまったという経験をした人は少なくないでしょう。
絶えず心臓から流れてくる血液は毛細血管を経て静脈に流れつきます。
しかし、静脈では心臓の拍動が血液を押し出す力はないため、下半身には余分な水分が溜まり浮腫みやすい状態となります。
静脈では、拍動以外の力を利用して血液を循環しています。
血液が心臓に戻る流れを静脈環流といいます。
静脈環流には主に、心臓の拡張運動による吸引、下肢骨格筋の活動によるポンプ作用、そして胸膜腔内陰圧の増大による静脈血の吸引があります。
「胸膜腔内陰圧の増大による吸引」とはつまり、吸息により胸郭の内圧が下がるため、外から静脈血を胸郭内に引き込もうとする力のことです。
しかしながら日頃から猫背で呼吸が浅くなっていると、内圧差の変化による吸引力が弱まり静脈環流が不十分となるのです。
内圧差の変化は呼吸筋群が握っています。
吸息時に働く主な呼吸筋群は主に横隔膜、外肋間筋、胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋、広背筋などです。
呼息時は、腹横筋、外腹斜筋、内肋間筋、腹直筋などが働きます。
腹式呼吸は横隔膜という腹腔と胸腔を隔てる膜状の筋肉を下げ、腹腔内の内臓を前に押し出す形がとられ、大きな呼吸を生み出し、胸腔内圧差も大きくなります。
胸式呼吸は主に肋間筋を使い、胸郭を広げる形で腹式呼吸に比べ小さな呼吸となり、胸腔内圧差は小さくなります。
猫背の姿勢では横隔膜の動きが制限されるために腹式呼吸がしづらい体勢となります。
したがって、胸腔内圧差は小さくなり、生み出す静脈環流も小さくなります。
足のむくみの改善には姿勢の改善が重要となるのです。