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7番目のシャルル:第九章〈二度目の戴冠式〉編「シャルル七世の聖別式(1)」

カクヨム版『7番目のシャルル、聖女と亡霊の声』
第九章〈二度目の戴冠式〉編を更新しました。

ようやくここまで来た!
この章も長尺になってきたので、戴冠式の描写をさらっと流すか、それとも資料にできそうなくらい詳細に解説するか…… 悩みどころです。

noteでは紹介を兼ねて、今回の更新分から一部引用します。

 7月10日、イングランドからの援軍がノルマンディーに上陸した。
 オルレアン包囲戦で失った兵力の補充要員だ。ベッドフォード公は、シャルル七世の行軍がトロワの町で足止めされていたらすぐに援軍を送り込み、包囲戦のリベンジを挑むつもりだったのだろう。だが、もう遅い。

「ランスの市民はみな、陛下に敬愛を抱いております。安心してお越しください」

 7月16日の土曜日、私はランスの10マイル(16キロ)手前にあるセットソール城でくつろいでいた。ランス大司教で領主でもあるルニョー・ド・シャルトルの私邸である。
 伝統的に、フランス王の戴冠式は日曜日に挙行する。つまり明日だ。

「これまで大義であった。思い返すと大司教にはずいぶん世話になったね」
「陛下の方こそ、よくぞここまで辛抱されました……」

9.16 シャルル七世の聖別式(1)聖レミの伝説 - 7番目のシャルル、聖女と亡霊の声(しんの(C.Clarté)) - カクヨム

以前お伝えしたとおり、第八章の話数が多すぎるため分割(八章と九章)して章タイトルを再考しました。

具体的には、「パテーの戦い」までを第八章〈オルレアン包囲戦・終結〉編
「戴冠式のマーチ」から最新話までを第九章〈二度目の戴冠式〉編とし、
章始めの「勝利王の書斎」を新たに公開しました。

7番目のシャルル、聖女と亡霊の声:目次

▼第0章〈正義の目覚め〉編・改

勝利王の書斎10:亡霊の声
ロンドン塔の虜囚たち
不名誉よりも死を(1・2・3)
リッシュモンとフランス宮廷(1・2)
リッシュモンとイングランド:ヘンリー五世の宣戦布告
強制された臣従礼(1・2・3)
ボージェの戦い
王太子の面影(1・2)
モー包囲戦
フス戦争
ヘンリー五世崩御(1・2・3・4・5)
ラ・ロシェル落下事件(1・2)
シャルル六世崩御(1・2・3)
フランス王シャルル七世

▼第一章〈逆臣だらけの宮廷〉編

勝利王の書斎11:不名誉よりも死を
ヴェルヌイユの戦い(1・2・3)
フランス王は22歳、大元帥は31歳(1・2)
さまよう王と北極星(1・2・3)
侍従長ジアックの殺戮(1・2・3)

▼第二章〈モン・サン=ミシェルの戦い〉編

勝利王の書斎12:笑えば治る!
悩み多きフランス王(1・2)
フランス大元帥とイングランド摂政
シャルル七世の秘策(1・2・3)
守備隊119人と英軍20,000万人
論功行賞と粛清(1・2)

▼第三章〈大元帥と大侍従〉編

勝利王の書斎13:ワインに水を注ぐ
ジョルジュ・ド・ラ・トレモイユの妻
シノン城(1・2・3)
リッシュモンの妻(1・2・3・4)
シャルル七世は天然たらし
ペストと移動宮廷(1・2)
シャルル七世と異母妹(1・2・3)
オデット・ド・シャンディベールの遺言(1・2・3)

▼第四章〈オルレアン包囲戦・開戦〉編

勝利王の書斎14:マドモワゼル・ベルヴィル
フランス軍の編成(1・2・3・4)
開戦(1・2・3)
総司令官ソールズベリー伯(1・2・3)

▼第五章〈謎の狙撃手〉編

勝利王の書斎15:四分儀は大砲の照準器になりえるか
大元帥は塩対応(1・2・3・4・5)
汚れた手を重ねて(1・2・3・4)
別れ際の約束(1・2・3)
新兵器投入(1・2)

▼第六章〈ニシンの戦い〉編

勝利王の書斎16:塩を入れる
シャルル七世の祈り(1・2)
流行歌・ベッドフォード公は賢い
ニシンの戦い(1・2・3)
デュノワの武勇伝(1・2・3)
笑いながら破滅する王(1・2)

▼第七章〈救国の少女〉編

勝利王の書斎17:ニシン樽はずっとニシンくさい
ラ・ピュセル(1・2)
謁見と罰ゲーム(1・2)
ジャンヌ・ダルクの諸説
神との契約(1・2・3・4)
声の主(1・2・3)

▼第八章〈オルレアン包囲戦・終結〉編

勝利王の書斎18:彗星の上で計画を立てる
オルレアン勝利までの12日間(1・2・3・4)
戦後処理と再会
戦勝祝い(1・2)
ジャンヌとリッシュモン大元帥(1・2・3・4)
王のいない戴冠式
王からの贈り物(1・2)
パテーの戦い(1・2)

▼第九章〈二度目の戴冠式〉編

勝利王の書斎19:恐怖とは反応、勇気とは決断
戴冠式のマーチ(1・2・3・4)
トロワ包囲戦(1・2・3・4・5・6・7)
ジャンヌの町歩き(1・2・3)

あらすじ:不遇な生い立ちの王が百年戦争に勝利するまでの貴種流離譚。
フランス王国史上最悪の国王夫妻——狂王シャルル六世と淫乱王妃イザボー・ド・バヴィエールの10番目の子は、兄王子の連続死で14歳で王太子になるが、母と愛人のクーデターで命からがらパリを脱出。母が扇動する誹謗中傷に耐え、19歳で名ばかりの王に即位したシャルル七世は、没落する王国を背負って死と血にまみれた運命をたどる。

父母の呪縛、イングランドの脅威、ジャンヌ・ダルクとの対面と火刑、王国奪還と終戦、復権裁判。没落王太子はいかにして「恩人を見捨てた非情な王」または「勝利王、よく尽された王」と呼ばれるようになったか。

※noteのヘッダとアルファポリス版の表紙画像はPicrew「IIKANJI MAKER」で作成したイラストを加工し、イメージとして使わせていただいてます。

▼7番目のシャルル、狂った王国にうまれて【少年期編完結】

※アルファポリス版の表紙画像は離雨RIU(@re_hirame)様からいただいたファンアートを使わせていただいてます。


自著の紹介

既刊:デュマ・フィスの未邦訳小説『トリスタン・ル・ルー』

2022年10月21日、シャルル七世即位600周年記念にリリースしました。
Kindle版(電子書籍)とペーパーバック版があります。

新刊:『十九世紀の異端科学者はかく語る』

ジョン・ラボック著『The Pleasures of Life』第一部を翻訳・書籍化しました。訳者・序文で「ダーウィンとラボックの師弟関係」を書き下ろし。

web小説『7番目のシャルル』シリーズ

シャルル七世が主人公の小説(少年期編青年期編)連載中。
関連エッセイ、翻訳などもあります。


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しんの(C.Clarté)
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