臨床心理学を専攻している大学院生が修論提出際になって精神科に入院する話8
前回はこちら。今回は遠藤周作先生の「恋愛とは何か」について思ったことを述べている箇所が多いです。
相変わらず誤脱があるかと思いますが、温かい目で読み飛ばしていただけたら。
1/5 18日目
4:30 今日は朝からカウンセリングです。昨日寝る前にブルーバックスの理科の本を読んでいると幻覚と文字がごちゃごちゃになったので「寝よう」となったのを覚えています。もうね、楽しむ余裕ないくらいに疲れてました。幻覚は写真(カラー)が出たんだ。無関係なものがたくさん目の前に出された感じ。
遠藤周作先生の「恋愛とは何か」の最初の章は、大学生くらいのお嬢さんを対象として書かれたものでした。
寒いけど、体の内側からカラカラです。手もカサカサ。何でこんなに乾燥するのかしらね。窓ガラスに目隠しのカレンダーを貼ってもらったのはありがたいけど、光量も半分なので、ちょっと不便。
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「君はピパピパの卵がいつ出来上がるのか知っているかね」
<いいえ>
「そんな呑気なこと言ってるからダメなんだよ。早めの用意が必要だ。」
<はい>
っていう、ピパピパの卵について説かれる夢をみました。
7:00までうたた寝してました。ねむーん。タマゴの夢は鶏の夢でも今日見ている。
8:20 36.4° 着替えました。頑張ったと思う。薬も塗ったし。今日は10:30からカウンセリングです。
そう言えばだいぶ昔に、病棟の外れの階段を猛スピードで駆け降りる夢を見ています。何だかあの薄暗さも知っている気がすると思ったらそれだった。病院の夢だったし。ウヒィ、何だか嬉しい。正夢みたいな感じ。半世紀以上ある建物すごいわ。レトロすぎる。
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カウンセリングはソーシャルサポート人材について聞かれました。周囲には優しい人がたくさんいるのだということがわかる、客観的には。
今日からセルトラリンがなくなるかもしれない。漢方だ。神田橋処方だ。何がいいのか、何が効くのか……。昼から何をしようか、久々に低血糖のような症状が出ている。カウンセリングで疲れたのかな。あ、ブルーバックス理科面白い、これは良い。楽しくてつい読んでいて。ついうとうとして。でも面白い。大好きである。
朝メニュー
食パン、マーガリン、リンゴジュース
昼メニュー
天ぷら、粕汁、白和、りんごのペースト、おかゆ
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粕汁とおかゆは全部食べられませんでした。でもお腹がいっぱい。
お薬飲んだし、本読むか。少し休もうか、
今日はよく寝ています。10:20までうつらうつらしてたし。意欲はあまりない(と言いつつ、このノートを書いたり、本を読んだりはできる)。もうパジャマに着替えたいくらい(まだ12:15)。
先日のカウンセリングルポがまだだった。先日は”自傷のコストと効果”について明らかにしたり人生グラフを用いた。今回はジェノグラムを用いたり周りの人について尋ねられた。
=ルポ=カウンセリング編まとめ
1、インテークではメモを取らず全部聞く
2、心理検査(性格)
3、人生のグラフ
4、自傷のコストと効果/ソーシャルサポート
=ルポ=薬編
<衝動性あがりました>
「漢方にしましょう」
<もうセルトラリンダメ?>
「だめ」
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昼ごはんから13:00までふて寝。本を読む気力がない。でも何か…。
TVの部屋に行った。子育て、自主性を育てる、という番組だ。要点をまとめると、子育ては幼稚園一学期はとことん「アレやって」「手伝って」を聞いてあげる。すると二学期から自ら取り組むようになってくるそうだ。安全基地になってあげることが重要らしい。
自主性を育てるは、中長期目標に対する個人月刊目標を書く。できないことの代わりにできることを書く。程よいプレッシャーが必要。
体重:43.6(服込み)。重くなっている、減量していこう。目標は42。
今腹筋背筋腕立て伏せ10回はやっている。本は読めない。鬱々する。
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=ルポ=
思春期専門医O先生とのお話。「反応が被虐待児と似ている。PTSD、やや解離。発達検査の初見からはおそらく傾向はない。愛着は気になる。」
被虐待児は必ずと言っていいほど「消えたい」などの言葉を発しているとのこと。
今日の夕方から神田橋処方(四物湯、桂皮加芍薬湯)に変わります。「吐き出し尽くすことが大事です。」
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話すと言語野が活発になって気分がいい。悲しい話をしていたはずなのだが、気分は楽になる。現在、16:30約一時間、OTに行こうか。
樹脂粘土で果物を作っている。キーホルダーにでもすればいいと思った。あとは「(某)付きキャンディ」とか作れたらいいと思う。今までしたことのないことに取り組むとストレス発散になる。ストレス?何かこの暮らしでストレスになることある?多分ないよね、わからないや、話してアウトプットして楽になったはず。薬を飲んだあと、芥川龍之介”藪の中”を少し読んだ。森見登美彦先生の藪の中パロディ作品を読み、興味を持ったのだ。別々の人が話す、別角度からのストーリー。ただし、今は文字を追うので精一杯で、内容も追いかけられていない。あーなんか悲しい。かもしれない。この感覚嫌い。急にくる。海のような静かさで、誰もいなくなる感覚。何もないんだ。海の底のようにしんとしていた。年賀状が届きました。
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夜メニュー
中華炒め、さつまいもの春巻き、昆布、おかゆ
ダウナー決まってきたから書いておこう、軽くなりたい、綺麗になりたい、頭良くなりたい。とにかく負けたくない、でも意味ある?どうせ自分の底なんて知れているよと思ってしまう、面会の後の消えたい気持ちみたいだ。何かものすごいコンプレックスが私の中に強く存在し続けている。今の私をアポトーシス、ネクロトーシスしている感じ。「消えたい」って何だろうね?この気持ちを救えるものは自分しかいない。自分が最高の治療者だ。
1/6 19日目
今日は四時台に目が覚めただけで六時までゆーっくり寝た。
久しぶりに気持ちがいい。6:30ごろ採血がきたが、すでに採血される夢を見ていたので、またかと思いました。エアコンの調子が悪いのかな、寒い。
朝メニュー
コーンデニッシュ、リンゴジュース
そういえば以前Mo.に”姫”と呼ばれたことがあった。しかし私は姫には慣れない。いいとこ、隣国の独裁者というところだろう。まず、姫は周りを楽しませて、夢を与え続けなければならない。
仏文戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」の中で、「安定は情熱を殺し、不安は情熱を掻き立てる」という情熱の原理について記してある。姫は安定と不安のバランスの加減がうまくなければならない。私は、不安と嵐を巻き起こしはするが、安定を与えることは難しい。常に私という存在が不安定なものだからとでも言えよう。オタサーの姫、とかサークラ女とかはこの辺を学んでおくといいかも知れない。(以下戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」のあらすじについて書いたが省略。)
・なぜシラノはロクサーヌへの想いを一生伝えまいとしながら最後に伝えたのか?
・なぜクリスチャンに最愛の人を取られるような手助けをしたのか?
遠藤周作先生は、彼、シラノが情熱の原理を知っていてわざとクリスチャンと結びつけたのではないかと語っておられる。なるほど、この場合、ロクサーヌは姫としてのエンターテインメントを与えているわけではないが、周囲の人間の考え方によって、ロクサーヌは姫になったのかも知れない。ドルヲタが自分の推しの子を姫に仕立て上げるのと似ているかも知れない。
しかし私にはロクサーヌのような愛らしい顔もなければ、心もない。男子諸君、勝手な妄想で私を姫にしてはならない。私はよくて隣国の独裁者だ。
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仏文に触れることなどなかった。たまに見る映画くらいであっただろう。恋に溺れてネチネチしているのが好きでなかったのだ。遠藤周作先生の講義(本です)で様々な仏文学と出会ってきたが、先生はそれを表面だけ舐め取って全てを味わった気にならないところが素敵である。ちょっと立ち止まって、我々に疑問を投げかけ、さらにその奥まで味わうように促すのである。もちろん先生のフィルターを通して。皮肉を美しい物語にラッピングして世に放つ。気づいた人のみが味わうことを許されたプリンの底のカラメルのような甘苦さだと思った。
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OTに行ってきた。9:30〜11:30まで。粘土でイチゴと飴を作って放置してきた。粘土が乾くまでの間、本を読んだ。100人に一人という割合。これはどうなんだろう。私には100人に一人の割合で発現するものが2つある。流石に1/10000ということはないだろうけども、何かしらの理由で選ばれているのならば理由を教えろ、と思う。誰にも言いたくない。親からはソフトに言われていたけど、調べてみたらわかった。ああ、人と違うんだと。悔しい気持ちと諦めの気持ち、私は多分ただのヘタレ。
もう水性ペンも枯れてきた。10日ほどで使い切ったかも。油性ペンに変えよう。
油性の青は鮮やかだな、良いね。
昼メニュー
ハンバーグ、インゲン、パスタ、ゆで卵、コンソメスープ、おかゆ
「君のことが嫌いだから好きなふりをする。大好きなあなたのそばにいる君のことが大嫌い」
深い意味なんてないよ、ほんと。ちょっとお腹いっぱいになっただけ。
11:00ごろから気分がダウンしてきているんだ。寝てしまおうか……。
今日は冬らしいどんよりとした天気。まるで私のお腹みたい。消えたいに近い気持ちだ。街中のどこを探しても私のいた跡がない。卒業写真、人々の記憶から私のいた形跡が全部空っぽになっているとどうなるんだろう。私のことを探したい人はいるのか?私を探し続ける人はいるのか?心配されたいとかかまってほしいとかではなくてふと気になった。先日Dr.は言った。「心の成長が止まってしまうと知能も停滞することはある。」今も14、15歳を生き続けている気分だ。10年間、私はずっと何をしてきたのだろう。消えてしまうのは、14、15〜25歳までの私なのか、14、15歳までの私なのか。
消えたいのはどっちなんだろう。すごく冷たくて寂しい場所。
ブルーバックス理科をペラペラとめくる。「切っても切ってもプラナリア」に目がいく。プラナリアという生物は明暗がわかる細胞を持っている。ゲジゲジみたいだ。
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寝た。寝ている間は何も思い出さないし、考えないから本当に素敵。
フラッシュバック、反芻的な思い出しや考えが今はNo thank you.なの。雑誌などを眺めて、ただそれだけ。今はブルーバックス理科も読む気がない。画集、写真集のように眺めていられるのが今は必要だ。
治療ってなんだろう。わからなくなる。今私は何をしているのだろう。
やっぱ雑誌も無理だ。むり。元気がないのだ。なのにここに書いているのはなぜだ。わからないけど元気がない。他の人は、私のこの状況を羨ましがるだろうな。日々に忙殺されず、時間がたくさんあって、本もたくさんあって、好きなことをしていい。でも今の私にはしんどい。
贅沢って言われるだろうね。自分がそう思ってたから。自分に偏見を持っている。
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返事のない手紙、来ない人を待つ。この虚しさはすごいものだと思う。会いたいとかもう通り越している。そんなバカなことはもう二度としたくないんだ(16歳の冬にやった)。何が私をそうさせたのか、2時間。寒空の下で、人を待っていたことがある。アホだわ。阿呆です。ボケナス。かっこいい女性にもなれず、ただただ恥の多い人生を送ってきました。
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ブルーバックス理科の植物編、読み終えました、次は地学です。理科は読むのは楽しいのです。実験も好きでした。
夜メニュー
サバ、大根おろし、麻婆豆腐、おかゆ
がっついて食べてしまった。サバが塩辛い?そもそもサバが苦手になってしまった?麻婆豆腐をオリジナルの調合で作れるようになりたい。トイレに行くのがめんどくさい。遠いし。でも拗らせちゃだめだから行かないと。
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遠藤周作先生、私にはまず、恋愛の準備が必要でした。「愛のためのステップとしての恋愛」とおっしゃっていましたが、私には恋の準備も必要なのかもしれません。いささか奔放すぎました。
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ブルーバックス理科、地学編地震を読んでいたらもやしが来たので10分ほど、布団に潜り込んでいました。そしたら多分、モヤっとしたフラッシュバックの軽いやつが連発した。かなり昔のことを色付きで思い出していた。9歳ごろだと思う。怖くなったので起きてノートに書いている。毎日何のために生きているんだか。誰に迷惑をかけたいんだか。やっぱり今になって思うのは、生かす価値があるのかということ。
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今私史上最もいろんな本を読んでいるかもしれない。雑誌の読み込み方も以前とは比べ物にならない。まず、小説を一冊、短編をいくつか、ネタ本一冊、何よりブルーバックス理科が面白い。あとは遠藤周作先生の講義本も。フリーペーパーも読んでいる。こんなに本って楽しかったんだ(他に娯楽がないから)。20:30マイスリー。これから21:00までゆっくりして寝てしまおう。ぼーっとしてみよう。マイスリーのせいで、若干エネルギーアップしているぞ、やばい横になろう。
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