長女の事件簿 其の壱「私が〝ボケナス〟と呼ばれる理由」【伊勢さんちの四姉妹】
三女、次女とご紹介エピソードを綴ってきて、我が家に最初に降臨した長女を書かないわけにはいかんだろうとタイミングを見計らってきたのだが、実は、彼女、現在中学受験の真っ只中。いわゆる、〝二月の勝者〟となるために、毎日ヒイヒイ言いながら塾に通ったり、自宅で猛勉強⁉︎ しているわけで、本日はちょうど受験に帯同することになったので、父は長女が試験している間に、彼女について綴ってみようと思い立ち、こうしてnoteを開いてみた。
私たち夫婦のもとに舞い降りてから十数年の歳月が流れ、その間、様々な出来事を最も一緒に経験してきた長女。おそらく誰よりも艱難辛苦を味わってきたからこそ、優しい心を持った少女に育っているのだが、その優しさとは裏腹に、とんでもなくぶっ飛んだ方向にも進みつつある今日この頃。まずは、直近で起きた事件をご紹介してみよう。
ふざけすぎ事件
奇しくも、テレビドラマ「二月の勝者」が放映されていた時期が中学受験と重なり、しかも、モデルとなった塾に通っているということもあり、タイムリーに物語の子どもたちと共に歩んできたからこそ、中学受験の大変さも身に染みて感じていたある日のこと。
妊婦である母に代わって長女のアレコレに付き添うことが多い私が、早朝から、長女を全国模試の試験会場へ送り届けるミッションを請け負っていた。
前日の帰宅が遅くなり、出発のギリギリの時間に起きて、ドタバタ状態で車に乗り込んだため、長女とろくに顔もあわさずに、かなり寝ぼけた状態で会場である学校を目指した。
近隣のパーキングに停めるころには、試験に臨む長女の緊張をほぐそうと、楽しい会話を振ってみたりするくらいには脳もかすかに目覚めてきてはいたのだが、さて、いざ、ゆかん! と、車を降りてびっくり!
全国模試という、ある程度、厳格な空間に向かうとは思えないほど、衝撃的な姿をした長女が目に前に現れたのである。
いや、それは、だいぶ「ふざけすぎ」だろがああああアアアア亞!
一発で目が覚めたわ!
Tシャツももちろんツッコミどころだが、さらに、あーた、ドンペンって!
ドンドンドン♪なテンションで受験するやつがあるかあ!
思わずツッコんだ私に対して、「え? なんでダメなの?」的なノリで返されたときは、もはや言葉もなく、爆笑するしかなかった。
と、いうように、我が家の長女は、次女、三女とはまた別の意味でのぶっ飛び方をしている。自らを〝ナス〟とあだ名し、あまりに珍言、奇行が多いことから、そのうち家族から〝ボケナス〟呼ばわりされるようになるも、それすらも面白がって受け入れるという謎なキャラクターをしているのだ。
言いたくなるでしょ?
「模試、頑張ってこいよ!」と爽やかに勇気づけようとした瞬間に飛び込んできた光景がアレだと。
このボケナスがああああああアアア亞! って。
防災頭巾は四次元ポケット事件
なんのこっちゃと思われる見出しだろう。
かくゆう私も、かつてこの話を聞いたときは、自分の耳を疑った。
今を遡ること3年前。つまり、小学3年時の長女の話である。
当時、長女は〝忘れ物名人〟の冠をつけることができるほどに、忘れ物の多さでは右に出るものはいない小学校生活を送っていた。おそらく、それは今もだが……。
とある個人面談が行なわれた日のことだった。
担任の先生と母との会話のほとんどの時間が、長女の忘れ物の多さについて割かれていた。
母「そういえば、この間も学校で消しゴムをなくしてきて、何度筆記用具を買い直したかわからないんですよね。お道具箱とかにあるんじゃないかと勘ぐってるんですが……」
先生「お母さん、ちょっと今、見てみましょうか!」
母「ええ、それはちょっと面白そう!」
と、まさかのプライバシーを完全無視して、ノリノリで長女の机周りを漁ってみることにしたオトナ2人。
けれども、お道具箱はたしかに荒れてはいるのだが、忘れ物的なものは特に見当たらない。
では、どこに忘れてきているというのだろか? そう、消しゴムだけでなく、保護者に渡さなければならない配布物も手元に届かないことが多く、母は、「え?そんなプリントもらってません」を繰り返してもいたため、必ずやどこかにそういったものたちがあるはずなのだが……。ま、まさか、故意に捨てたりしてるわけじゃ……!?
我が子を疑ってはいけないとも思いつつも、何やら嫌な予感しかしない母。
すると、何かを思いついた先生が、おもむろに椅子の背もたれにとりつけられている防災頭巾に手をかけたのだ……。
なぜに防災頭巾!?
防災頭巾って、地震訓練のときか、本気の地震が起きたときにしか使われない、普段は、背もたれやわらかクッションとしてさりげなく優しさを提供してくれているアレだよね?
と、怪訝に思った瞬間だった。
なんと、防災頭巾の中、つまり、頭をすっぽりと包むための空間に、文房具だけでなく、タオル、ハンカチ、配布物に消しゴムのカス、鼻をかんだティッシュなどなど、それはもう四次元ポケットのごとき、いや、というよりは、タダのゴミ箱のような感覚で無残に放り込まれたゴミたちの数々が、所狭しとひしめき合い、肩を寄せ合い、シクシクシクとむせび泣いていたのだ!
そんな話、はじめて聞いたわ!
どうなってんだ、キミの脳内!
どうして、防災頭巾に、わけのわからんものをどんどん投げ込んでいくのよ?
道具箱あるある的な汚れ具合は想像できたが、まさか防災頭巾にそんな活用方法があるなんて思ってもみなかったわ!(笑)
はい。凄まじい。何やら靴下みたいな衣類っぽいのも入ってんじゃねーか!笑
いやはや、想像の斜め上を超えていくとはこのことで、あまりの予測不能の事態に、もはや、この子は何なんだと、呆気に取られ、とにかく私ができることは、またもや爆笑のみであった。
こんなに可愛い猫ちゃんがゴミ箱か!(笑)
忘れ物は宿題事件
このように、さまざまなおとぼけをカマしながら生きている長女、基本的にうっかりな忘れ物が多く、全体的にツメが甘い彼女なのだが、まだまだ衝撃のエピソードが満載だ。
同じく小学3年生のころのこと。
母が夕飯の準備をしているときのことだった。
母「学童でちゃんと宿題はやってきたの?」
長女「……あ……」
長女「あ、うん、たぶんね、今日宿題あったんだけど、持って帰ってきてない」
宿題やるの忘れてるんじゃなくて、プリント置いてきてんのかよ!
と、母も突っ込んだに違いないが、そこからがまた酷い。
長女「いや、でもね、そういえば、宿題のプリント配られてなかったから、たぶん先生がプリント配るのを忘れたんじゃないかな?」
んなわけあるかぁ‼︎‼︎‼︎
と、さらにツッコミが続くわけだが、こうなったら真相を確かめなければと、母は長女にクラスメイトの家に電話をかけさせることにした。
今日、宿題のプリントが配られたか否か⁉︎
以下、長女と友人の会話である。
長女「もしもし、あのさ、今日って先生、宿題のプリント配ってないよね?」
友人「……。は? なに言ってるの? 宿題配られたに決まってるじゃん」
長女「え……⁉︎」
友人「え? まさか持って帰ってないとか? バカじゃないの。私もう終わったよ」
長女「あ、うん、ありがとう」
ありがとうじゃねーよ! めちゃくちゃバカにされてんじゃねーか!!(笑)
直後、ママの雷が落ちたのは想像に難くない。
宿題するのを忘れるのではなく、宿題そのものを学校に忘れてくるというアホさ加減。
そう、これが長女クオリティなのである。
人それぞれタイプがあるからこそ、勉強をそこまで頑張れとは言わないし、なんならたくさん本を読んでくれればそれでいいとも思ってはいるけれど……けれどよ⁉︎
せめて宿題は忘れてくんな(笑)。
そして、これらの一連のやりとりのあと、すべての状況を冷静に聞いていた次女(当時小学1年生)が、最後にポツリとこう言った。
次女「ナスって、のび太みたーい!」
ツッコミの切れ味抜群か!w
受験票事件
まだあんのかよ! と思うことなかれ。
最後は、直近で起きた呆然唖然事件でシメとしよう。
受験初日に受験を終えて、母のいる控え室に戻ってきた長女が最初に言った一言である。
長女「ママ、どうしよう! ヤバい! みんなの受験票の写真、ちゃんと証明写真とかでちゃんとした服を着てキレイに撮ったやつだった!」
え? 基本、そうじゃないの? 就職活動する履歴書に添付するように、駅前の証明写真的なもので撮影したのを貼り付けるもんじゃないの?
と、感じた私は一般的な感覚の持ち主なのだと思いたいが、我が家のママちゃんも天然なところがあるため、長女と母の天然コンビが繰り出した技がコチラである。
ヘアスタイル抜群でオシャレして自撮りかーい! フワちゃんか! フワちゃん目指してるのか⁉︎
いいの? これってほんとにありなの?
と、母にもお問い合わせしたのだが、すでにこれと同じように自撮りした写真で受験した学校はなんと合格!
そうか、時代か。これが新時代の在り方なのか。と、妙に納得もさせられた。
とはいえ、ここまで自我を貫き通すその姿勢は天晴だよ、ほんと。
取り急ぎ、本日の受験には、「ふざけてないし」Tシャツも、「ドンペン」サンダルも召喚されてなかったのでヨシとするか……。
さて、ということで、長々と長女語りをしてしまったが、三女も次女もそれぞれに個性が強いけど、それらを率いる長女のぶっ飛びっぷりもまた最強でしょ?
三女は名言、次女は猟奇、長女は事件をテーマに、今後も三姉妹のお話を綴りつつ、合間にママちゃんや私、ひいてはこれから誕生してくる四女についても語っていければと思ってる。
引き続き、伊勢さんちの四姉妹をよろしくお願いします。