新規事業立ち上げ時における事業計画の具体的な作り方
シンチャオ!
(※本記事で扱う事業計画とは、事業構造の定量的な計画書になるので、事業PLと認識して頂ければと思います。)
事業計画は事業内容によって数値構造と追うべき指標(KPI)が変わるので、汎用的なFMT作成は意味がありません。(国内には99のビジネスモデルが存在するらしいので、事業別で網羅しようと思えばできます。)
しかし、事業を立ち上げる際合理的な事業判断や施策判断を下すためには必要なツールになってくれて、事業が立ち上がったタイミングでは事業の数値計画は必ず必要になるのは言わなずもがなです。
とは言え、一般的な事業計画である会計項目を整理したり作成手順を文字だけで説明されても実用性に欠けると感じたので、事業指標を分解して作成する事業計画の作成方法を解説していきます。
汎用的な事業計画が存在しない理由
1.事業内容によって構造が変わる
当然ですが、事業領域や事業モデルによって事業計画の構造が全く変わります。
例えば、美容院の経営でも、店舗を経営して自社の人材で営業するのと、店舗の経営はするけど店舗の器具をフリーランス美容師にレンタルして場所貸し事業では事業構造がガラリと変わります。
どのような事業形態で、どのような課金形態で、お金を回収するのかが事業計画における大きな変数となり、課金形態によって大きく変わります。
事業形態が同じでも課金形態が違えば、全く違う事業計画になりますが、事業形態が違い、課金形態が同じであれば、おおよそ類似した事業計画になることが多いと考えます。
また、課金形態にも下記画像の様な細かな変数が存在しているので、各変数を捉える事が重要と主張します。
2.第一階層に置く指標によって構造が変わる
課金形態が変わると、第一階層となる事業指標が異なります。
例えばイタリアンの場合だと、単品売り切り形態であれば「顧客平均単価*来店回数*来店者数」が事業指標における第一階層になりますが、月額会員制の食べ飲み放題形態であれば、会員単価は固定するとして「平均会員単価*会員数*会員継続率」が第一階層となり、数字の組み立て方や概念が変わります。
仮に、課金モデルが同じであれば業界は違えど参考になりますが、業界が違うと扱う商材が変わりコスト構造が変わってしまうので、利益創出の仕方は別物になります。
3.PLは経営思想の現れ.作り手によって構造が変わる
事業計画を定量的に記したPLは、経営思想や意志を表現するものであり、作り手によって事業に対する理解や認識がバラバラであるが故に、事業計画の作り方は当然三者三様です。
事業計画はどんな状況の人に、どのような内容が必要なのか?
事業計画と言っても置かれている状況によって必要とする内容が異なります。例えば、起業前の起業家であれば事業計画はそもそも不要で検証がまずは必要と考えます。あるいは、起業して資金調達をしたい人であれば、適当な事業計画が必要です。
はたまた、上場企業で事業責任者に昇進をされた人は、予算策定をする為に、過去の事業成長度合いと組織目標を考慮して微調整された事業計画が必要です。あるいは、事業承継をしたい後継者などなど。。。
と言うように、置かれている状況によって必要な事業計画の内容が変わるので、大前提として事業計画が必要な人と状況は、ザッと下記の様に考えます。
本記事で主に対象としている人は、組織内で勤める事業の立ち上げ者を対象とした、新たな事業の構造整理を主用途とした事業計画になります。新規事業立ち上げ時では、構造整理以外にも事業計画を策定する意味はあるので、それらを次に説明します。
新規事業立ち上げ時に事業計画を策定する意味
事業の構造を整理する為
冒頭の内容と重複しますが、事業構造を知り事業指標を知ることで、自分達の活動リソースを最適に投下をする事が可能になります。事業拡大する局面においても、どの変数をいじることが重要かという選択材料になります。
事業の期待世界を広げるため
関係者に次なるステップを見せるため或いは自己理解をして、従業員や採用するメンバーに対して期待世界を見せるためと考えます。
このフェーズに入ったら顧客数拡大に向けたマーケティング支援が可能なると言った、次の世界を見せられるのが事業計画だと考えます。当然達成という条件は付きものですが。
事業のおおよその規模と成長スピードの共通認識を持つため
対象とする事業のモデル的に、どれくらいの期間でどれくらいまで事業が成長しそうなのかを一目で試算できるようになります。
そうすることで、メンバーと常に共通認識を持ち同じ方角に向かって事業を推進することができます。
新規事業立ち上げ時の事業計画を策定する手順
少し余談になりますが、場合によっては検証実施の承認段階で事業計画を求められる場合もありますが、初期投資が必要ではない事業でない限り、事業計画は不要とつき返しましょう。
そうでないと事業計画を作成して社内で承認を取ってあーだこーだしてる内に、市場の需要が変わってしまうか市場を取られていますと、言ってやりましょう。
ステップ0.検証段階で売れて今後も売れそうな場合作成する
事業計画を策定する前に、検証していないアイデア段階における事業計画は不要なので、売れるかどうかの需要検証を行った後に事業計画は策定するようにするのが大前提になります。
ステップ1.ビジネスモデル(変動費と固定費)を定める
誰に何を販売するかは検証段階で決まってると思うので、最も重要な課金形態を考えます。
この課金形態がビジネスモデルに直接影響する大きな変数なので、検証段階で得られた情報を元に現時点で最適な形態に決めます。
課金形態が定まったら、下記画像の様に課金の構造を整理していきます。
ステップ2.事業活動を定量的に評価できる項目に全て落とし込む
ビジネスモデルが定まったら、全ての事業活動を分解し可能限り定量項目で落とし込んでいきます。(下記画像参照。数値は何の根拠もない数値です)
・売上構造の分解例(SaaSを想定)
・行動指標の分解例(商談数の分解例)
・コスト項目の分解(SaaS想定)
・月次集計の例(分解したかく項目をクエリでマージして作成)
・年次集計の例(月次集計数値を年次単位で集計)
ステップ3.重要な変数をいくつか選定
分解した事業活動の中から、事業における定数と変数を見極めます。定数は不変的なものでどうしようもない指標。変数は自分達でコントロールできる指標とコントロールできない指標に分類します。
例えば、テレマーケティングを行う際のコール数はコントロール可能な変数ですが、hpへの問い合わせ率は自分達でコントロールできない変数です。これらの変数の中でも、立ち上げ初期で重要な指標を選定していきます。
事業の状況や課題によって重要な変数が変わる前提ですが、あくまで事業立ち上げき時に必要な変数を捉えます。
ステップ4.どの変数が事業の最大化に貢献できるかを考える
変数の考え方については、別記事で実際の事業案と連動させて書きたいと思いますが、定数と変数を見極め、自分達が追うべき定数と変数を分類していきます。
構造を解くと面白そうな他事業の事業計画
それぞれの事業構造や中身を解説する記事は別途作成していきますが、様々な要素が絡み合っていて面白いので要チェックな他事業の事業計画です。
最後に
事業計画はビジネスモデルのカラクリが反映されるものであり、経営者や作り手の意思がはっきり反映されるものと考えます。国内には99のビジネスモデル(形態)があると言われているので、様々な事業に触れながら事業計画を策定し事業の議事体験をしてみると面白いかもしれません。
本日は以上です。カモーン!!