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【小説振り返りnote】ヤバい教師小説を書いた感想



ヤバい教師ものを初めて書いてみた


昨日、2万6千字程度の短編小説を小説投稿サイトノベマ!にアップしました!

この作品は、小説投稿サイトノベマ!のキャラクター短編コンテストのお題『ヤバい教師』向けに書きました。

この小説は、不登校気味で刺激が強すぎる学校という環境や、聞こえてくる悪口とかが刺激的過ぎる(HSP気質)な主人公JKのクラスに、高圧的でモラハラ気質の教師、早川が赴任してきたところから話が始まります。

ここからあらすじを紹介します!

~あらすじ~
高校2年生になった石井乙葉は1年生のときも学校に馴染むことができず、通信制高校への転校を考えていた。
保健室登校をしていた際、養護教諭の三輪先生に励まされたこともあり、この学校でもう少し頑張ってみることにした。
新学期になり、クラスに赴任してきた早川先生は高圧的な態度で、いきなり、「甘ったれたことが大嫌いだ」と主張し、初日からクラスがざわつく。
そのことを茶化した男子に対し、早川先生は「これ以上、笑ったら制裁する」と警告し、クラスは笑いに包まれる。
しかし、次の日、茶化した男子が帰り道に暴行を受け、入院した。
そのことを早川先生に問い詰めると、関与を仄めかす発言をしてクラスは騒然とする。その様子をスマホで撮っていた女子は早川先生に見つかった。
その次の日、今度は女子が帰り道、暴行され、クラスはまた騒然とする。森岡はその暴行について、早川先生に怒りをぶつけ、胸ぐらを掴む。
そんな騒がしいクラスは強い言葉と怒りだらけで、乙葉は過ごすことができないと思い、保健室に向かうが――。

という感じの話になりました!
後半でネタバレ込みで、掘り下げてみています。ちょっとした意外性を出すことを意識して書きました。

元々、コンテストのテーマ、『ヤバい教師』が発表されてから、「今回は厳しいかな」って思っていました。
理由は2つくらいあって、ひとつは、テーマに対して、あまりイメージが描けなかったこと、もうひとつは、1月、若干のクライシス期に入っていて、書く対象物がわからなくなっていたことがあります。

クライシス期については、こちらにまとめました笑

ただ、この記事を書いたその日に、急に力が抜けたみたいで、今回のアイデアが浮かびました。
今回も、プロットなしで、3日間でささっと書きました。

スランプ前とスランプあとの執筆アプリnolaのスクショです笑

最近のペースを均すと、大体1時間2500字程度、出力できるので、約10時間くらいでできたと思います。1日目、2日目は7000字程度にとどめ、3日目は1万2千字程度で作業しました。ものすごく集中して書けば、1日でかける量ですが、その分、消耗が激しく、いつもその次の日に、ダウンタイムに襲われるため、今回はあまり無理しない方針でやりました。

書き出しの「私は今の甘ったれた世の中が大嫌いだ」という早川先生のセリフを思いつき、そのまま、書き始めました。
思いつくときは大体、オチまで、見えてる感じで、今回も、こういう感じにしようかって、自然にストーリーラインが見えたので、素直に書いた感じです。

題材となる『ヤバい教師』、最近のトレンドですよね。
ドラマだと、1月からの日曜劇場の『御上先生』や、少し前のものだと『最高の教師』などが、このジャンルに該当するのかなって思います。余談ですが、御上先生は、1話まで観ました。とても面白くて、これからどうやって伏線が回収されていくのか、楽しみです!(2話目は、まだ観れていません;)


地の文で空気感を作れた話


この小説を書いているとき、クリープハイプさんのチルノとポルノを、ずっとリピート再生していました笑

正直、あまり小説の世界観と離れています。この小説の気分はチルノとポルノかなって感じの理由だけです笑


登場人物の追い込まれるスリリングな、エンタメジャンルを書いたのは、先月書いたデスゲーム小説『友情を証明してください』が初の作品でした。
そして、今回書いた『善意と悪意の早川先生』は、この系統のエンタメジャンルとして書いた2作目になります。
なので、ジャンルとしては、書き慣れていません。

今まで、ずっと、青春恋愛小説ばかり書いてきたので、登場人物を追い詰める嫌な感じになるような、エンタメジャンルを書いたことがありませんでした。もちろん、ミステリーも書いたことがないので、まだ、手探りな感じでやっています。
ただ、純文学を目指していたとき、内面のドロドロとか、心理描写とかは、世には出していませんが、そういうことをチャレンジして、研磨した経験はありました。
その頃の振り返りはこちらにまとめています。


『善意と悪意の早川先生』は、クラスの中を、SNSの縮図にして、SNSによる情報過多をテーマにして、発するセリフをできるだけ、嫌な方に持っていきました。
今まで書いた、詩や小説で、綺麗な言葉を並べていたのと、逆の作業をしたイメージです笑

ただ、青春のキラキラ感は空気として作りたかったので、風景描写でバランス取るイメージでやりました。
何気ない一瞬を描くのが大好きなので、そのあたり、このドロドロの中でも、入れることができてよかったなって自己満足しています笑

風景描写もそうですが、こういう人間関係のドロドロの話の場合、地の文が面白くないと、話として引っ張れないよなって、個人的には考えています。

なので、地の文はこんな感じにしてみました。

・TikTok、Xカルチャーをミックスして入れ、リズムと世界観作りつつ、パンチライン(一文で刺す)をどんどん入れて、印象に残るようにしてみた
・一文一義をやめ、リリック体で、文章の中に意味を詰めれるだけ詰めてみた
・前半はリリック体、後半からは、読みやすくするために、前半より、カルチャーミックスを薄くし、展開優先にした
・前半で尖ってキツい言葉が連発したので、後半は優しく、ファンタジックな言葉を連発させた

一文一義をやめ、リリック体にしたというのは、こんな感じです。できるだけ、リズムで文章を引っ張っていくイメージで書きました。

 今日から学年が上がり、2年生になったから、ようやっとダル絡みから開放されると思ったら、春休み挟んで、すぐにまたダル絡みされることになったから、それこそ、私にとって、この席はSSRの確率って、よくわからないけど、0.0000000001%を無課金で引き当てて、無駄に運を使ったとさえ思った。

この文章は、『が』と『か』、『から』と『ら』と『り』と『る』、『とって』と『て』そして、『た』で、リズム取る感じで書きました。

 私がそんな、鬱っぽいことを言ったのは、あまりにも高校生活が馴染めなくて、自分の青春なんて、もう粉々に消えてしまったなって、思ってて、夏休みまで頑張ってみて、それでダメだったら、もう通信制の高校に編入しようかな、なんて考えいるからだ。

この文章も、『な』と『て』でリズム取るイメージで書いてます。

一文一義のメリットは、意味が適切に伝わり、わかりやすいことです。
ただ、僕は別にすべての文章が、しっかり意味として取られられる必要はないと考えています。
だから、まとめてぶつ切りにするより、音で楽しんでもらいたいなって感じで、いつも地の文を書いています。

「いや、一文一義は文章の基本で、わかりやすいに越したことないじゃん! 全然、基本抑えてないじゃん!」とか言われそうですが、意図的なら、色としてわかりにくくても、よくない? って僕は思っています(思想強そう笑

すごく個人的な主張ですが、わかりやすい物語を読みたいなら、文字だけの小説じゃなく、コミックを買いますよね?
さらに言えば、サブスクで映像作品見ちゃいますよね?
じゃあ、小説である意味ってなにかと言えば、色々要素はありますが、僕のなかでは、地の文の心地よいリズム感は、読書でしか体験できないことだと考えています。
そういった意味で、リズム体は自分のなかで、一番、重視しているところです。

あと、この例文ではあまりでてませんでしたが、ノリさえ伝われば、流行語をガンガン使います。今、その文が新鮮であれば、瑞々しさを出す狙いは十分達成できているので、文章の賞味期限切れはおそれずに、使うことにしています。

また、前半で『上級国民』や『界隈』、『闇バイト』など、ダークめな言葉を連発させたため、後半で『いちごパフェ』『キラキラ』『間接照明の暖色』など、優しい言葉をたくさん入れて、バランス取ってます(バランスを取るの定義が意味不明ですが、感覚の話です笑

優しい言葉の地の文はこんな感じです。

 なんで、私にこんなことを、ベラベラとこの人は話すんだろう。早川先生が言う通り、もう、ただのJKの私が知ることでもない。そんなことを思いながら、スプーンで生クリームを掬い、それをまた口に含んだ。
 イチゴシロップの甘さと、生クリームの甘さが、非現実を現実に戻してくれているように思えた。


先月のデスゲームの振り返りと違いの話


先月も、実は似たようなジャンルの作品を書きました。
デスゲームをテーマにしたこの作品です。

この小説は、テロリストに襲撃されたクラス内で、銃で、クラスメイトを殺害しないと出られないという話です。
そのとき、書いた感想など、下の記事にまとめています。

12月に公開し、約一ヶ月経ちました。おかげさまで、『友情を証明してください』が、本当に多くの方に読んでいただきました。

そして、いつも以上に反響いただき、本当に嬉しかったです! 
あらためて、読んでいただいた皆さん、ありがとうございました!


『善意と悪意の早川先生』は前作のデスゲームものの『友情を証明してください』より、人間の嫌なところを濃く書きました。先ほども書きましたが、クラスがSNSの縮図になるようにというテーマ性を入れつつ、書いています。なので、民度低めな、ネット種族がぞろぞろと出てくる感じです。
世間の声、ポストとかがクラスの中のざわざわする感じに繋げたいなってイメージで書きました。

一方、前作のデスゲーム小説、『友情を証明してください』では、簡素に人間関係の嫌な感じを描く感じにしていました。というか、現状の技量じゃ、簡素にしか、人間の嫌な部分を入れる隙間が見つけられなかったイメージです。
デスゲーム小説なので、ルール説明とルールの裏抜けのギミック、両方とも入れるのが必須でした。なので、自然と、その説明や、ギミックなどに文字数取られたイメージでした。
最初、書き始めたときの、自分のイメージでは3万字超えるイメージはなかったんですよね。
それが終盤になると、「あれ、ヤバいヤバい! 3万2千字、オーバーしそうなんだけど……」って感じでした笑

自分の感覚、今の技量では、デスゲームを3万2千字以内にまとめるのは、かなり難しかったです。
この小説では、風呂敷を大きめにやりましたが、例えば、少人数で人狼ゲームをするにしても、短編にまとめるのは、難しいことが簡単に想像がつきます。

おそらく、このテーマを、どの方が書いても、前提 → ゲーム開始 → クライマックスとオチの配分になると思いますが、そのなかで、テーマ性と人間ドラマを濃くするのは、ものすごく難しいことだと思います。
書き手視点でみると、どう考えても、キャパが小さすぎるように、僕は書きながら思っていました。

むしろ、3万2千字以内のキャパだったら、1対1の対決型の殺し合いのキャパになると思います。それだったら、人間ドラマを中心にして、濃く描くことは可能だと思います。しかし、3人以上の殺し合いの心理戦を描き、短編で人間ドラマ主軸にしつつ、テーマ性を打ち出すのは、個人的には、厳しいのではと考えています。

とは言っても、書き手は、踊り子。
求められたことの上を超えなくちゃいけませんし、指定された文字数でまとめなくちゃいけないので、今の自分の技量で、できる限りのことは、やるだけやってみたって感じです!

これも実際に書いてみないとわからなかったことなので、書き手は前を向いて、次を目指し、ひたすら書いて、書いて、チャレンジしていくしかないですね!
ある意味、小説を書くことって、スポーツに似ている部分があるので、これも練習だと思って、次へ、次へと前を向き続けましょう!(っていつも自分を鼓舞してます笑)


仕掛けを入れた話


ここからは、ネタバレ部分になります。
早川先生は、実は総務省の官僚で、実地調査として、身分を隠して、学校の担任になったという仕掛けをつくりました。

この部分の簡単なあらすじはこんな感じです。

前年度の引き継ぎで石井が不登校気味で、通信制高校への転校を検討していたことは知っていると伝えられる。
そして、早川先生は本当は教師ではなく、総務省の官僚であることも伝えられる。閣議決定した『SNSに関する治安維持と教育決議』による、特例的学校への官僚派遣となり、身分を隠し、実地調査及び、効果測定を行うためにこの学校に赴任したとのこと。その目的はSNSによる国のモラルハザードを是正する目的だとも告げられる。
なぜ、暴行をする必要があるのかと聞くと早川先生は、「正義、悪なんて表面的なもので、実は裏では連携しているということだ」と言われる。
さらに早川先生は、知り合いの伝で、通信制高校の編入に話を付けてくれていると伝えられる。返事は一週間後にする約束になった。

「先生が官僚でした」は、ドラマの『御上先生』と同じ形を取りましたが、少しだけ、設定をずらすことにしました。
『御上先生』では文科省の官僚派遣(官僚が現場を知る目的の)という、設定でした。

『善意と悪意の早川先生』は、同じ官僚でも、総務省の官僚としました。
そして、理由を極秘の実地調査とし、なぜ文科省ではなく、総務省なのかという部分はヒエラルキーの問題とし、にごす方向に持っていきました。
本文ではこんな感じで、説明しています。

「こんなの私にバラしてもいいんですか?」
「君はもうこの学校を辞める人間だろ。それにこういう関係もほとんどないことはわかっている」
「この肩書を見ても、よくわからないです」
「確かに、そうだな。国家統制管理官とは、2年前に閣議決定された『SNSに関する治安維持と教育決議』によって策定された管理官のことだ。今、103名の総務省の人間が特例措置で教員免許を与えられ、全国の高校に派遣されている。私は元々、社会科の教員免許を持っているがな。つまり、身分を隠し、実地調査及び、効果測定を行っているところだ」
「文科省じゃないんですね」
「ヒエラルキーの問題だ。教育の実務と改革は違う。それに総務省が実質、この国を運営していると言っても過言ではないだろう」

~中略~

「この国のモラルハザードは君が考えている以上に深刻な問題だということだ。本当はSNSなんて未成年に対し、禁止すればいい。ただ、この国は民主主義国だ。過度な経済活動の制限は、混乱を生むだけだ」
「それだったら、なんで、殴られた人がいるんですか? まさか、先生が一人ずつ殴ったんですか――」
「そんなことできるわけがないだろ。それは管理官の仕事ではない。それもまだ社会がなにであるかすら知らない、君が知ることではない。一つ言えるのは、正義、悪なんて表面的なもので、実は裏では連携しているということだ」

こんな感じで、設定を早川に語らせました。

ちょっと『御上先生』に寄りすぎている気もしますが、このラインだったら、ギリギリ大丈夫かなと思い、あえてギリギリを狙って書いてみました。
設定に説得力を持たせるのには、理由をファンタジーに飛ばして、さらにその理由を補足するのは、ヒエラルキーの要素を足せば、だいたい上手くいくような気がします笑


冒頭にも書きましたが、この小説もプロットなしで書きました。

最初の書き出しを書いて、すぐにこの展開が思いつきました。
『ヤバい教師』である理由を、社会の方に持っていけば、理由ができ、書き進められそうであること、話の結末も、大人しい決着の仕方と、激しい決着の仕方の2パターン、思いつきました。結末は、1万4千字くらい書いたときに、激しい決着の方にしようと決めました。

書きながら、名前を忘れるので、登場人物の名前と一言の属性をメモしたものは作りましたが、それ以外の資料はなしで今回も書けました。

やっぱり、プロットなしで書くメリットは、プロット作成時間を設けなくてよく、まるっと時間節約になるところだと思っています。
直近書いた、8万字の中~長編クラスでも、同じやり方をしています。
長編はこの小説になります。

プロットを書かない自分のやり方も、この記事にまとめています。


もっとこういうの、書いてみたいかも!って思った


自分としては、青春恋愛以外のジャンルを本格的に書いた第二弾の作品になりました。
書き終わったあと、「自分もこういうの書けたんだ」ってちょっと、驚きがありました! デスゲームを書いた時の記事も、同じようなこと、書いてましたね笑

次、こういうジャンル書くとしたら、どういうものがいいかなって考えています。
今のところ、すっとは、思いつきませんが、2月も何かしら、こういうダークめな小説、出してみたいなって思っています!(コンテスト抜きにして、自分で題材探して、やってみたいです)

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
これからもよろしくお願いします!


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