【キャリア相談】人事部の役割(52歳・会社員)
港区にお住いの52歳の男性会社員Yさんから頂いた相談を紹介します。
そこで今回は、Yさんのキャリア相談「人事部の役割」を頂戴して、
「人事部の役割」を「楽しみに変えるチャンス」にしたいと思います。
【私ならこうする】
「人事の役割」に関しては、ミシガン大学のウルリッチ教授が提唱した
4つの役割が有名です。
① 戦略パートナー(経営に積極的に参画する)
② 変革のエージェント(変革を推進する組織と人材を開発する)
③ 管理のエキスパート(各部署の人事業務を吸い上げて効率と精度を上げる)
④ 従業員がチャンピオン(社員の声を経営者に届ける)
この4つの役割。
私は正鵠を射る視点だと思います。
社員と企業を蝕むサイロ化
サイロ化とは
「企業内のもつれにより、経営が機能不全に陥っている状態」
を意味する経営用語です。
私は21世紀の人事部に求められる最大の役割は、
社員の成長と企業の発展を蝕む組織のサイロ化を改善して、
社員の成長と企業の発展を加速させることだと思っています。
そこで今回、ウルリッチが提唱する「人事の4つの役割」を「サイロ化改善」の視点で、「私ならこうする」を以下にお示しします。
戦略パートナー
(A)人事は「人材のサイロ化(人の“やる気”と“能力”レベルの停滞)」を
改善する役割を担う。
その実現のため人事は次の3点に尽力する。
①「経営理念」に整合した経営者の、マネジャーの、一般社員の「具体的行動指針」を策定する。
②「具体的行動指針」に整合した経営者の、マネジャーの、一般社員の「評価制度」を策定し、素早くPDCAを展開する(「C」は「社員モチベーション調査」で定期的にチェックする)。
③②で顕在化した「人材資産のサイロ箇所」を、当該部署のマネジャーに素早く改善させる。
変革のエージェント
(B)人事は「企業風土のサイロ化(組織の“健全性”の棄損)」を
改善する役割を担う。
その実現のため人事は次の2点に尽力する。
①「内向きのエネルギー」を生み出す企業風土(モノが言えない風土、出来ない事を出来ると言わせる風土、仲間や顧客への貢献より上司への忖度を優先させる風土)を変革するために、目指す企業風土を定義する。
②(CEOを先頭に立たせ)「社員モチベーション調査」で顕在化した「企業風土のサイロ箇所」を全社挙げて素早く改善させる。
管理のエキスパート
(C)人事は「イノベーションのサイロ化(組織の“競争力”の低下)」を
改善する役割を担う。
その実現のため人事は次の3点に尽力する。
①各部署が抱えている人・物・金の全ての管理業務を「定型業務」と「非定型業務」に区分する。
②区分された「定型業務」を人事部が全て吸い上げたうえ、
ムダな業務を廃止し、残った「定型業務」は可能な限りITで代替する。
③各部署で浮いた経営資源を自部署の「非定型業務」に投入させ、「イノベーションのサイロ箇所」を素早く改善させる。
従業員がチャンピオン
(D)人事は社員の「キャリア自律のサイロ化(キャリアの“会社依存”の向上)」を改善する役割を担う。
その実現のため人事は次の3点に尽力する。
①「評価制度」から非客観性・非公平性・非透明性を排除する。
②社員が「自分の仕事を自分で評価できる明確な情報(評価データ)」をフィードバックする。
③(CEOを先頭に立たせ)「自ら挑戦する人」、「利他の心で自ら他者に貢献する人」、「リーダーシップを自ら発揮する人」を奨励し続け、「キャリア自律のサイロ箇所」を全社挙げて素早く改善させる。
アナタが果たす役割
失われた30年を経た現在、
日本の、日本企業の、日本企業の社員の活力は上向く気配がありません。
なぜなら、
多くの日本企業は、サイロ化にはまり込み混迷から抜け出せず低迷し続けているからです。
そうした中でアナタは、
「社員をどう管理しようか」と悩む前に、
アナタが人事部長として「自ら挑戦する姿」、「利他の心で自ら他者に貢献する姿」、「リーダーシップを自ら発揮する姿」を率先して行動で示すことが、アナタが果たす役割の第一ステップだと思います。
どうでしょうか? ご一考いただければ幸いです。
アナタの輝く未来のために!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?