本屋さんにスタバをくっつけるな
国が書店を救おうとしてる。その支援内容をみて思ったこと。
本屋さん減少問題…「安い」「便利」にはかなわん
本屋さんが減っていく。これは書店の努力不足じゃなくて、「書店以外の本を売るシステム」のほうが消費者にとって心地よくなったからだと思う。
私も、好きな作家さんの新著とか芥川賞受賞作みたいな「ど〜うしても"今"読みたい本」じゃないかぎりはブックオフで買う。だって安いから!!!古典も読みたいし、いろんな本を積ん読しときたいから、新刊である必要性もそこまで感じていない。安いほうが、気になってた本を片っ端から買えるからありがたい。
紙派ながら、ここ数年は「デジタル書籍」も読み始めた。寝る前の読書にすごい便利だし、Kindle Unlimitedは本のラインナップがちょくちょく入れ替わるから飽きない。雑誌も読める。
会社の本好きな人も、「今はほとんどAmazonで買ってる」って言ってた。本をおすすめされた瞬間にポチっておくと、次の日にはポストに入っているから便利らしい。
書店以上に「安くて」「便利」なシステムが充実している今、そりゃあ書店に行かなくなりますよね……とも思ってしまう。
経産省から「書店を救うチーム」が爆誕
3/5。経産省から、全国で減少する街の書店を救うための「書店振興プロジェクトチーム」が爆誕した。
「読書イベント」や「カフェギャラリーの運営」などなど……その書店ならではの取り組みを後押しして、書店を生き残らせる作戦らしい。
売れる本屋……「蔦屋書店」みたいな、スタバや雑貨屋が併設されていて、イベントも定期的にやってるような本屋さんを指すのだろう。
これに対して街の本屋さんを営む書店員さんたちは、「カフェ運営は儲からないし本が汚れるリスクもある」「本当に書店を救いたいならインボイスやめてくれ」みたいなクリティカルな意見を出していた。経産省にはぜひそういう意見を尊重しながら、ムダなく動いてほしいと思う。
ここでただの本好きとして言いたいのは、「蔦屋書店みたいな本屋さんはもういらない」ってこと。
安易にスタバをくっつけるな
前に、スタバ併設の蔦屋書店に行った。小気味いい音楽が流れるオシャレな空間。店内にはズラリと本が並べられていて、その横には本に関連する雑貨も置いてある。今度発売されるお酒を試飲できるブースまであって、遊び心が止まらないといった感じだ。「いろいろ仕掛けててすごいな〜」と思いつつ、近くのベンチに腰かけて本を読もうとした。
そのとき……!!警備員さんにこう注意された。「1階のスタバで飲み物を買ってきてから読んでください」。どうやら、スタバのカップを所持していなければベンチに座れないルールらしい。
困ったことになった。ここにくる直前にご飯を食べてきたから、全然飲食したい気分じゃない。軽く立ち読みをしようにも、本を選びたい人の邪魔になりそうで申し訳ない。ただ本と新しい出会いがしたかっただけなのに……出鼻をくじかれた感じ。そこの"おしゃれルール"になじめない自分に居心地が悪くなり、そそくさと店を出た。
店を出てからふつふつと違和感が湧いてくる。てか……「コーヒー飲みたい気分の人」しか新しい本に出会えないなんて、書店の意味ある??
私の目的は、コーヒーでもお酒でも雑貨でもなくて、「本」そのもの。もしコーヒー飲みながら本を読みたい気分だったとしても、スタバじゃなくて好きなお店に行きたいし!!なぜ無理やりスタバにぶち込まれねばならないのか??
「スタバのコーヒー片手に読書をする休日」を演出するためにお金を払う人の気持ちもわからんでもない。けど、私は違う。一見自由なようでいて、すべて一つの選択肢に集約される不自由な空間に思えて、とにかく居心地が悪い。文化というより文明のニオイがする。
文化と文明のはざま
……とはいっても、生き残るためには文化と文明の中間を取るような工夫も少なからず必要だと思う。人はワクワクできる場所とか面白そうな場所に集まるから。そんなワクワクをつくる方法の一つが、経産省の言う「カフェ」やら「イベント」なのかもしれない。
ただ私は、そこに迎合しない「硬派な本屋さん」が好き。さんざんブックオフに通っておいて本当にわがままですみませんなんですが……硬派な本屋さんがなくなるのは悲しい。「仕掛け人」じゃなくて「目利き」がいる書店で、宝の山のなかから偶然新しい本に出会いたいという願望が強い。
硬派に「文化」を守ろうとする本屋さんや、好きな作家さんが、活動をずっと続けられるように。購入というかたちで貢献したいな〜と改めて思うなどした。次の土日は好きな書店に行こう……