伊豆天城山でハイキング-40
ささ家族と別れ、たぁと二人になった今、気づく。
ここはどこ?
ついでに
私は誰?
はよくわかっている。
ナビにお任せしながらららの運転でここまで来た。旅行のほとんどはささ家族まかせの車移動だったから「自由にしていいよ」と放り出されたことにちょっとした寂しさを覚える。
でも優しいささはちゃんと別れ際に重要アイテムを私たちに授けてくれた。
MAP「熱川よりみちガイド」
フムフムフム・・・・・・。
地図によれば駅は道を上ったすぐ先にあるらしいので、とりあえず行ってみよう。
それにしても墳泉塔が至る場所にあってここが温泉街であることを否応なしに知らせてくれる。
川から湯気が上がっているので覗いてみると熱々のお湯が流れ落ちる場所だけカラフルな色になっていた。
急な坂の先にも墳泉塔が存在感を示し、タクシーが止まっているちょっとした広場の後ろに駅があった。
一見、小さそうに見えるけど中に入ると広い構内に十分なスペースの待合室とお土産屋さんがある立派な駅だ。
何があるのかな?
お土産屋さんを覗いてみると品ぞろえが豊富。
ホテルのお土産コーナーは小さいながらも石鹸やお菓子など興味を引く商品があったのでそこで買い物をしようと思ったけど、こっちの方が断然買う気が起きる。明日は早めにホテルを出て、電車に乗る前にここで買って帰ろう。
「ニューサマーオレンジゼリーを凍らせて食べるとおいしいよ」
車内でささが幾度となく伝えてきた。
パチリ
念のため写真を撮って彼女に送ると「そう、コレコレ」と返事が来た。
「あっ、お塩がある」
もともとお土産を買うことに興味がなかった私。吉方取りを始めてから「良い気の食べ物をお家に持って帰りたい」と思うようになり、うどんや蕎麦などを買うようになった。そして昨年訪れた出雲旅行、対馬旅行からなぜだか塩が気になりはじめ、お土産の仲間に加えられた。
「なかなか使い切らないんだよね」
「それでいいんだよ。うちだって数年前に買った塩がまだあるもん」
お買い物好きなささからなんだか力強い言葉をもらって「おぉ、それでいいのか」と変な納得をしてしまった。
とりあえず伊豆限定の東京では買えない品だから買って帰ろう。
他に何か良いものはないかな。
買いたいという思いを他人へと向ける。
あと数か月もすればたぁの母国ニュージーランドに行くから彼の家族に何か買っていきたい。と、目に留まったのはカニの手ボールペン。
そういえばたぁの弟が彼と愛犬の顔が至るところにプリントされたバスローブを彼女への誕生日プレゼントにしていたな。
「ボブにこのボールペンどう?」
「いらないよ。あっ、でもいいかもしれない。大事な契約の時とかに使ってもらうの」
不動産業にかかわる彼は何かとサインを交わすことが多い。
状況を二人で想像してはクスクス笑い。買うか買わないかは明日決めることにしよう。
隣のお店にはたくさんの海産物が売られているけどたぁは調理された魚を好んで食べない。自分のためだけにもと思いながら見ていたけどサイズが大きくて一人で食べる機会もないと思い、たくさんの干物が敷き詰められた冷蔵庫から目を離すとドリンク売り場にニューサマーオレンジのサイダーを見つけた。
ささのお勧めを試してみようと一本手に取る。
店を出て構内のちょっとしたスペースに立ち止まって蓋を開ける。
オレンジというより黄色い色合いとおり味はあっさりしていて甘すぎず飲みやすい。
うん、いいね。
全部をすぐに飲み切ることができないから散歩のお供として連れて行こう。
すぐ近くに観光協会の建物があったので行ってみると入り口の前に足湯があり、親子連れが足を入れてのんびりしている。
いい画だねぇ~。
その隣に大黒天さん。
昼食をいただいた錦の傍には弁財天さんがいた。
ってことは・・・・・・?
地図を確認するとやっぱり。町を散策すると七福神めぐりができるようだ。
弁天様に今日という日を願って百円入れさせてもらったのでここはお辞儀だけさせてもらおう。
建物の中に入るとでっかいお面が目を引く。
様々な展示物をゆっくり見て回っていると、
「はい、おまたせしました」
誰もいなかった受付からおばちゃんが顔を覗かせた。
「見ているだけです」
そういうと、どこかに行ってしまった。
しばらしくするとカップルがやって来て、どうやら私たちとは逆におばちゃんと話をしたいのか受付の前に立ち止まっている。建物を出て横のトイレに行くと先ほどのおばちゃんがいた。だけど彼らが本当に彼女と話をしたかったのか確信はないし、「御用の時はこのベルを」があるからあえて声はかけずに用を済ませた。
さぁて、伊豆熱川散策始めるか。
主な登場人物:
私-のん、夫-たぁ、
姉-ささ、姉の夫-れん
姪っ子-らら、甥っ子-ぼう
これまでのお話
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