こんな時だから僕たちは本当に好きなことをやろう
2004年から名古屋のレストランで働いていました。当時の名古屋は2005年の愛・地球博に向けて、駅前の開発や地域の再開発などもあり、とても景気の良い時期でした。
山奥の大学を卒業したばかりで、世間知らずな若造だった僕は、職場近くのよくいくカフェのマスターに、生意気にも「駅前の再開発の影響ってありそうですかね?」と質問しました。
当時40近くの、自分の好きな本をたくさん置いた世界観の店を運営するマスターはちょっと間をおいて、「そんなの当てにしてないよ。そういうことに振り回されてちゃだめだよ」とそんなことを仰っていたことを、ふと思い出しました。
ホテルの稼働率の話
最近の世界中の自粛ムードや海外の渡航禁止の中で、多くのホテルの稼働率が悪いとニュースを目にするようになりました。
話は変わって、僕は海外や国内に行くと極力※Craft Hotelに泊まるようにしています。多少値は張りますが、プロダクトの雰囲気や空間づくりなどをインプットするためです。先日、ポートランド発の、日本で初めて京都にオープンしたCraft Hotelの魁であるACE HOTELなどは、泊まってみると本当に居心地がよく、空間づくりやこだわりなどヒントも多くあります。
※Craft Hotelは池尻大橋でLOBBYなどを運営する井澤さんの提唱されている呼称です。
”僕が好きなホテルは、豪華絢爛なラグジュアリーホテルでは無く、ローカルな魅力や、つくり手の思想が体感できるようなホテル。
その土地の地形や、物件の歴史を反映し、その地のアーティストやクリエイターと一緒に作り上げていて、別のエリアでの再現性が低いものづくりが体感できる。
そんなホテルを僕は、クラフトホテルと呼んで泊まり歩いています。”
この何年か、渋谷でも多くのホテルが出てきました。
日本橋兜町に出来たK5というホテルもこの前行ってきましたが、レストランが素敵な目黒kabiの2号店cavemanだったり、コーヒーはswith coffeeだったり、エレベーターが銅張りだったり、部屋にレコードプレイヤーがあったり、部屋のミニバーのブルックリンラガーを飲めたりと細部にこだわり抜いた居心地の良いホテルでした。
一方、インバウンド需要が大きいから、オリンピックがあるからと、突貫工事でできたハリボテのようなホテルが増えてきたのも事実です。
需要に合わせるために過度に増えてしまったホテル業界では、こういった状況で稼働率が低くなるのは仕方ないのではないかと思えました。
その違いは何か。やっぱり好きで作ったものに宿るクラフト感ではないかと思っています。そのオーナーや作り手のストーリーや想いがのっていて、応援したくなるのです。
飲食ビジネスか飲食愛か
飲食ビジネスでも同じ。
「〇〇が流行っているから、〇〇を売りにした」飲食ビジネスがあります。
芯があるか、プロダクトに愛があるか。ストーリーがあるか。好きでやっているのか、単に儲かりそうだからやっているのか。真似してやっているのか。
もちろんサスティナブルな会社やお店にしていくため、綺麗事だけではなくビジネス視点をもたなければいけないことはわかっています。
しかし、こんな予測もしないことが起こったときに本当に好きなことをやっているか、何かあてにしていなかったか、と胸に手を当てふと思い出してみました。皆さんどうでしょう?
僕は飲食業が大好きです。飲食業に携わる多くの人が大好きです。
今回の自粛の中で、飲食業に関わる皆が新たなことに取り組んだのをSNSであげたり、署名をシェアしあったりする様を見てますます好きになってしまいました。皆の愛が感じられたからです。
そして自分たちも負けないようにプロダクトに愛を注ぎ、その愛を伝え続けていきたい。
時代は次のフェーズに変わっていくでしょう。
こんな時代だからこそ好きなことを、好きな人ととことんやっていきましょう。
ホテルの稼働率の話をみて、ふと昔のことを思い出したので、noteに書きました。
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