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小山伸二
2015年3月27日 20:47
国立駅南口賢しらなことを話すひとがマイクロフォンを片手に三月の話をしている藤原業平というのかぼくはいろんなふりが、いよいよできなくなって煮詰まるリダクションっていうのかな赤ワインを静かに煮詰めていくとやがてキラキラひかる鏡のようになって世界の醜さ狡さを映し出していくそんな物言いさえも立派すぎるのだと現在を生きる詩人になじられて国立駅南口の三月も終わろうとするこの列
2015年3月16日 02:11
眠れる姉に雨が降るしずかな森のように濡れていく雫のひかりをそっとこの手のひらにうけとめて眠れる姉の鼓動の丘にこの胸をうずめる古代の恩寵を抱きしめたいわたくしの三月の暦恋人に詩を送る夜のしじまに獣たちが息をひそめている
2015年3月2日 00:47
昼酒一合だけでゆるいほろ酔いに ここで打ち止め それが肝要 それが寛容への道筋 理屈ではどうにもならないこともあるのよ 小学生の頃にそんなことを教えてくれた 近所の綺麗なお姉さんを思い出す きっといまごろ 綺麗なおばあさんになっているお姉さん この二十一世紀の二月を どんな気持ちで 過ごしているのかな 風呂上がりにね 濡れたタオルをパンパンと音を立てて 鳴らす