絶望をそのまま描かない映画


KINOシネマへ『ドン底作家の人生に幸あれ!』を観に行った。
(原題は「The Personal History of David Copperfield」)
こういうタイトルのほうが集客が見込めるとマーケティングとかから導き出したのかな、よくわからないけど邦題でスルーを決め込まず観に行ってよかった。

映画は素晴らしかった。『スラムドッグ$ミリオネア』『LION/ライオン~25年目のただいま~』『ホテル・ムンバイ』に続いて、デヴ・パテルが出ている好きな世界線がまた一つ増えた。彼の思慮深い間(ま)が好きだ。


イギリスの文豪チャールズ・ディケンズの自伝的半生を描いたとのことだが描き方がすっとんでいる。
映画を観ていたら妄想と空想と現実が入り交じって不思議な気分になり、心地よくて30秒くらい眠っていたっぽい。目が覚めたとき、スクリーンの向こう側から戻ってきたような感覚があった。映画が退屈だったのではなく、現実と空想の境界線のあいまいな狭間に引きずり込まれる心地いい気の失いかた。なんというか好みのうたた寝。


あんな凧を観たことがない。
あれほど高く舞い上がる言葉を観たことがない。


いい映画を観れてうれしい。また来週も観に行こう。
ラストシーンの言葉を、絶望しかけたあの少年と一緒に私にもう一度聞かせたい。



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