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DX・データ駆動型経営成功のカギ!
データストラテジーのすすめ

はじめに

今回のブログは、前回の続きになります。前回のブログをご覧になっていない方はこちらからご覧いただけます。

今回扱うテーマは、データストラテジーになります。
これは、Enterprise Data World(EDW)の中で特に感銘を受けた講義の1つMarilu Lopez氏の「Data Strategies for Data Governance ..and More!」という講義と、その元ネタである同氏著の「DATA STRATEGIES FOR DATA GOVERNANCE Creating a Pragmatic, Agile and Communicable Foundation for your Data Management Practice」をもとに、データストラテジーとは?について私なりの理解や解釈をご紹介します!

データに関する問題とデータストラテジー

データストラテジーとは何か?についてご紹介する前に、そもそもなぜデータストラテジーが必要なのか?といったところからご説明いたします。

データに関する課題

昨今「データは新しい石油(Data is the new oil)」という言葉もあるように、データを企業の資産として捉える動きが活発になっていると思われます。
また、生成・利用されるデータは加速度的に増えており、今後さらにデータの価値というものは注目されていくことになるでしょう。
※データの増加量は2025年には約180ゼタバイトに達するとの予測もあり、これは2022年のデータ量の2倍とのことです。

しかし、いくら量が増えたとしても、データは利用できないとその価値を発揮できず、ただの無駄になります。
データを利用できるようにするためには、データを理解し、機密データを保護し、データの品質を保証するといったプロセスが必要です。
このプロセスには、データを資産として管理する活動である”データマネジメント”が必要です。

データストラテジーの必要性

このブログをお読みの方であれば、既にデータマネジメントの重要性に気づかれている方も多いかも知れません。
しかし、データマネジメントの重要性に気づいていても、マスタデータ管理や、データ品質管理など場当たり的なデータマネジメント活動に焦点を当てがちになることも多いと考えています。
そのため、データマネジメントに過度な投資を行ってしまったり(利用しないツールの購入など)、ビジネス側からの理解が得られず上手く発展できないといった事態に繋がることもあるのでは無いでしょうか?
データマネジメントをより効果的に進めるためには、ビジネスの目標と整合性が取れたデータマネジメント活動を整理し、中長期的なロードマップを描き、改善・周知活動を行うといった、データを資産として管理するための戦略を描くことが重要になってきます。
データを資産として管理するための戦略(ストラテジー)がデータストラテジーです。
実際に、Marilu氏の講義でも、データを資産として捉える文化(データカルチャー)を醸成する上での主な障害として、対象企業の50%がデータストラテジーの不足をあげていたといった事例を紹介していました。

他にもデータストラテジーの重要性に関するこのような調査も引用していたので、気になる方はぜひご覧ください。
以上からもわかるように、データを資産として管理するには、そのためのストラテジーが必要になるのです。

データストラテジーとは?

そもそもストラテジーとは何か?

ストラテジーを英語(Strategy)で検索すると、いくつかの定義が出てきます。例えば、Cambridge Dictionaryでは、以下のように定義されています。

”a detailed plan for achieving success in situations such as war, politics, business, industry, or sport, or the skill of planning for such situations
”戦争、政治、ビジネス、産業、スポーツなどの状況において成功を収めるための詳細な計画、またはそのような状況を計画する技術。”
※日本語は機械翻訳

https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/strategy

また、Marilu氏が、自身のデータストラテジーの定義を確立する上で参考としていた定義も以下にご紹介します。

”Strategy is the intelligent allocation of resources through a unique system of activities to achieve a goal.”
”戦略とは、目標を達成するための独自の活動システムを通じて資源を賢く配分することである。”
※日本語は機械翻訳

https://www.strategyskills.com/what-is-strategy/

個人的にストラテジーを「リソース(資源)を賢く配分する」と捉える点はなるほどなと感じました。
ある目的を達成するために、人、モノ、金、時間など企業のリソースを効果的に配分する。そしてそれを実行するのに十分な程度の詳細さで計画していく。
こういった点がストラテジーに重要な要素なのかなと思われます。

データストラテジーとは何か?

では、Marilu氏が考えるデータストラテジーの定義とはどのようなものでしょうか?彼女は以下のような簡潔な文章で定義しています。

”Data Strategies are the highest level guidance in an organization on intelligently assigning resources to work in an integrated way to achieve data-related goals and contribute to achieving business strategic objectives.”

“データ戦略とは、データ関連の目標を達成し、ビジネス戦略目標の達成に貢献するために、統合された方法で働くリソースを知的に割り当てるための、組織における最高レベルのガイダンスである。”

※日本語は機械翻訳

Marilu Lopez, 2024. DATA STRATEGIES FOR DATA GOVERNANCE Creating a Pragmatic, Agile and Communicable Foundation for your Data Management Practice.:
Techniques Publications.

なぜ、前述したようなストラテジーの定義からこのデータストラテジーが生まれたかの詳細についてはぜひ書籍を読んでチェックいただきたいのですが、この定義の中で注目すべきは、”ビジネス戦略目標の達成に貢献するため”という点だと考えています。
データマネジメントを実施する動機としてよく以下のような話をお聞きします。
「データ駆動型経営/DXを達成するため、とりあえずデータ統合基盤を作って、業務横断で一箇所からデータを利活用できるようにしよう」
もちろんこの動機自体はとても素晴らしいことです。しかし、いざデータ統合基盤を整備しても、利活用ニーズが無かった。といった話も珍しくありません。
そしてデータマネジメントやデータガバナンスは労力に合わない仕事だと捉えられてしまうといった事態にもなりかねません。
こうならないためにも、まずはビジネスが何をしたいか?というビジネス目標を知ることが大事です。ただし、これは上記のようなDXを達成するといった曖昧な目標ではなく、例えば中期経営計画など、企業が外部公開するような経営目標から始めてみるのも良いと解釈しています。もちろん、企業内にいる方であれば、内部で管理する経営目標や経営層へのインタビューを実施するのも良いと考えています。
そこから、データの観点でどんなことが貢献できるか?を考えること、そしてそれを実行するためのリソースを効果的に配分することが大事なのだと捉えています。

例えば、日産自動車の長期ビジョンを見ていると以下のような文言が出てきます。※企業は無作為に選択しています。

電動化を推進し、多様な選択肢と体験を提供」

このビジョンを見たときに、顧客へ多様な選択肢や体験を提供するといったビジネス目標があることがわかります。
これを達成するためにデータの観点でできることを考えると、例えば販売代理店が顧客へ提案しているデータを活用するということが挙げられるのではないかと考えます。
そうすると、例えば以下を行うことでビジネスの目標にデータの観点から貢献できるかもと考えられます。

  • 直営販売店の営業データの品質向上

  • 本社側の人も分析できるようなプラットフォーム(データ統合基盤など)の構築

  • 販売店に来る顧客のマスタデータ整備

もちろんこれらはあくまで例えであり、企業内部や業界の事情などを考慮せず思いつきで書いています。
そのため、こんなことは実現できない、もっとこんなことができるんじゃないか?といったコメントを言いたくなるかもしれません。
また、ビジネスの目標にも優先順位があるため、その辺りも考慮する必要はあります。
しかし、このようなイメージでビジネスの目標を達成するために、データはどう貢献できるか、そのためにデータがどうなっているといいか?という風にブレイクダウンして考えるとデータストラテジーも立てやすくなるのではないでしょうか?

データストラテジー実施におけるTips

では最後に、データストラテジーを実施する上でのTipsをMarilu氏の著書を読んだ上で感じた内容をもとにいくつかご紹介します。

①データは資産であるという文化を継続的に育む

そもそも企業内で、データを資産として捉える風潮がないのであればその考えを改めていけるような教育を継続的に実施する必要があります。
この教育は現場レベルだけでなく、経営層やマネジメント層などリーダーシップを発揮する立場の人にも必要です。
ストラテジーと教育の2つが無いとデータマネジメントを効果的に進めることは難しいでしょう。

②ツール先行にならない

よくあるパターンとして、データマネジメントを始める際、まずはデータカタログなどのツールやテクノロジーを導入するというパターンです。
もちろん、ツール自体は良いものなのですが、それを使ってどうしたいか?が無いと中々効果を発揮してくれない代物だと考えています。
そのため、まずはストラテジーを固めてからツールを選ぶという順番で考えると良いでしょう。

③データストラテジーを売り込む

このブログを読んでおられるということは、データマネジメントに対してかなり意識が高い方でしょう。
ですので、その思いや知識を活かし、データストラテジーを経営層やステークホルダーに売り込んでいけるとベストなのではないかなと考えています。
つまり、社内のデータに対し何らかの問題意識がある人が、その問題を解決すると組織にとってこんなメリットがある、それは組織のこんな目標に貢献できるという風に経営層を説得しデータマネジメントのプログラムを進めるといったイメージです。
もちろんこれは難しいことですが、Tipsの1つ目と合わせてうまく巻き込んでいくのが理想的です。

最後に

ここまで偉そうにデータストラテジーを語ってきましたが、私個人の視点では今回ご紹介したようなストラテジーを立てられている企業をお見かけしたことはあまりありません。
それほど、難易度が高いことであると同時に、誰もできていないからこそ取り組む意義がある、つまり競争優位に立てる可能性が高いのではないかなと考えています。
データ駆動型経営やDXとに本気で取り組むのであれば、ぜひデータストラテジーを検討してみてはいかがでしょうか?

また、今回のブログでは、データストラテジーとは何か?(What)についてをメインで書いていますが、ご紹介した著書「DATA STRATEGIES FOR DATA GOVERNANCE Creating a Pragmatic, Agile and Communicable Foundation for your Data Management Practice」では、より詳細なWhatだけでなく、どう進めればいいか?(How to)まで、わかりやすく書枯れているので、ぜひ一度手に取って読んでいただきたいです!

かなり長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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