ブックレビュー/「芸術・無意識・脳」エリック・R・カンデル
この本が気になった方は、「芸術・無意識・脳」どの言葉に興味を持ちましたか?
僕は脳や芸術という部分に興味を持って手に取りました。
この本を知ったのは、好きな脳神経科学者の青砥瑞人(DAncing Einstein)さんが紹介していたのがきっかけでした。
価格と量感
ただこの本、気軽に手に取れない障壁がありますw
それは、
価格と量感
まだ知らない方の為にもお伝えすると、
価格が約7000円、ページが592ページです。(重さは約1kg)
本としては安くない価格且つボリューム。
それでも読む気があるか?と覚悟を試されているようにさえ感じますw
今回は自分の備忘録や記憶定着、迷っているアナタの為に、簡単に本の概要と所感を書きたいと思います!
ざっくり概要
この本の大きなテーマやメッセージは、
「科学と芸術の対話」
そして、本を通して出てくるキーワードが
「芸術・無意識・脳」
になっています。
本の内容を大まかに分けると、
・医学・科学での「無意識」
・画家と絵画の「無意識」
・視覚と脳の反応と仕組み
・画と人間と脳について
以上の4つの感じになります。
時代背景は、オーストリアのウィーンでの1900年前後のことが中心となっています。
著者について
この本の著者はエリック・R・カンデルという方。
2000年にはノーベル医学生理学賞を受賞し、脳神経学の世界では知らない人は居ないくらいのレジェンドの方だそう。
出身地オーストリアのウィーン。
現在(2021年2月)はアメリカコロンビア大学の教授をされています。
この本は芸術寄りですが、ガッツリ脳神経科学の内容が良い方はカンデルさんの「記憶のしくみ」という本もあります。
(↑読みましたが素人には中々難しい内容でした)
以上が本の概要。
この先はもう少し具体的な内容の解説になります!
医学・科学の「無意識」
1つ目の医学、科学からの「無意識」についてですが、
主な登場人物は、
ジークムント・フロイト
アルトゥール・シュニッツラー
この二人の話がメインになります。
医者であるふたりが人の無意識や人間の精神性に惹かれ、
フロイトは精神医学や心理学から、シュニッツラーは作家という視点での「無意識」についての内容が書かれています。
個人的にこの序盤がシンドくてめげそうになりましたw
脳や芸術のことを期待していたので、それらの事が出てこなかったもので。
フロイトやシュニッツラーはその後の内容にも出てくるので、出てきて興味が湧いたら戻って読むのもありだったかなと今は思います。
画家と絵画の「無意識」
2つ目は絵画とそれを描いた画家についての内容です。
主な登場人物は、
グスタフ・クリムト
オスカー・ココシュカ
エゴン・シーレ
の3人。
3人がフォーカスし表現した、人間の内面の抑圧された「無意識」。
中でも、性衝動や攻撃性が描かれた3人の画を取り上げ書かれています。
3人の画も掲載されていて単純に面白い!
画を見ながら、3人が被写体をどう捉えたか、描いた3人の背景や精神状態などの解説がされていて、画に素養のない僕でも興味を持って読むことができました。
視覚(脳)の反応と仕組み
3つ目は、視覚のことが中心になります。
人が物を見た時にどういった反応をしているのか?
視覚から入ってきた刺激をどう処理しているか?
といった視覚の反応や処理をする脳の仕組みや特徴が具体的に書かれています。
ここから脳に関する話が多くなります!
人間の視覚の特徴や仕組みはとても興味深く、脳に興味がなくても楽しめる内容だと思います!
画と人間と脳について
最後4つ目は、画と人間、脳について色んな観点で書かれています。
画を見た時に湧く感情や共感、無意識の情動についてや、
画を見る鑑賞者の反応と役割、芸術家と鑑賞者の関係。
人はなぜ画を描くのか?
といった感じで、これまで出てきた内容を深めて広げた内容。
画を描く行為(表現)は人間が持つ衝動であり、生存していく為に必要なものというのが印象的に残りました。
おわり
どうでしょうか?
この本のイメージは伝わりましたかね、、、?
読書に長けてないので読み終えるのに時間はかかりましたが、最後まで興味深く読めました!
唯一の難点は重くて読む姿勢に困ることですねw
タイトルの「芸術・無意識・脳」のうち2つ興味があればおすすめの本です!!
このブログがお役に立てたなら幸いです。
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