今日もしなやかに参ります。
読後感想文として、トヨタの社長の内面に迫るビジネスノンフィクションものです。
書名がずばり本名”豊田章男”。トヨダと濁るそうです。
豊田章男という人間の内面について、タクシードライバを夢見た少年時代から始まり、どのように育ったか、会社人生を歩んできたかが書かれており、その中でドライビングに目覚め、テストドライバの社員に弟子入りしてモリゾウと名乗ってレースに参加、社長との2つの顔を使い分けている様子が書かれています。
イチローとの対話の中でプロであること・孤独であることの共通点を見出し互いに共鳴する様子、アメリカで大規模リコールが発生し公聴会に招致される試練に耐え、強い恐怖心に突き動かされるような経営・人事・采配、マツダを先生にしてクルマづくりを見直し、メディア戦略を一変させ、モビリティカンパニー宣言をし未来を語る、といった内容になっており、トヨタという会社、および豊田章男という人間について魅了されのめりこまれるような感覚を覚えました。
特に2018年の米国自動車殿堂入りの記念式典でのサプライズビデオの下りはとても印象的でした。実際の動画はこちら↓
ここからはネタばれとなりますが、祖父喜一郎にインタビューのためにタイムスリップするという設定で、喜一郎・章男の2役を章男自身が演じるというものです。最後のオチが秀逸で、”トヨタだといいけど”というセリフがなんとも好ましく笑いを誘うものでした。
メディアでの露出が多くアピールの多い章男社長のおかげなのか、最近はEVの特許を公開したり、異業種間での協業(ソフトバンクとのMONET Technologies、NTTとのWoven City)、e-Paletteなどオープンな仲間づくりを積極的に行っています。クルマの電子化により垂直統合から、水平分業へ移行させつつ、自社のコアとなる技術に磨きをかけていく様子がうかがえます。特にシリコンバレーのTRI/日本橋のTRI-ADや先進技術開発カンパニーにてAI, ロボティクス、自動運転の開発を加速していると思われます。
自動運転はオーナーカーとサービスカーの2種類に分けられるようですが、前者はレベル3,4と段階的に開発が進むことになり、e-Palleteのような後者は一気にレベル4に進むそうで、開発方向性が異なると聞いています。トヨタにはこのまま両にらみで進めていただき、事故や移動格差のない世の中にしてほしいと思います。1億人x1マイルの移動での事故率は自動車が0.72、飛行機は0.01という統計データ(エアライン・フォア・アメリカという団体調べ)がありますが、なぜ飛行機は車より70倍安全かといえば、自動運転に起因するとも言えます。早く世の中の不幸なニュースを減らすのに自動運転が発展し普及してほしいと願ってやみません。私はたまにレンタカーで運転を行いますが、加害者になってしまう可能性を意識するとあまり楽しめるものではありません。これも自動運転が解決してくれると願います。
最近周りの方に話が長いと言われますが、文章書いても長くなってしまいます。これに懲りずまた覗いてください!