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認知能力を伸ばす方法|短期決戦!
何をするにも頭が良ければ有利!!
というのは至極当然に聞こえるかもしれませんが、子どもの頭の良さを伸ばそうと意識している人はまだまだ少数派ではないでしょうか。
それこそ「頭の良さ=遺伝」というイメージがついてしまっていませんか?確かに大人になってから伸ばすのは難しいかもしれません。しかし!子どもであれば望みがあります(Kautz et al., 2014; Knudsen et al., 2006)。
この記事では、
そもそも「頭の良さ」とは何なのか
どうやって伸ばしてあげられるのか
についてまとめてみました!
なるべく科学的根拠のあるものを厳選したので、ちょっと長くなりますがどうかお付き合いください。
認知能力とは
教育学研究では「頭の良さ」のことを、認知能力(Cognitive Abilities)と呼びます。知能(Intelligence)などの名前でも知られていて、日本でも有名になった知能指数(IQ)は認知能力を測定するための基準のひとつ。
認知能力は(簡単に言うと)考えたり、学んだり、覚えたり、という脳機能の基礎を担っています。年齢に関わらず、人間が生きていくのに必要不可欠な能力と言えます。
認知能力の重要性
認知能力の重要性は長年知られてきました。
有名なものに5,362人の追跡調査があります。その当時のデータによると、残酷なことに8歳時点の認知能力レベルによってその後の人生がある程度予測できたそうです(Richards & Sacker, 2003)。
このような調査結果もあって、乳幼児期における認知能力レベルは研究対象になってきました。しかも「何をするにも頭が良ければ有利」というのは老若男女変わりません。
過去60年以上にわたって集められた48,558人のデータによると、認知能力が高いほど仕事・学問・健康などあらゆる点において有利になることがわかっています(Brown et al, 2021)。
現代社会では求められる能力が変わってきているとも言われますが、認知能力にはまだまだ価値があると言えそうです。
認知能力の測定方法
認知能力を測るのは簡単!
IQ(知能指数)という基準を使うことで数値化できます。かつては大人向けしかありませんでしたが、今では子ども向けのテストもできました。
昔は精神年齢を基準にしていましたが、今では同年齢集団との比較が主流。中央値が100で標準偏差が15で計算されます。つまり全人口のうち68%はIQ85~115におさまり、95%はIQ70~130におさまるということ。
有名なテストには、
ウェクスラー式
ビネー式
があります。
(どんな検査にも言えることですが)基準と照らし合わした数値しか測定できないので、すべての認知能力を把握できるわけではありません。
IQと言うと一般的には「FSIQ(全体平均)」のことを指しますが、実際には検査ごとにいくつかの種類にわかれています。
認知機能の種類
認知能力はいくつかに分類できます。
基準によって多少違いがありますが、ここでは6~16 歳までの子ども向けに作られた児童向けウェクスラー式知能検査をもとに解説します(教育学研究でもよく使われています)
この知能検査では、
言語理解
空間認識
知覚推理
処理速度
ワーキングメモリ
に分類されます。それぞれ簡単にまとめました。
◎ 言語理解
言葉を理解する能力。言葉を理解したり使用したりすることができるかどうか。言葉同士の共通点探しなどによって測定されます。
◎ 空間認識
目の前にあるものを認識する能力。図形や絵の構成や細部に気づくことができるかどうか。図形パズルや、模様パズルなどによって測定されます。
◎ 知覚推理
目の前にあるものを推理する能力。いくつかの図形の共通点や相違点に気づくことができるかどうか。図形のパターン予測や、天秤を使った問題などによって測定されます。
◎ ワーキングメモリ
情報を一時的に記憶して処理する能力。「短期記憶」という名前でも知られていますが、注意力や集中力も含まれます。読み上げられた数字の暗記や、見せられた絵の暗記などよって測定されます。
◎ 処理速度
文字通り、情報を処理する速さのこと。手先の器用さも含まれます。記号の書写しや、記号探しなどによって測定されます。
注目すべきはワーキングメモリ !
5歳時点のワーキングメモリを測定すると、6年後に国語と算数がどのくらいできるようになるかわかるそうです(Alloway & Alloway, 2010)。しかもこれはIQの全体平均を測定するよりも正確でした。さらには、ワーキングメモリは知覚推理のような認知能力とも相関(.80-.90)していることもわかっています(Kyllonen & Christal, 1990)。
認知能力と性格の違い
IQ(知能指数)と似たものに、
EQ(自制心)
SQ(社会性)
AQ(回復力)
CQ(創造性)
などがありますが、まったくの別物。
IQは「認知能力」、それ以外はすべて「非認知能力(性格)」です。最近の脳科学研究(113万人の学力データ+25万人の知能データ)によると、認知能力と非認知能力では使われている脳の部位が違うこともわかっています(Demange et al., 2020)。
認知能力と知識の違い
認知能力と知識もよく混同されますが、教育学的には異なります。
認知能力は学ぶための機能のことを指していて、知識はその成果という位置付けになります。認知能力がなければ知識を得ることはできませんし、認知能力が高いだけでは知識があるとは言えません。
「認知能力」は、
遺伝する
生まれつき持っている
伸びにくい
「知識」は、
遺伝しない
学びによって獲得する
伸びやすい
という特徴があります。
認知能力と遺伝の関係
認知能力の遺伝率は年齢によって違います。若ければ若いほど、遺伝子の影響を受けづらくなります。
双子11,000組のデータによると、IQの遺伝率は9歳時点で41%、12歳時点で55%、17歳時点で66%まで上がることがわかりました(Haworth et al., 2010)。50代になると86%まで上がるというデータもあります(Panizzon et al., 2014)。年齢を重ねると、環境によって変えられる認知能力はおよそ1割程度まで下がってしまうそう(Bouchard, 2013)。
ちなみに身長の環境要因がおよそ2割と言われているので(Perkins et al., 2016)最終結果だけを参考にしてしまうと、身長よりも認知能力を伸ばすのが難しいことになります。これだけ聞くと絶望的な気がしてしまいますが、全然そんなことはありません!
というのも裏を返せば、乳幼児期~高校生のうちであれば認知能力の3~6割は環境次第と捉えることができるからです。
学生時代の学力によって進学や就職が有利になるのはご存知の通り。学力は認知能力と強く相関しているので(Roth et al., 2015)学生時代だけでも認知能力を伸ばしてキープすることができれば、その後の人生を有利に進めることができます。
認知能力は乳幼児期から伸ばしてあげることができますし、3歳未満から始めることで長期間キープできるとも言われています(Kautz et al., 2014; Knudsen et al., 2006)。
年齢を重ねるごとに遺伝子の影響を受けやすくなってしまうので、伸ばされた認知能力は消費期限付きの能力とも言えます。しかし人生における認知能力の重要性を考えると、乳幼児期を過ぎていたとしても伸ばしておいて損はありません。
認知能力を伸ばす方法5選
あとは実践方法を知るだけ !!
科学的根拠のあるものを厳選しました。
これは教育学研究をもとにした考察です。統計は統計、論文は論文。目の前の子どもが研究結果通りの反応を示してくれるとは限りません。当然ですが個人差がありますので、あくまで参考までに。
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