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バイリンガル教育の実践方法【まとめ】

我が子はバイリンガルに育てたい !

最近ではそう考える保護者も少なくないのではないでしょうか?バイリンガル教育は今も根強い人気があります。

しかし「バイリンガル教育」と聞くと、

  • そもそもバイリンガルとは何なのか

  • 英語教育との違いはあるのか

  • 日本語は大丈夫なのか

  • 安くできないのか

  • 具体的に何をしたらいいのか

といった疑問がいっぱい!

これらすべてをこの記事にまとめてみました(ほとんど私自身の備忘録のようなものですが)実践方法も信憑性のあるものだけを厳選したので、長くなりますがお付き合いください。


バイリンガルとは

バイリンガル(二言語話者)とは、2つの言語を同じくらい扱える人のことです(Cambridge Dictionary, 2024)。

これだけです。めっちゃシンプル!


バイリンガル教育と英語教育の違い

「バイリンガル教育」と「英語教育」ってなんか似てるし紛らわしくないですか?混同されてしまうこともありますが厳密には別物です。

一番大きな違いは、バイリンガル教育には第一言語(日本語)も保ちたいという考えが入っていること。その一方、英語教育には日本語を学ぶことが視野に入っていません。

例えば、日本人家族が子どもをアメリカンスクールに入れたとします。そしてその子に日本語と英語どちらも学んでほしいと思っているのなら、

  • 教育方針はバイリンガル教育

  • アメリカンスクールは英語教育

という位置付けになります。

バイリンガル教育は教育方針であるのに対して、英語教育はその手段であると言えそうです。


バイリンガル教育が注目される理由

バイリンガル教育が流行っている大きな理由は、日本の英語教育に疑問を持つ保護者が多くなってきたということ。

グローバル化という時代背景もありますが、義務教育で英語ができるようになるならバイリンガル教育なんてそもそも流行ってないはずですよね!

知ってる人も多いと思いますが、義務教育において英語が必修科目になるのは小学校3年生から(文部科学省, 2017)。これは2020年からの話で、それまでは小学校5年生からでした。

この日本教育の現状に対して、

  • まだまだ遅過ぎる

  • もっと早く始めないと手遅れ

なんて声もちらほら。

こういった現状もあってバイリンガル教育には根強い人気があります。


バイリンガル教育に対する批判?

需要が大きくなるにつれて批判も出てきました。

バイリンガル教育なんて親のエゴではないか?なんて言われたり。だけど、どちらにしても義務教育・高校受験・大学受験と英語を勉強することになりますよね?その苦労を知っているからこそ、我が子には近道してほしいという想いもよくわかるんです。ある意味「親心」なのかなと。

まずは日本語ができてから!なんて意見もありますが、科学的根拠はありません。言語習得は「なるべく早期」が鉄則です(Piske et al, 2001)。もちろん日本国内の小学校受験などを目標としているのであれば、日本語だけに集中したいというパターンも想定できますが、かなり限定的です。


日英バイリンガルは希少

バイリンガル教育と言っても簡単ではありません!完ぺきな日英バイリンガル(日本語と英語を同じくらい扱える人)って本当に稀なんです。

バイリンガルになること自体が難しいというのもありますが、日本語と英語がまったく性質の違う言語であるということも大きな理由です。

The Foreign Service Institute(2024年時点)で 70年間以上蓄積されたデータよると、英語話者がフランス語やスペイン語を扱えるようになるまで 575〜600時間ほどしかかからないのに対して、日本語はなんと 2200時間ほどかかるそうです!

英語話者にとって、日本語は調査対象となっている61カ国語のうち中国語やアラビア語をおさえて最難関。しかもこの調査では「仕事で使えるようになるレベル」を基準としているので、バイリンガルになるにはもっと膨大な時間が必要になります

これはつまり、英語と日本語が大きく離れた言語であることを示唆しています(+そもそも日本語が難しい)。

母国語と似ているかどうかは第二言語習得(英語習得)において大きな差です。この点、多くの日本人が英語に苦手意識を持ってしまうのは当たり前かもしれません。

バイリンガル教育についても同じです。日本語と英語の組み合わせは、他言語と比べて難しいと言えそうです。


バイリンガル教育の条件

なるべく早期!

臨界期仮説(Critical Period Hypothesis)なんて言葉があるように、バイリンガル教育はなるべく早く始めるのが基本です。

「臨界期仮説」とは、ある年齢を過ぎると母語話者並みの言語習得が困難になるという仮説のこと(Lenneberg, 1967)。

これが「仮説」と言われるには理由があって、上限とされる年齢はおよそ 5歳〜15歳と幅広くなっています(e.g., DeKeyser, 2000; Flege, 1995; Long, 1990)。調査基準もまちまちではありますが、年齢を重ねるにつれて難しくなるという点では共通しています。

しかも臨界期仮説は第二言語(英語)だけに焦点を当てているので、第一言語(日本語)が維持できるかどうか考慮されていません。バイリンガル教育ともなるとその難易度は高くなるので、乳幼児期(生後まもなく〜6歳前くらい)に始めるのが理想だと考えられます。

とにかく継続!

始めても継続できなければ意味がありません。

日英バイリンガルになるための最低条件は、日本語環境と英語環境の両方をバランスよく長期間維持することです(Thordardottir, 2011)。

これに加えて、小さい頃から少数派言語を使って他の子どもたちと遊ぶことも重要だと言われています(Pearson, 2008)。日本であれば英語、海外であれば日本語が少数派言語です。

これらを踏まえると、

  • 乳幼児期に始められる

  • 英語環境と日本語環境を継続できる

  • 少数派言語でも友だちと遊べる

がバイリンガル教育の「条件」と言えます。


バイリンガル教育の前提と目標

バイリンガル教育の最低条件に加えて、今どんな状況にある人たち向け(前提)で、バイリンガル教育にどこまで期待しているか(目標)が設定されていなければ始めることはできません。

この記事では、

  • 日本人家族・日本在住

  • 子どもが生後まもなく〜15歳前後

  • 日本生まれで母語は日本語

という「前提」で、

  • 日本語と英語の組み合わせ

  • どちらも母語話者並みの言語能力

  • どちらも母語話者並みのアクセント

という「目標」で進めます。

ちなみにこれ、かなりハードル高いです!あくまで基準と考えてください。


実践方法4選+おまけ

ここまで解説してきた「条件」「前提」「目標」をもとに、信憑性のある実践方法だけを厳選してまとめてみました。

実践方法ごとに、

  • 年齢層(対象となる年齢)

  • 手軽さ(簡単かどうか)

  • 資金面(安いかどうか)

  • 安全面(安心かどうか)

  • 成功率(効果的かどうか)

についてそれぞれ 5段階で評価しています。

◎ 海外移住

  • 年齢層:年齢制限なし

  • 手軽さ:★

  • 資金面:★★★

  • 安全性:★★★★

  • 成功率:★★★★

海外に住んじゃおう!というフットワーク軽めな家庭用。

家族そろって暮らせるので安心していられます。年齢制限がないのも魅力。子どもは保育園から一貫して現地の教育を受けられます。

この場合、日本語が弱くなる可能性が高いので日本人コミュニティなどを活用するといいかもしれません。

保護者に就労ビザもしくは移民認定が求められるので難易度はかなり高め。それなりの英語力や仕事の専門性が必要です。

初期投資は結構かかりますが、現地の仕事があれば長期的には困りません。

◎ 海外留学

  • 年齢層:およそ 7〜11歳から

  • 手軽さ:★★★

  • 資金面:★

  • 安全性:★★

  • 成功率:★★★

「可愛い子には旅をさせよ」とはこのこと。

一番の利点は子どもが海外文化を肌で感じられること。別居することでホームシックや治安の心配もありますが、その経験から生き抜く術を身につけられるかも。

ただし海外生活が長期になってくると逆に日本語を忘れてしまう可能性も。渡航先にも日本語をサポートしてくれる環境があるか確認したほうがよさそうです。

高額な学費と生活費(ホームステイや家賃など)が大きなデメリット。

年齢制限は国ごとにまちまちで、カナダが 7歳、イギリスが 8歳、アメリカが 10歳、オーストラリアが 10歳、ニュージーランドが 11歳からです。

いろいろなプランがありますが、どちらにしろ留学前後は他の選択肢と組み合わせて長期的な言語環境を準備してあげられるといいかもしれません。

◎ 親子留学

  • 年齢層:およそ 0歳から

  • 手軽さ:★★★

  • 資金面:★★

  • 安全性:★★★★

  • 成功率:★★★

海外の文化を見せてあげたい!なんなら自分も留学したい!という保護者向け。留学関係者の話では最近流行ってきているようです。

年齢制限は国によって違いますが、ニュージーランドは0歳から受けれてたりします。

現地のお友だちができれば、そのあとのモチベーションにも繋がるかも!
プランによっては付き添いの保護者も現地で資格が取れたりします。子どもと同居できるのも大きなメリット。

とはいえ、一般的なプランでは短期滞在になってしまうので、留学前後はその他の選択肢と組み合わせてみてください。

◎ インターナショナル(プリ)スクール

  • 年齢層:およそ 0〜3歳から

  • 手軽さ:★★★★

  • 資金面:★★★

  • 安全性:★★★★★

  • 成功率:★★★★

日本在住だったらこれが一番無難かも!

近所にあればいいんですが、地方にはまだ少ないのが現状です。スクールバスで送迎してくれるところもあるので確認してみるといいかもしれません。

安全性はもちろん、日本語を話せる友だちを作りやすいのも大きなメリット。小さいうちは週末は祖父母や親戚の家で過ごすなどバランスに気を付けるといいかも。

その他の選択肢と比べて際立ったデメリットはありませんが、基本的には認可外なのでなるべく慎重に選びましょう!プリスクールであれば、信頼できそうな保育士さんがいるかどうか確認できるといいと思います。

◎ おまけ:家庭独自ルール

  • 年齢層:年齢制限なし

  • 手軽さ:★

  • 資金面:★★★★★

  • 安全性:★★★★★

  • 成功率:★★

そして最後に、家庭を完全に英語環境にしてしまえ!というもの。

両親ともに英語が母語話者並みであれば実現可能。英語ができないという人は英語教材を駆使するという手もありますが難易度は上がります。

これに加えて、友だちと英語で会話できる環境もあるといいかも。英会話のグループレッスンや英語だけのプレイグループなどに参加することで補うことができるはずです。

いずれにしても他の選択肢も取り入れながら日本語環境と英語環境のバランスに気を付けなければいけません。


最後に

日英バイリンガルを目指すとなると、子どもにとっても保護者にとっても簡単ではありません。保護者がどれだけ完ぺきな環境を与えることができても、子ども自身の言語能力・頑張りによって大きく左右されます。そして言うまでもなく、子どもがストレスに感じていないということが大前提

状況に合わせて取り入れてくださいね!

ではまたっ

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