世界は変えられないから自分を変える
トランプさんが勝利した。世界は変化し、日本も大きな影響を受ける。
思うように世界を変えたいという気持ちは誰にでもあるだろう。しかし、その思いが強すぎるあまり、自分の周りの環境や他人を変えようとして苦しむ人が少なくない。実は、世界を変えることは極めて困難だが、自分を変えることはそれよりは可能性がある。
道家思想では、自然の流れに逆らわず、状況に応じて柔軟に対応することを説いている。これは武術においても同様で、相手の力を利用し、状況に応じて対応を変える柔軟性が重要視される。相手の力に逆らうのではなく、その力を受け流しながら制御することが基本となる。
人生においても、環境や他人を思い通りに変えようとするのではなく、自分自身の在り方を変えることで、結果として周囲との関係性も変化していく。例えば、站樁（タントウ：立禅）の修練によって心身が変化すると、周囲の人々との関わり方も自然と変わってくる。怒りっぽかった人が落ち着きを得たり、消極的だった人が自信を持てるようになったりすることもある。
我々は往々にして、問題の原因を外部に求めがちだ。しかし、真の変化は常に内側から始まる。自分を変えることができれば、それは必然的に周囲の環境にも影響を与えることになる。これは、一人一人が自分の内なる変化に焦点を当てることで、結果として社会全体もよりよい方向に変わっていく可能性があることを示唆している。
制心瞑想を通じて我々が目指すのは、まさにこの「自己変革」といえる。日々の修練を通じて、心身の変化を実感し、それを持続させることで、周囲との調和のとれた関係を築いていくことができるはずだ。世界を変えようとするのではなく、まずは自分自身を変えていく。それこそが、真の変革への近道なのだろう。
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