【映画】時代設定と人間ドラマに思わず涙!~「ゴジラー1.0」
今回は映画ネタです。今話題の「ゴジラー1.0」を鑑賞してきました。実はこの歳にして初のゴジラになります(あ、90年代のハリウッド版は観ました)。・・・というのも、古くからのファンの方には怒られそうですが、子ども時代からハリウッド映画好きだったこともあり、どうしても当時の邦画(←この表現が昭和感でまくりですね・・・笑)はセット感や作り物感が否めなくて、積極的に見ようという気が起きなかったんですよね。当時は今ほど映画館もなかったですし(そもそも近くになかった)、映画館で観るとなると厳選に厳選する時代だったんです(同じような境遇の方、私世代前後に多いのでは??)。
さて、そんな言い訳はさておき、今や各地にシネコンが林立し、映画が観やすくなった時代。しかも今は日本映画のクオリティもめちゃくちゃ上がっています。前作「シン・ゴジラ」も超話題となった次作の本作。なかなかの前評判につられての感傷となりました。以下は記事の展開上、どうしてもネタバレに近い内容を含んでしまっております。未見の方につきましては、鑑賞後にお読み頂くよう、お願いいたします。
時代は戦争末期からはじまる
すでにあらすじ等でも紹介されているので、ここはバラしても良いと思いますが、今回は戦争末期の敗戦濃厚な特攻隊員が主人公。機体の不調を理由に不時着した主人公が降り立った孤島で謎の巨大生物(ゴジラ)による攻撃を受ける。反撃の機会がありつつも、なぜか反応できない主人公はその島の整備兵たちを多数、死に追いやることとなる。こうして特攻できなかったことと、ゴジラに反撃しなかったことを悔いながら本土に戻ることに。
もうここまでで、エモーショナルなシーンが満載。そしてゴジラによるアクションシーンも見所満載。本場ハリウッドも顔負けじゃないの?というレベルの映像に仕上がっています(さすが山崎監督!)。主演の神木隆之介くんといえば個人的には前作「大名倒産」でのコミカルな演技が印象的だったのですが、今回は一転して特攻隊の生き残り兵を熱演。やや一本調子感はありますが、それが一層、実直さの伝わる好演でした(それだけでなく、子役からこうして大作の主演も任されるという実力に脱帽です!)
終戦直後の日本・・・戦後焼け野原からの復興
ゴジラ映画というと、イメージしていたのはアクションシーンでひたすらゴジラが街を襲う豪快な映像だったのですが、本作はそうしたシーンを盛り上げるべく、人間ドラマにも焦点を当てていました。主人公の隣の家の女主人(安藤サクラさん)は、当初は特攻帰りの神木くんに悪態付くのですが、その後はなんやかんやで面倒見の良い叔母ちゃんとなり、優しい一面を見せてくれます。また、ひょんなことから疑似夫婦となっていく浜辺美波さんも良かった。NHKの朝の連ドラでも夫婦役だったそうで、そういう意味でも息が合っていたのかもしれません。
さらには娘役の子役さんが超演技派!!今まで観た日本映画(ドラマも含めて)で一番といっても過言じゃないくらい私としては名演だと思いました!ハリウッド映画の子役ってめちゃくちゃ演技が上手じゃないですか、一方、日本の子役ってどうしても「お遊戯会」「学芸会」的演技の域を抜けきれない印象があったのですが、彼女の演技はものすごくナチュラル。彼女の演技力だけでなく、そうした素養を引き出した監督や周りの出演者、スタッフさんたちに感服しました!
敗戦直後に思いを馳せる・・・
今の時代、戦争直後の映像というのは、こうした映画か記録映画や写真等でしか知り得ないじゃないですか。きっとこのように壊滅状態の中から、誰もが必死になって自身の生活のみならず、この国の復興に向けて取り組んでいたのだと思うと胸が熱くなります。誰が悪い、誰のせいだ、と言いたいところでしょうが、それをぐっとこらえて、悔しいながらも明日の日本がより良くなるようにと人々が必死になっていくような情景を感じながら鑑賞していました。
機雷撤去チームの一員に!
そして話は展開し、神木くん(役名は敷島です)が機雷を撤去する船の乗組員としての職を見つけることになります。ここのメンバーがなかなかのキャラクター揃い。まずは船長が佐々木蔵之介さん、知恵袋の博士役に吉岡秀隆さん、さらに小僧と呼ばれる若い乗組員を山田裕貴さんがそれぞれ好演。このあたりはキャラクターの描き方がわかりやすく、そしてストーリー上、少し笑いも入るようなコメディタッチで描かれ、テンポの良さを感じました。人間ドラマがメインの文芸大作じゃないので、このくらいの描き方でちょうどよかったのでは、と思いました。
そしてゴジラ襲来!海上から東京銀座へ!
いよいよここで第二回目のゴジラ襲来シーン。もちろん突っ込みどころがないわけではないのですが、いやー、そこはゴジラ映画ですから(笑)。そもそも、それほど気にならなかったですけどね。海上でのバトルシーン、それからいよいよ本土に上陸して東京銀座を荒らしまくる。このあたりのスペクタクルは必見です。さらには銀座編でも突っ込みどころはあるんですが、そこもご愛敬。そうそう、これが観たかったんだ!、というシーンでもあるのと思うので、細かい点には目を瞑りましょう。このあたりで往年のゴジラのテーマソングも掛かり、これぞ「ゴジラ」だ!というシーンが展開されます。背中が青白く光り、パワーをため、口から光線を吐き出すシーンはめちゃくちゃ迫力がありました!
いよいよ対策本部が作られ、ゴジラ掃討作戦が!
ショッキングなシーンもあり、エモーショナルなシーンもあり、心が揺さぶられながら、一気に後半は「対ゴジラ」決死隊による作戦へと話が進んでいきます。ここでも山崎監督の名脚本により、戦争から帰還した退役軍人たちが有志となってチームを作る、この流れも私はとても共感しました。今度も戦いは「国にとって役に立つ任務だ」というような内容を登場人物が言うシーンがあったように思ったのですが、このあたり、戦争で亡くなった戦友たちの思いを抱えながら、今度の戦いこそ国のために勝利するんだ、国民を救うんだ、という思いが描かれていたように思います。
バトルシーンは息をのむ展開に!
この後は緩急テンポ良く、ゴジラとの最終バトルに向けて進んでいきます。ぜひ本編をご覧いただきたいのですが、全体として展開がスピーディーなので、ダレることなく観ることができました。そして最後はきっとホロっとすると思います!エンディングまでしっかり観てくださいね、往年のゴジラのテーマソングも聴けますし、しっかりお約束の展開も含まれています。
単なるアクション映画ではなく、細部の人間ドラマが感情を揺さぶる
いやー、まさかゴジラ映画で泣くとは・・・というのが鑑賞後の感想です。敗戦直後からの復興という時代もまた、どこか「今」を感じさせるような気がしてなりません。あまり政治的な話題、社会的な話題は自身の信条等に触れる部分でもあるので、好き嫌いが分かれそうで恐縮なのですが、少しだけ書かせてもらいますと、これだけ世界が豊かで便利になっているのに、世界を見渡せばウクライナ戦争、ハマスによるテロ、それ以外にも世界各地で紛争が続いています。悲しいことに私たちは先の大戦から全く進歩しないようです。
さらに日本国内をみても、問題山積。30年上がらない賃金、増える税金、政治の腐敗(というか、遅々として良い方向へと改善していかないという意味で)。今回の「ゴジラー1.0」で描かれた終戦直後、我々の諸先輩方が必死に復興に取り組み、日本を世界有数の先進国へと導いてくれたのに、今の状況を見てみると、どうでしょう?胸を張って諸先輩方に自慢できる状態になっているといえるのでしょうか?(もちろん私自身の生き方も含め反省が必要です・・・)。娯楽、そしてエンターテイメント大作である「ゴジラ映画」を観ながら、そんな深い内容も考えさせられるとは・・・!
でも、本当に良質の映画というのは、こうした細部への作り込みがされているからこそ、深い感動を呼ぶんですよね。映画版の「クレヨンしんちゃん」や「ドラえもん」などもそうですね。ハラハラドキドキしながらも、きっちり2時間楽しめる、しかも時代背景を読み解いていくと、より深い感動も味わえる「ゴジラー1.0」。ぜひぜひオススメです!
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