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【本】「傾聴」について改めて考えてみる~アドラーに学ぶ「職場コミュニケーション」の心理学/小倉広③

いきなりタイトルの話題から入りますが、「傾聴」って大事だと分かっていても、なかなか実践できなくないですか?(え?もしかして私だけ?笑)こうして改めて読み直す中で、再度自分の中に取り込み直す、という作業も大事だな、と痛感しています。今回は私の大好きなデル・カーネギーの「人を動かす」の中に登場するエピソードなども紹介されており、小倉広さんの分かりやすい解説を中心に、私自身が感じたことなども含めてまとめてみました。


話す3割、聞く7割。聞いてから話す

私たちはコミュニケーションを「話すこと」だと勘違いしがちだ。神様は人間に一つの口と二つの耳を与えた。これは極めて示唆に富んだメッセージだと思う。話す2倍聞く、のがちょうどいいのだ。発言は結論から簡潔に。質問はダラダラと長文にならないよう一言で。

「アドラーに学ぶ「職場コミュニケーション」の心理学」/小倉広より抜粋

「神様は人間に一つの口と二つの耳を与えた」この話は本当にその通りだと思います。それなのに、ついつい人は自分の話を聞いて欲しいがゆえに、とにかくのべつ幕なし話しまくる、しかも自分のしたい話を、相手のことを考えずに。自戒の念を込めて、「傾聴」を今一度心掛けたいものです。

意見や質問を控えて「聞くこと」に徹する

アドラー心理学では「支援応需」という考え方を大切にしている。相手から求められなければ余計な口出しはしない。助言は相手から求められて初めて伝えるべきであり、求められてもいないのに伝えるのは良いコミュニケーションを阻害してしまう。さらに、助言を求められたからと言って、何でもかんでも好きに言えばいい、というものでもない。相手の話を聞く時は、相手のペースと順番を尊重し、それに合わせて質問を控える。それが大切だと思う。

同上

「水を飲みたくない馬に無理矢理水を飲ませようとしてもうまくいかない」というような話があったように思うのですが、これもその通りですよね。頼まれてもいないのに、やたら助言をしたがる・・・これって嫌がられる典型ですよね。学習塾時代もこういう講師がいましたね・・・やたら教えたがりなタイプ。質問があれば自分から聞きに行くんだから、放っておけば良いのに、自分からズカズカと入り込んで、得意げになって教えるタイプ。本人は「いいこと」をしているつもりだから質が悪い。ま、実は本当に質問したい子でも、なかなか自分からアクションに動かしづらいタイプも多いので、察して声を掛けるのが一番いいんですけどね。ま、それはともかく、この「支援応需」の考えは本当に大切だと思います。


あえて漠然とした質問をする

傾聴とは「必要な情報を効率よく取得する」という機能以上に、相互信頼、相互尊敬の関係を築く上でもきわめて有効な働きをする。優れた営業員たちは自分の関心に関心を持つのではなく、相手の関心に関心を持つことを実践している。デル・カーネギーの「人を動かす」の中にも以下のような記述がある。
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「そのころ、私はボートに夢中になっていたので、その人の話がすっかり気に入ってしまった。その人が帰ると、夢中になってその人のことを褒めた。『なんてすばらしい人だろう!ボートがあんなに好きな人は素晴らしいよ!』と。すると、叔母はあの人はニューヨークの弁護士でボートのことは何も知らないし、ボートの話などちっとも面白くなかったのだと言った。『じゃあ、なぜ、ボートの話ばかりしたの?』『それはあの方が紳士だから。あなたがボートに夢中になっているのを見抜いて、あなたの喜びそうな話をしたのよ。気持ちよくあなたのお付き合いをしてくださったのよ』と叔母は教えてくれた。」
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自分の関心に関心を持つのではなく、相手の関心に関心を持つ。そして自分の聴きたいことを質問するのではなく、相手が話したそうにしていることを質問する。これが相互尊敬、相互信頼を築くための有効な質問法なのである。

同上

カーネギーの「人を動かす」の中でも五指に入る好きなエピソードです!最初に読んだときにはイマイチ腑に落ちなかったのですが、少しずつ年齢を重ねるごとに、この高度なテクニックがどれだけ大事であるかを痛感していったものです。「自分の関心に関心を持つ」のではなく、「相手の関心に関心を持つ」。つまりは「相手がしたいこと(してほしいこと)を先回りして察して動く」そして相手に喜んでもらった後に、自分のしたいこと(信頼を勝ち取るなど)を成就する・・・。こんな風に書くとなんだか元も子もない感じがしますが、人間関係の基本ですよね。ま、あんまりにもあざとい、わざとらしいのは、それはそれでどうなのかな・・・という気がしますけどね。


相手の気持ちなど「わかるはずがないとわかる」こと

アドラーは「共感とは、相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じることである。」と。しかし、つい私たちは逆のことをやってしまうのだ。「自分の目で見、自分の耳で聞き、自分の心で感じる。」というように。相手の言葉を置き換えずに、「ありのまま」、「そのまま」受け取り、味わうこと。それこそが共感なのだ。

傾聴とは単に聞くことではない。分かりやすく言うと以下のようになる。
・「相手の言葉をまる受け、まる呑みする」
・「フィルターでふるいにかけたり、評価したりしない」
・「自分にとってはつまらない話、興味がない話でも興味を持とうとする」
・「できるだけ、相手の立場に立とうとし、相手になりきって聞いてみる」

同上

割とカウンセラーという職業の方々は、こういう姿勢を大切にされているように思います。とにかく相手の話をひたすら「聴く」。これって結構しんどいんですよね、つい、自分の意見を挟みたくなるんですけど、そこをグッと堪えて、相手の言葉を聞き続ける。

ま、これを仕事としている方、もしくは自分にとって大切な人(家族、連れ合い、友人、親しい人間など)であれば、まだしも、ちょっと距離がある人、職場の人間とかであれば、結構大変ですよね・・・。こちらに元気があったり、体力的・精神的に余裕があれば頑張れますが、キャパシティが一杯一杯だったりすると、そこまで「傾聴」できないですよね、やっぱり日々の健康(これは心身共に)が一番ですね。相手の話を聞く、ということは相手から発する言葉がポジティブなものであればいいですが、ネガティブなものであれば、「毒」となって、こちらに浴びせられるわけですから。

かくいう私も前職時代は、こういう風になっていたところは否めないので、今更反省しても遅い感はありますが、なるべく「傾聴」ならびに「自身の発する言葉」については気を配りたいと思っています。


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