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【映画】タイミングが丁度過ぎる!~「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」
1月20日に米国大統領にドナルド・トランプ氏が返り咲いたタイミングで日本で上映開始という、なんともタイミングの良さ(もちろん、それに合わせたんでしょうけどね)!・・・ということで今回はそんな話題作「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」をレビューしていきたいと思います。
【以下はネタバレを含みます。また、個人的にはトランプさんや安倍さんの主張に賛同している方なので、もしかしたらお気に召さない方もいらっしゃるかもしれませんが、予めご了承ください。】
まずは恒例のあらすじから
1980年代。気弱で繊細な若き実業家ドナルド・トランプは、不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ破産寸前まで追い込まれていた。そんな中、トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き弁護士ロイ・コーンと出会う。勝つためには手段を選ばない冷酷な男として知られるコーンは意外にもトランプを気に入り、「勝つための3つのルール」を伝授。コーンによって服装から生き方まで洗練された人物に仕立てあげられたトランプは数々の大事業を成功させるが、やがてコーンの想像をはるかに超える怪物へと変貌していく。
ということで序盤はまだまだちょっと野暮な田舎の不動産屋の跡取り、というイメージの若きトランプさんからスタート。現在だったり、不動産王としてのイメージを確立する前の姿はなかなか新鮮でした。お父さんの地所のマンションで家賃の集金をやらされている様子や、まだまだ安アパート(多分)で暮らす様子など、まあ、本当かどうかはありますけど、「こんな庶民的だった時代もあるのか!」という感じで、これはこれで共感しちゃいましたね(笑)。
そしていよいよ野心家の本領発揮へ!
Rule 1. Attack. Attack. Attack.
攻撃、攻撃、攻撃あるのみ
Rule 2. Admit nothing deny everything.
何一つ認めるな、全否定で押し切れ
Rule 3. Claim victory and never admit defeat.
勝利宣言せよ、決して負けを認めるな
なかなか強烈な個性の持ち主であるお父さんの下で働きつつも、「いつかオヤジを超えてやる(≒認めさせてやる)」という野心を持った若きトランプはNYの高級クラブに足を運び、コネクションを作るために奔走する。そして悪名高き弁護士ロイ・コーンと知り合いに。どこか田舎くさいトランプを気に入ったコーンはトランプを可愛がり、自分の哲学を教えていき・・・。というのがストーリーです(というか、「あらすじ」にも書かれてますね、汗)。そしてその「哲学」の骨子が上記の「3つのルール」です。たしかにこれってトランプさんの生き様を表しているように思いませんか?彼の人生訓はここから誕生したのか・・・と妙に納得してしまいました。いやー、そりゃ不動産業で成り上がっていったわけですからね、綺麗事では済まない世界でしょうからね(「地面師たち」然り)。
なぜロイやトランプを気に入ったのか?
これはロイのプライベートな性向からなのか、それともこの映画でも描かれていたように、まだまだウブな田舎出の若者に新鮮さを感じたのか?それはよく分かりませんが、もしかしたらそのどちらもなのかもしれませんし、両方とも違っているかもしれません。ただ、私は勝手にすでにダークサイドに堕ちていたロイにとって、まだ酸いも甘いも分かっていないようなトランプに、純粋だった頃の自分を重ねたのかな、と思って見ていました。ですから、もしかしたらトランプはどこかでロイのことを「第二のオヤジ」として見ていたのかもしれないな、と。とはいえ、このロイ・コーンというのは本当に恐ろしい人間で、全く同情できないんですけどね、やっていることは。
イヴァナさん登場!トランプさんの美女好き面目躍起
そして出会うのがチェコスロバキアから来たモデルのイヴァナ。トランプさんの美女好きは有名ですが、惚れた時の口説き方が半端じゃない!手に入れるためには猪突猛進というのが、なかなか可愛らしく描かれていました。スキー場での写真撮影のお仕事に、押しかけちゃうところなんて、いいじゃないですか、人間味があって。そしてトランプさんに見初められるだけあって、このイヴァナさんもなかなかの上昇志向。余談ですが、後に別れてしまうのですが、その莫大な慰謝料が話題になりましたね。さらには映画「ファースト・ワイフ・クラブ」にワンシーンだけ出演していたことを思い出しました。
「アプレンティス(見習い)」が師匠を超える
映画はトランプさんの父もだいぶ力が弱まり、さらにはロイ・コーンの死というところで一区切りを迎えます。つまりは見習い期を終え、これからは思い通りに自分の野心を成し遂げていくという、第二のスタートです。もちろん、元からトランプさんにはこうした野心を胸に秘めていたんだと思うんですが、その世界を開いたのがお父さんであり、ロイ・コーンなのでしょう。ただ、一方で身体はムリをしているし、肉体的にも外見的にも頑張らなければいけないという描写もあり、本当に彼は幸せなのかな、と考えずにはいられませんでしたね。もっとゆっくりのんびりする生活もあったのではないかな・・・と。でもそんな世界はトランプさんにはきっと退屈なのでしょうけどね。
なぜトランプさんは安倍さんと気が合ったのか?
以下は勝手な妄想です。まさに「それってあなたの感想ですよね?」という話なので、そのあたりはご勘弁下さい(笑)。この映画を観ていて、ふと思ったのが「なぜトランプさんは安倍さんと気が合ったのか?」ということです。ちょっと思ったのが、この映画の冒頭、高級クラブに新入りとして顔を出し始めたとき、まだまだ緊張気味で社交的でなく、周りから相手にされてない中、なぜかロイ・コーンに気に入られる・・・というシーンがありましたが、政治の世界でも、ほとんどの内外の政治家から相手にされなかった中で、安倍さんが真っ先にトランプタワーで面会し、そこから少しずつ親交を深めていくわけですが、どことなく、オーバーラップするような気がしました。
さらに生き馬の目を抜くNYの不動産業で、その世界の表も裏も知り尽くしたビジネスマンと生粋の二代目政治家安倍さんとでは生き様が正反対。さらには希代の人たらし(もちろん良い意味ですよ!)であった安倍さんの裏表のない性格をトランプさんが気に入り(多分、気を許す人間の少ない業界だったはずなので・・・)、日米の蜜月期が作られたのかな、とか思いました。他国の首脳陣が小馬鹿にする中で、安倍さんだけはトランプさんを気遣い、時にレクチャーし(昼夜関係なくトランプさんが電話をしてきた、という逸話も有名ですよね)、ある国際会議が紛糾した際に「オレはシンゾーの言うことなら聞く!」とまで言っていたとか(確か)。
もちろんこの映画で描かれていることが100%本物だとは言いませんが、ある程度は真実も含まれていることでしょう。そうすると、やはりトランプさんにとって慣れない政治の世界において、いや、それだけなく、本当の意味での「友人」となれたのが安倍さんだったのかな、なんてこの映画を見ながら、勝手に考えていました。この映画のサブタイトル「ドナルド・トランプの創り方」とありますが、政治の世界においての師匠の一人はもしかしたら安倍さんだったかもしれませんね。今の日本の政治状況(惨状?)を目にするたびに、「今、安倍さんがいてくれていたら・・・」と思わずにはいられません。もしかしたらトランプさんも思っているかもしれませんね。