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【本】EQについて改めて考えてみた①

「ウェルビーイング」について考えを深めた前回シリーズに引き続き、今回は「EQ(心の知能指数)」について考えていきたいと思います。「EQ」という言葉が登場し、注目を浴びるようになったのはだいぶ前のことだと思います。すでに市民権を得て定着した感のある「EQ」に関する書物を読み直してみることで、自分自身も改めて「学び」がとても多かったので、今回は「EQ」ついてシェアしていきたいと思います。(参考文献:高山直著「EQ~こころの鍛え方」)


まずは「EQ」とは何か?

心の知能指数(emotional intelligence quotient)は、心の知能 (emotional intelligence) を測定する指標である。心の知能(EI)とは、自己や他者の感情を知覚し、また自分の感情をコントロールする知能を指す。比較的新しい概念のため、定義はいまだはっきりとしていない。「認識」を扱う領域(IQ)は「知能」と「知識」がはっきり区別されている。一方「感情」を扱う領域、EQに関しては知能と知識の区分が曖昧である。研究者によっては EI をIQと同様の認識能力と考えていたり、判明した能力と個性の組み合わせと考えていたり、計測可能な技能と考えている。このように様々な異なる見方があるため、結果的に EI に関するいくつもの研究領域が生まれてきた。

ウィキペディアより抜粋

冒頭からちょっと小難しい内容ですみません。まだまだ新しい研究分野であり、研究者によっても主張が分かれている状況のようです。なにしろ「心」に関する研究ですので。とはいえ、ここでは肩肘張らずに、「頭脳の明晰さ(IQの高さ)」も大事だけど、それと同じくらい「心のあり方・持ちよう(EQの高さ)」も大事だよね、というようなスタンスでお話を進めていきたいと思います。ちょうど昨今の「ウェルビーイング」にもつながると思いませんか?では早速、高山先生の著作を参考にしながら、読み進めていきましょう!


EQを利用して「ポジティブ感情」を生み出す

EQは、感情をうまく管理し利用することで「前向き」な感情を生み出すことを主眼としています。「明るい」「喜び」「楽しい」「意欲的な」「安らぎ」「やる気」といった前向きかつ積極的な感情です。前向きな感情は前向きな思考につながり、前向きな行動を生みます。前向きな感情を維持できれば、意欲的に新しいアイデアや改善案にチャレンジしたり、他部署に協力を働きかけることで課題解決に向かうことができます。

高山直著「EQ~こころの鍛え方」より

そんなうまくいくもんかい!とツッコミが入りそうですが、チームが好循環の時って、こんな感情がチーム全体にあふれていたりしませんか?これはスポーツ観戦をしていても、流れを掴んだチーム(個人戦であれば個人)が一気に劣勢をひっくり返し、見事逆転勝利!なんてストーリーはよく見られますよね。個人的には団体競技の方が、こうした傾向が強いように思います。そしてこれはスポーツだけでなく、職場や学校、いろいろな組織で起こるわけで、その秘訣の一つが「ポジティブ感情」だということです。

リーダーの前向き感情が勝利をたぐり寄せる

ビジネスで成功している経営者には共通する感情があります。「俺がやる」「必ずやってみせる」「俺なら大丈夫だ」という前向きで積極的な気持ちです。このような人は例外なく前向きな感情を維持し、それを前向きな行動に結びつけることで成果をあげているのです。「人間的魅力」―これを支えている能力がEQなのです。チームリーダーには、ときには攻撃的に、ときには優しく、そしてときには論理的にメンバーに接し、チームのモチベーションを高め、成果を出すことが課せられています。このように、状況や相手によって適切かつ最善の対応を行うことも、EQを発揮することでできるようになるのです。

同上

カリスマ的なリーダーだとイメージしやすいですよね、古今東西のリーダ像、ビジネスシーンで語られている偉人たちであるとか、スポーツの監督やリーダーたち。偉業を成し遂げたリーダーたちには、必ずと言っていいほどそうした武勇伝が語られます。が、何もカリスマがなければできないわけではないんですよね。もちろんそうしたエッセンスが全くないとなると、なかなか厳しいですが、圧倒的カリスマ!というリーダーでなくても、常に前向きで明るい、そして周りを鼓舞するサポート力があれば、常に自分が先頭でチームを引っ張っていく役をやらずともチームが回っていったりしますよね。

ビジネスで成功するためにはIQだけでは足りない

「ビジネスで成功した人は、対人関係能力にきわめて優れている」、ビジネスの成功者は「自分自身の感情の状態を把握し、それをうまくコントロールするだけでなく、他者の感情の状態を知覚する能力に長けている」、このため、その人の周りには多くの「協力者」が集まり、結果的にハイ・パフォーマーとしての成果をあげていたのです。「人生で成功できるかどうかを決めるのはIQではなくEQだ」

同上

もはや、ビジネスだけでなく、現代社会を生きていくためにはIQだけでは足りない、と言っても過言ではないと思います。生意気言うと、これはぜひともビジネスの世界や政治の世界、その他ありとあらゆるトップ層の方には何としてもご理解いただきたい(笑)。ま、私のように頭脳がなくて、感情だけ強すぎるのも問題なのですが・・・。

実は誰にでも備わっているEQ力!

我々は無意識に相手の気持ちを推し量り、その状況で最適だと考えられる行動をとるために、自分の感情をコントロールしているのです。誰でもが日常的にそれと気づかずに行っている、こうした感情の動きや行動がすべてEQなのです。個人によって程度の差こそあるものの、EQは誰にでも備わっている能力なのです。日本語には「気配り」とか「心遣い」、あるいは「気を回す」という表現があります。いうならば、こういった言葉が意味する行動もすべてEQを構成する一部なのです。

同上

一時期「KY」という言葉がはやりましたね、「空気を読む」ということなのですが、これってネガティブにもポジティブにも使われますね。もちろん何事も「過ぎる」と良くないわけで、空気を読みすぎる、その逆に空気を読まなすぎる、これもまたダメ。とはいえ、我々日本人はちょっと周りに気を遣いすぎる傾向にあると言われています。これは無意識に周囲へ「気配り」をしているからかもしれませんね。

「心」のつく言葉を使って、感情に注目するクセをつけよう!

「日本という国は昔からEQの国ですね」・・・日本は昔から礼儀礼節を大切にし、目上を敬い、思いやりや気配り、心配りといった人間同士のこころのつながりを大事にしてきた国ではないか。心とEQの関係性を強く感じます。感情に注目するということは、こころに注目するということです。

「心」のつく言葉を意識的に使用することで、感情に注目することができます。私は意識して「心」のつく言葉をできるだけ使うようにしています。日常的に「君は心の優しい人だね」とか「心に残る言葉だなあ」といったように「心」のつく言葉を使っていると、自然と自分や周囲の人の感情に注目する習慣がつくからです。お世話になった人に礼状をしたためるときなども「心より御礼申し上げます」「心から感謝致しております」と書くことで、わたし自身「会えて本当によかった」という気持ちになり、続く文章に相手に対する感謝の気持ちを素直に表現することができます。「心」という言葉が、わたしの感情によい影響を与えてくれるのです。

同上

少し長いのですが、内容が素晴らしいので引用させていただきました。たしかに「心」という言葉を意識するという感覚、今まであまり考えたことがなかったのですが、この本を読んでみて、「たしかにそうだよな」という気づきにつながりました。アフターコロナの今、世界に目を向けると、各地で混沌とした状況が相次いで発生しています。そして日本国内もまた、相変わらずと言うべきなのか、停滞と漂流を繰り返しているようにも見えています。

そうした中で、一般の私たち一人一人ができることなど、そうした大きな社会からすれば、本当にたいしたことはできないわけですが、とはいえ、「心の持ちよう・心のあり方」を整え、生き方だけでもEQを高めて、個人の幸福度を高めていければ、ボトムアップで「ポジティブな変革」になっていくのかな、などと勝手に妄想しております。まずは「心」という言葉を使ってみる、ここから一緒に初めて見ませんか?一緒に挑戦する方を「心より」お待ちしております(笑)。

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