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おかえりの対義語

僕の実家はマンションでした。

比較的小さめのマンションで、小さい子供は僕くらい。

ご年配の方も多く、マンションで誰かとすれ違うと、

「ああ、田中家の子ね」と認識してくれて、

「こんにちは」と優しく挨拶してくれる人もたくさんいました。


そんな優しい環境で育った僕ですが、ある問題を抱えていました。

「おかえり!」

マンションのおばさまにそう言われたとき、

なんて返せばいいかわからなかったのです。


「おかえり」と言われたら「ただいま」と返すのが一般的でしょう。

しかし、マンションの廊下で、顔だけ知ってる人に対して、

「ただいま」もなんだか変じゃないですか?

当時小学生の僕は、

「あ、、、、う、、、、、コ、コンニチハ(小声)」

と何とも煮え切らない感じで返していました。

今になって思えば、それはそれでかわいらしい気もしますが。


英語では「ただいま」「おかえり」という習慣はないそうです。

"うち"と"そと"がはっきり分かれている、日本だからこそ生まれた言葉なのかもしれませんね。

家に帰ってから、いつもの「こんにちは」のような挨拶よりも、「ただいま」と「おかえり」の方が、なんだかぎゅっと詰まったぬくもりを感じる気がします。

日本の素敵な文化の一つなのかもしれません。


いつか、マンションに住んで、どこかの子供とすれ違うことになったら、「おかえり」と言ってあげようと思います。

優しさから言うわけではありません。

返事に困ってる姿を見て、にこにこしたいからです。


、、、、今のご時世、なんだか通報されそうですね。

やっぱりやめときます。

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