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社会人やってるね
「社会人やってるな」と父に言われた。
就職2年目にして、会社つまらんと愚痴をこぼしているときに言われた。
僕の愚痴を一通り聞いた後、そう言った父はどこか嬉しそうだった。
以前もこの言葉を聞いたことがある。
10年ぶりくらいに高校の部活仲間と集まったときだ。
部活仲間には人の話を聞かないし、嘘をつきまくるどうしようもないような奴がいた。
どこの部活にもいるようなやつだ。
そういうやつは何だかんだ好かれているし、そいつもそうだった。
そいつが会社で後輩の指導をしていて、後輩がどうしようもないやつなんだよと愚痴をこぼしているときに誰かが言った。
「お前も社会人やってんな」と。
「社会人やってる」は肯定的な意味ではなさそうだ。
「高校生やってる」とか「大学生やってる」の方がはるかに肯定的に聞こえないだろうか。
あまり社会人をやりたい気分にはならない。
しかし、「お前社会人やってんな」と言うのはなんだか楽しそうだ。
部活動で初めてレギュラー組の練習に加わった後輩に、「お前もついにこっち側に来たか」とドヤ顔で言う感覚に近い。
昔自分が乗り越えてきた苦しいことを、今目の前にしている後輩が必死でやっていると、思わず「社会人やってんな」と言ってしまうのだろう。
そこから仲間意識も芽生え、妙な気持ちよさが生まれる。
まだ社会人に染まりきっていない若輩者だが、
いつか自分も「社会人やってんな」と言うのだろうか。
その発言をした瞬間、社会人の一員として人類のマジョリティに組み込まれてしまうような気がして、できれば言いたくないなあと思うのだ。
どちらかというと「社会人やってない」方になりたい。