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歌が下手な人なんていない

僕はカラオケが微妙にうまい。

10人いたら、1人に褒められるくらいのうまさだ。

食べ物でいうと、サイゼリアのドリアくらいのうまさだ。

おいしいけど、わざわざ言葉にするほどでもないよねくらいの感じ。


たまに、カラオケにだけは絶対に行かないという人がいる。

人前で歌うなんて恥ずかしいという人も多いとは思う。

しかし、カラオケが嫌いな理由で最も多いのは、かつて自分が歌ったときに「なにか」言われたことではないだろうか。


一番最初に人生でカラオケに行くのは家族と行く人が多いのだろう。

僕には何をやっても褒めてくれる母親が隣にいたので、

「歌うまいじゃん。歌手になったら?」と言われた。

初めて、カラオケに行ったときの歌が、上手なわけがない。

しかし、小学生の単純な自分は、「俺って歌上手いんだ!」と信じ込んだ。

家でもずっと歌って、友達とのカラオケでもたくさん歌った。

気づけば、人よりちょっとだけ歌が上手になった。


人に褒められると嬉しくなって、もっと上手くなろうと思う。

逆にちょっとでも馬鹿にされると、二度と歌なんか歌わないと固く決心する。

その結果、歌が上手になることはない。

生まれ持って歌が上手な人はいない。

歌が上手な人は、スタートの切り方がいいのだ。

歌に限らず、なんだってそうで、プロ野球選手になろうと思ったのも、誰かに「ボール投げるの上手いね」とか褒められたことがきっかけだったりする。

そこから、上手いと思い込み、もっと練習し、もっと褒められるいいサイクルに入るのだ。


今この瞬間も誰かのちょっとした一言が誰かの将来を閉ざしている。

そんなことをするよりも、いい面を褒めてあげよう。

みんなが歌うことが好きなディズニーみたいな世の中になっても不思議じゃないはず。

歌が下手な人なんていないのだから。


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