ありのままのあなたで
頭にタオルを巻く人間は2種類。
ラーメン屋の店主。
もしくは、自分がかっこいいと思っているやつだ。
小学生の頃、僕は後者だった。
小学六年生の修学旅行の夜、「女子部屋に突撃しようぜ」という話があった。
その部屋に好きな子がいるのがわかっていた僕は嬉々としてタオルを頭に巻いた。
「ああ、俺ってかっこいいぜ」って感じ。
あほだ。もはやあほすぎてかわいい。
ちなみに僕の親友も決め顔でタオルを巻いていた。
いつからだろう、僕はタオルを頭に巻かなくなった。
どこかで「タオルを頭に巻く男はダサい」と耳にしたんだったか。
誰かもわからない言葉をきっかけに、僕はタオルを巻かなくなった。
みんながみんな自分のやることに賛同してくれるわけではないのは当たり前だ。
日本の総理大臣だって、大抵は国民の半分には支持されていない。
自分がいいと思うことを続けていけばいいのに。
たった1人の意見を取り入れて、自分の好きなことをやめてしまったりもする。
ある晴れた日の駅前で子供がタオルを頭に巻いて走り回っているのを見た。
本人はどういう気持ちでタオルを巻いているのかは知らないが、素直に似合ってるなと思った。
誰かの「ダサい」なんて言葉に怯まず、どうかそのままタオルを巻くのが似合う大人になって欲しいなと、いつかの自分を思い出しながらそう思った。